EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
BEPS2.0とは、多国籍企業により国際的な税逃れや利益移転の問題に対処するための新たな税制改革の取り組みです。BEPS2.0第1の柱は、グローバルな事業所得に対する課税権を市場国に広く割り当てること、第2の柱は国際的な最低課税率(グローバルミニマム課税)を確立し、低課税国への利益逃避を防ぐことを目的としています。
EYは、国内外の税務、税務コンプライアンス、税務テクノロジーのプロフェッショナルから成るグローバルチームを編成し、クライアント企業のBEPS2.0税務対応をサポートします。
グローバルミニマム課税に合意した国・地域では、国際ルールが国内法に導入される予定です。多国籍企業は、自社と関連のある国・地域の動向を注視する必要があります。大企業の大半は、グローバルミニマム課税導入への対応に着⼿したばかりです。各企業は、新たな税額の算定や財務諸表への影響を評価し、世界中の各税務当局に報告する⽅法を⾒つけることが重要です。また、新たな計算方法とデータを管理し、グローバルミニマム課税に従って納税額を算出し、報告義務を履行するために、社内のプロセスとシステムの調整が必要です。
世界各国の租税政策担当者は、経済のグローバリゼーションとデジタル化を踏まえ、国際税制の⼤幅な変更の提案に向けて共同で取り組んでいます。デジタル経済への課税に対処するG20/経済協⼒開発機構(OECD)のプロジェクトは、BEPSに関する先⾏プロジェクトで2015年に公表された最終報告書に基づき、2019年に開始されました。
BEPS2.0と呼ばれる現行プロジェクトには、2つの要素があります。
第2の柱のモデルルールの規定では、全世界の売上高が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業(MNE)グループに対し、15%のグローバルミニマム課税が適⽤されます。
EYは、国内外の税務、税務コンプライアンス、税務テクノロジーのプロフェッショナルから成るグローバルチームを編成し、複雑なルールへの対処や、潜在的な影響の評価をサポートします。また、EYのチームは、ルールの制定・施行に備え、安定的で実⾏可能な計画の策定をクライアントと共に進めることも可能です。
第2の柱の影響を受ける企業は、⾃社の将来の実効税率(ETR)に対する影響の評価をすでに始めているかもしれませんが、それはスタート地点に過ぎません。下の図では、グローバルミニマム課税に対処する4つの段階を⽰していますが、⼤半の企業がまだ第1段階にあります。
全般的な影響評価を終えた多国籍企業は、グローバルミニマム課税導⼊に備え、コンプライアンスとマネジメントに関する実⾏可能な計画を策定する必要があります。しかし、時間は刻々と過ぎていきます。課題を可能な限り早急に⾒定め、計画実施に先⽴って解決することが必要です。EYでは、2021年以降の国際合意に基づき想定される制度を前提として、第2の柱(Pillar 2)の影響度(税インパクトなど)を分析した上で、税務ポジション分析とアクションプラン提⽰を⾏います。
第2の柱に備えるには、税務、会計、法務、システム/IT、ビジネスの利害関係者などが関わる、部⾨横断的な調整を⼗分に⾏う必要があります。
グローバルミニマム課税ルールは極めて複雑であるため、⼀部の企業にとっては圧倒的な、そしてすべての企業にとっては⼤きな課題となる可能性があります。EYのチームと共に取り組むことで、この複雑なルールに対処し、コスト、サービス、税務上の紛争、税務リスクの間のバランスを取りながら、適⽤されるルールに準拠することが可能になります。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ14
インドの国内規定は未導入だが、優遇措置を受けている日系企業は影響を検討すべき
インドのPillar2に関する正式な規定は、現時点ではまだ制定されていない。インドの法人税率は高いように見えるが、これを詳細に分析する必要がある。インドで事業を行っている日本企業は、インドの各構成事業体のETRを確認し、OECDのガイダンスに基づく移行期CbCRセーフサーバー規則(TCSH)による効用を評価することで、インドにおいて第2の柱の規定が導入されることに備えるための初期的影響度評価を行うことを推奨する。
仮想日本企業グループのCbCR開示に際しての影響度分析 ~日本企業がCbCRを開示すると、ステークホルダーからどのように評価され得るのか~
仮想日本企業グループの影響度分析において検出された事例を参考に、貴社グループのCbCRにあてはめて同様の事象がないかを確認し、ステークホルダーからの質問に説明責任を持って応じるために、事前の準備が重要となります。
第2の柱のイニシアチブの導入に関するスイスのアプローチは、世界の課税環境において独特な道筋を示しています。スイスのモデルは、税収の保護と外国での税務手続きから企業保護のバランスを取っており、世界の実施状況が断片的な状況である限り、海外の特定の軽課税構造を維持する機会を保持しています。今後、スイス国内で事業を行う企業は、影響分析を行うことを強くお勧めします。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ12 GloBEルール導入に向けたメキシコ税務当局の対応はまだ明示されていない
メキシコの会計・税務規制は広範かつ複雑に絡み合い、税務当局もGloBEルールに係るガイドラインや規制をまだ公表していません。そのため、日本の多国籍企業は不確実性に対応しなければなりません。今後BEPS第2の柱のモデルルールが及ぼす影響を定量的に予測するとともに、メキシコの法規制の進展をタイムリーにモニタリングしていくことが必要です。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ11 ハンガリーは魅力的な投資先だが、トップアップ課税が生じる可能性あり
ハンガリーは、過去数十年にわたり、日本企業にとって人気の高い投資先となっています。ビジネスフレンドリーな法制度があり、税制とインセンティブの環境は非常に魅力的です。その結果、ハンガリーへの外国直接投資は、アジアの投資家を中心に着実に増加しています。そのほとんどは製造業関連ですが、商社や持株会社、ファイナンス会社からも選ばれるようになっています。今回はBEPS2.0第2の柱に対するハンガリーの取組みと導入内容、そしてハンガリーに拠点を置く多国籍企業がどのような影響を受けるかについて解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ10 アイルランドでは、標準法人税率が12.5%であり、GloBE上の実効税率が15%を下回る可能性がある
アイルランドはEU加盟国であり、かつ法人税率を12.5%と、魅力的な水準に設定しています。特に米国に本社がある多国籍企業が事業拠点を設ける際の場所として機能してきましたが、日本企業でも情報・通信、製薬やライフサイエンス、そして、航空機リースなどの金融サービス業がアイルランドに進出しており、またキャピタルゲインに係る資本参加免税規定や、さまざまな国や地域と租税条約を結ぶなど税制面で大きなメリットを提供しています。今回はアイルランドでのPillar2の適用を受け、日系企業における留意点について解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ9 タイではBOI税恩典が十分享受できるよう軽減緩和措置を導入
タイでは2023年、BEPS2.0のPillar2に沿って、グローバルミニマム課税を原則として導入することが決定されています。タイに所在する日本企業は、必要に応じて実効税率の計算や国内ミニマム課税(QDMTT)に基づく納税・申告などの新たな対応、優遇税制による法人税の減免メリットを享受する企業は、その影響分析が求められます。今回はタイにおける法人税、優遇税制への影響や留意点を解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ8 ベトナムでは従来の優遇税制に代わる新たな投資支援政策を検討中
現時点では投資支援策は具体化されておらず、個別交渉により支援内容が決定されるケースも想定されます。交渉期間は長期になることも予想され、日系企業では早期の段階で関連当局との交渉を奨励。いずれにせよ、投資支援政策の方向性は打ち出されているものの、明確化されておらず、今後も動向に着目が必要です。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ7 ドイツでのBEPS2.0 Pillar2の法制について-基本的にOECDモデルルールに基づいているが、留意すべき事項もある
ドイツは欧州随一の経済規模を誇り、貿易相手国として日本との経済的結び付きが非常に強い国です。 欧州の中心に位置しているという地理上の利点もある事から、ドイツは日本企業が欧州へ事業展開する際の拠点として非常に重要な国です。そこで、今回はドイツにおけるBEPS2.0 Pillar2(以下「グローバルミニマム課税」)の法制化状況と日本企業における留意点を解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ6 オランダではGloBEルールによる日本企業への影響は限定的であると考えられる
オランダは日本の多国籍企業が地域統括会社や地域持株会社を設立するために最も好まれるヨーロッパの国の1つとされています。EUの加盟国であることに加え、25.8%といった穏健な法人税率、有利な租税条約ネットワークおよび100%の資本参加免税は、企業がオランダにおいて恩恵を受けることができる重要な税制です。
なぜ財務諸表上の税率が15%であっても、グローバルミニマム課税の対象になり得るのか
財務諸表上の実効税率が15%以上であっても、BEPS 2.0第2の柱のグローバルミニマム課税を回避できない可能性があります。
ディスクロージャーをはじめとする税務変革は経営管理全体の課題に
今、BEPS 2.0 Pillar 2やESGにおける税務ガバナンス開示のように、税制を巡るルールが大きく変化しつつあります。もはや税務に関連する問題は税務部門だけにとどまるものではありません。企業価値に影響を及ぼす経営管理全体の問題であり、その対応に向け、テクノロジーの活用や税務組織の見直しといった取り組みをトップダウンで進めていく必要があります。
BEPS 2.0対応で税務会計チームが備え得る5つの方策とは
各国において2023年から2024年にかけてBEPS(税源浸⾷と利益移転)2.0の発効が順次なされることを受け、多くの企業では税務会計の担当部署にてグローバルミニマム課税制度「第2の柱(Pillar 2)」への対応に向けた準備に着手しています。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ5 混迷極める米国のBEPS2.0対応と日本企業の留意点
米国では、現時点でGloBEルールの国内法制化のメドは立っていません。2024年11月には大統領選挙もあり、2025年前に導入が検討されることはないと推測されています。2025年以降についても、民主党と共和党のどちらが主導権を握るか、あるいは勢力が拮抗するかで将来のシナリオは異なってきます。では、今後の動向をどのように見ておけばいいのか。米国におけるBEPS2.0の法制化状況と日本企業における留意点を解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ4 英国のMTUTとDTUTの適用について今後の動向に注目
英国は2023年4月1日より大企業に対する法人税率を25%に引き上げたものの、依然として先進主要国であるG7の中では、最低税率を維持しており、欧州における日系企業の主要な投資先国であり続けています。そんな英国もBEPS2.0の新たな国際課税ルールについては、2023年財政(No.2)法案において、第2の柱GloBEルールを英国で施行するための法律を改めて公表し、2023年7月11日の国王裁可をもって施行。23年12月31日以降に開始する会計期間から全世界収入が7億5000万ユーロを超える大規模な多国籍企業に適用されます。今回は、こうした英国におけるBEPS2.0の法制化状況と日本企業における留意点を解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ3 シンガポールでは優遇税制の有効性が制限されるも交渉で打開を図る
企業にとって魅力的な国であるシンガポールでもBEPS2.0への取り組みが進んでいます。2025年度1月1日以降に開始する会計年度からはIIR、UTPR、DTTが導入され、日本企業にも新たな対応が迫られます。イミグレーション関連では2023年9月からCOMPASSが導入され、新規就労ビザの取得がこれまでよりも厳格化。他にも人件費や賃料を含む経営コストの上昇や、人材の流出や獲得といった課題にも直面しています。今回は、そんなシンガポールのBEPS2.0の法制化状況と、日本企業の留意点を解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ2 他地域とは異なった特徴を持つEUの動向を注視しよう
現在、焦点となっているBEPS2.0について、EUは他の地域と異なった特徴があります。まずEUはOECDがリードする国際課税ルールの制定プロセスにおいて大きな影響力を持っていること。もう1つが、EUは主権国家ではありませんが、「指令」という形式でEU加盟各国に指令に基づく国内法令を制定することを求め、域内ルールの調和を図っていることです。今回はこのような他地域と異なった特徴を持つEUの動向について解説します。
主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ1 GloBEルールに関する各国動向に対応できる体制を構築する
BEPS2.0のGloBEルールは、各国制度の相互作用により納税額や納税地が変化する複雑なルールです。対応するためには各国の動向を常にモニタリングし、変化に即応できる体制を構築することが必要です。そこで今回から主にGloBEルールに関する各国の対応方針、法制化の状況、各国の国内法との相関関係について、特に日本企業が留意する点を解説していきます。
グローバルミニマム課税がサステナビリティに関する優遇税制措置に与える影響とは
世界各国でグローバルミニマム課税の最低実効税率15%が導入されるに際し、サステナビリティに関する優遇税制措置について再考する必要があるでしょうか。
BEPS2.0対策シリーズ5 BEPS2.0とサステナビリティの観点からの税情報開示
SDGsに沿った成長戦略の策定と実行が求められる中、日本企業ではBEPS2.0によるグローバル課税の枠組みの変化とサステナビリティの観点を合わせた税情報の開示の動きが本格化しています。今後どのようにサステナビリティを意識した税情報開示が必要なのか。今回はBEPS2.0導入以降における企業の税情報開示の在り方について解説します。
BEPS2.0対策シリーズ4 BEPS2.0では本社による海外子会社の税務関与が拡大
BEPS2.0は、恒久的施設がない多国籍企業に対し、売り上げなど市場国で生み出された価値に応じて市場国で課税されるPillar1と、国際的に最低限の法人税率を設定し、子会社の税負担が最低税率を下回る場合には、最低税率に達する分まで親会社所在地国で課税できるとするPillar2の2つに大きく分かれています。これからBEPS2.0におけるPillar1とPillar2、そして日系企業にどのような係争が想定されるのかを見ていきましょう。
BEPS2.0対策シリーズ2 Pillar2では、移転価格により15%の実効税率を目指す税務戦略の構築が必要
今後BEPS2.0 Pillar2の施行により15%を下回る実効税率の達成は困難となり、日本企業へのグループ課税に大きな変化がもたらされることになります。そこで対応すべき課題の1つが「移転価格と税務戦略」です。今回は各国の税務当局に対し、どのような戦略をとっていけばいいのかについて、要点を解説します。
BEPS2.0対策シリーズ1 「BEPS2.0」で試される日本企業の変革力
税負担の公平性に社会の注目が集まる中、BEPSは新たな見直しを迫られています。100年に1度と言われる国際税務の変化に対し、日本企業はどのように対応すべきかについて解説します。
BEPS2.0対策シリーズ3 BEPS2.0申告を円滑に実施するためには、プロセスとシステムの業務改革が必要
BEPS2.0のコンプライアンス確保に向けては、必要な情報の確実かつ効率的な収集がこれまでになく重要になります。そのため、多くの企業は、従来のCbCR、CFC税制などの業務プロセスをそのまま延長するだけではなく、新たな仕組みをつくり上げる必要に迫られています。今後、多国籍企業においては、本社によるデータマネジメントを強化し、グループ全体の税務情報をモニターすることで、全社的な税務業務効率化とコンプライアンス向上が不可欠です。今回は、これらを実現するためのテクノロジーの活用について解説します。
BEPS2.0 第1の柱、利益Bの概要および今後求められる対応について
本ウェブキャストでは、利益Bの制度解説に加え、OECDにおいてBEPSプロジェクトの議論をリードしたEYパートナーMatt Andrewとのパネルディスカッションを通じて、各国が利益Bをどのように捉え・導入をしてくるのか、実務へいかに落とし込むかまでを解説・議論いたします。
2023 Japan Tax Update:令和5年度税制改正大綱の解説および最近の税務トピックス 第2部:BEPS2.0最新情報と実務対応
EY Japanでは、「2023 Japan Tax Update:令和5年度税制改正大綱の解説および最近の税務トピックス」と題しまして、1月25日(水)、27日(金)、2月1日(水)の3日間にわたり、ライブウェブキャストを開催いたします。
BEPS2.0 Pillar 2 Update:計算プロセスと日本企業における課題
OECDが公表したBEPS2.0 Pillar2(第2の柱)のモデルルールとコメンタリーに関して、最新の動向、主要各国の状況のアップデート、全貌が明らかになった計算プロセスおよび必要情報の内容に加え、システム対応や社内体制整備など、多くの日本企業に共通する課題や留意点について解説します。
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