EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYの関連サービス
-
グローバルミニマム課税に備える:組織への影響を評価し、確実で実行可能な計画を策定するため、EYが提供するサポートをご活用ください。詳しい内容を知る
続きを読む
従来のやり方では対応できないGloBEルールにおける申告対応
BEPS2.0は、デジタル課税と呼ばれるPillar1と全世界課税を行うためのPillar2とに大別されますが、このPillar2 GloBEルールの運用対象には、適用初年度から多くの日本企業が該当することが見込まれており、税務コンプライアンスの確保に向けた対応を開始する企業が増えてきています。
このGloBEルールの申告計算では、最終親事業体が海外子会社などの構成事業体から財務・税務関連情報を収集し、選択規定の判断や最終的な計算を行う必要があります。同じように海外子会社から本社が情報を収集する税制として、既に国別報告書(CbCR)や外国子会社合算税制(CFC税制)などがあるため、税務の担当者の方はGloBEルールにおいても従来の業務プロセスの延長で行えるイメージを持たれるかもしれませんが、実際には大きく異なる点があります。
まず1点目は必要とする情報の質と量が違うことです。この必要情報のうち、質に関しては、各種の財務会計数値(税効果含む)他、税務申告データや適格有形資産の帳簿価額、適格給与コストの数値情報など、扱う情報が多岐にわたることが特徴となっています。
2点目は計算過程が複雑であることです。これまでCFC税制などでは親会社が収集した情報を一元的に計算し完結していましたが、GloBEルールでは構成事業体単位での計算も必要であり、プロセス全体を複雑にしています。
3点目は税務申告であることです。CbCRの場合はあくまで情報申告であり、税額に直ちに結びつくものでありませんでした。しかし、GloBEルールでは税額が過少であれば、過少申告などのペナルティの対象になると考えられます。
以上の点から、既存の業務プロセスを流用するだけでは不十分であるとともに、将来の税務調査に備えた説明根拠・証憑(しょうひょう)・帳簿などを記録保存するシステムの活用が重要視されます。