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QDMTTは導入したが、
IIRとUTPRの適用は延期
国民投票を経てスイスは2024年1月1日から国内ミニマム課税(QDMTT)を導入しましたが、所得合算ルール(IIR)と軽課税支払ルール(UTPR)の適用は延期しました。スイスではIIRとUTPRの税は総称して国際トップアップ税と呼ばれています。その法的根拠は、ミニマム課税条例にてすでに制定されており、当分の間は経過措置により適用が延期されています。現状、2025年1月1日から適用される可能性を示唆する注釈が発表されているものの、2024年末までに決定が下されることはないと予想されます。
スイスの法人税の実効税率は11~21%、純資本税率は0.001~0.5%で州や市町村によって異なります。そのため、GloBEの実効税率も地域によって異なります。
一般に、スイス債務法に基づく商業財務諸表に記載された純所得が、法人税の課税ベースとなります。国際財務報告基準(IFRS)、米国会計基準(US GAAP)、スイスの会計基準(FER)などの会計基準は、商業財務諸表では認められていません。さらに、税務当局は過大な減価償却費や引当金など特定の項目の修正を要求する場合があります。
スイスでは州独自の税優遇措置などがGloBE 実効税率を減少させる可能性がある
財務会計と税額計算の永久差異は、「繰延税金」資産または負債にはなりません。したがって、GloBEルールで特に認められていない場合、財務会計上の収益項目か費用項目かに応じて、実効税率が増減することになります。
また配当やキャピタルゲインは通常、経常利益として課税されます。しかし、一定の条件を満たせば、資本参加免税が適用されます。資本参加免税が適用される配当所得は、グループ会社株式に割り当てられた資金調達コストや管理費用によって減額されるため、完全な免税ではありません。GloBEルールでは、特定の配当がGloBE所得の調整につながります。しかし、これらのいわゆる除外配当の定義は、スイスの資本参加免税とは一致していません。
その他、スイスでは、パテントボックス、研究開発スーパー控除、みなし利子控除(一定の条件あり)といった州独自の優遇措置を利用することで、税負担を軽減することができます。これらの控除は、最大で課税所得の70%までとなっています(州はこれより低い基準額を設定することができます)。
一時差異については、資産または負債の税務上の簿価と財務諸表上の簿価が一致しない場合に発生します。スイスでは、商業財務諸表から計算され、IFRSなどと異なるため、この一時差異が生じる可能性があります。特に、棚卸資産の評価、売掛金、減価償却、移転ステップなどの項目に留意が必要と考えられます。