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グローバルミニマム課税に備える:組織への影響を評価し、確実で実行可能な計画を策定するため、EYが提供するサポートをご活用ください。詳しい内容を知る
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グローバルミニマム課税では一部ドイツ独自の規定もある
(1)ドイツでの法制化の状況
ドイツでは、グローバルミニマム課税に関するEU指令を受け、2023年3月にドイツ連邦財務省が討議草案を公開し、同7月にグローバルミニマム課税実施に係る法案を公表。その他立法手続きを経て、2023年12月に国内法制化が完了しています。
(2)ドイツにおけるグローバルミニマム課税の課税ルール
ドイツ法令によれば、下記の課税ルールで構成されており、過去4会計年度のうち2会計年度で連結総収入金額が7億5千万ユーロ以上ある多国籍企業グループに適用されます。なお各課税ルールについては、基本的に、GloBEルールに沿った内容となっています。
- 所得合算ルール(以下「IIR」):2023年12月30日後に開始する会計年度から
- 軽課税所得ルール(以下「UTPR」):2024年12月30日後に開始する会計年度から
- 適格国内ミニマムトップアップ課税(以下「QDMTT」):2023年12月30日後に開始する会計年度から
なお、国単位の実効税率及びトップアップ税額算定のための計算プロセスについてもGloBEルールに沿った内容となっています。
(3)ドイツにおけるセーフハーバールール
セーフハーバールールについても、GloBEルールに沿った内容となっています。2026年12月31日以前に開始し、2028年7月1日より前に終了する会計年度(会計年度が暦年に対応する場合は2024年から2026年)の場合、国別報告事項(以下「CbCR」)を用いた、簡易的なセーフハーバールール(以下「移行期間CbCRセーフハーバー」)が適用されます。また、QDMTTセーフハーバーも導入されます。
(4)ドイツにおける税務コンプライアンス
- グローバルミニマム課税に係る申告2
“ミニマムタックスグループ”という概念を基に、対象となる多国籍企業グループのドイツ国内の全ての構成会社のうち、代表会社にグローバルミニマム課税に係る電子申告、納税義務があります。申告期限は、既存のドイツ国内法の規定が適用されます。ただし、ドイツ国内法に従った申告期限が15カ月(適用初年度は18カ月)よりも短い場合は、申告期限は15カ月(適用初年度は18カ月)となります。そして、課税金額が発生する場合の税金の納付期限は、申告期限から1カ月後となります。
そして、代表会社がグローバルミニマム課税の納税をした場合、他のドイツ構成会社はグローバルミニマム課税の負担すべき額を当該代表会社に補填する義務があるとされています。これはドイツ独自の規定と言われています。
- ミニマムタックスレポート
各ドイツ構成会社、もしくはドイツ国内の全ての構成会社のうち、代表する1社に15カ月以内(適用初年度は18カ月以内)にGloBE情報申告に相当するミニマムタックスレポートを電子申告する義務があります。なお、海外に所在する最終親会社等がGloBE情報申告を行う場合、ドイツとその最終親会社が所在する国との間に有効な情報交換規定がある限りにおいて、ドイツ国内の全ての構成会社では、ミニマムタックスレポートの提出は不要とされています。
(5)その他関連する税制改正事項
2024年ドイツ税制改正によれば、2023年12月31日後に終了する事業年度から、ドイツCFC税制のトリガー税率が25%未満から15%未満に引き下げられました。これはグローバルミニマム課税の基準税額である15%と足並みをそろえる形となります。