EY ネイチャーポジティブ(生物多様性の主流化に向けた社会変革)

EYはクライアントと共にビジネスにおける生物多様性の主流化を目指し、ネイチャーポジティブのための変革をサポートします。
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EY ネイチャーポジティブ(生物多様性の主流化に向けた社会変革)

自然と生物多様性は危機に直面しており、その主要な原因は自然資源の過剰利用と消費といった人間活動です。生物多様性と自然資本に依存するビジネス社会にとっては、この地球規模の危機がリスクをもたらす一方、ビジネスチャンスも与えてくれます。

この危機を克服するためには企業をはじめ、社会全体が「ネイチャーポジティブ」モデルに大きくかじを切る必要があります。

EYはクライアントと共にビジネスにおける生物多様性の主流化を目指し、ネイチャーポジティブのための変革をサポートします。


EYのコミットメント

EYは、ネイチャーポジティブの達成をめぐる議論や方法に関してはまだすべての答えを持っていないことを認識していますが、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)の追究にコミットしています。EYは以下の活動にコミットします。

1.  自社とクライアントのバリューチェーンに関して科学に基づいた評価をします。

2. 総合的な戦略の一環として、明確で測定可能な目標を設定します。

3. ビジネスの変革を目指します。

4.  生物多様性条約(CBD)昆明・モントリオール生物多様性枠組、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)、 Science Based Targets Network (SBTN)などの既存のフレームワークに沿ったパフォーマンスを評価し、開示します。


ネイチャーポジティブとは

ネイチャーポジティブ(Nature Positive:Nature+)とは、自然(種と生態系)が最終的には復元、再生している世界を指す用語です。

これまでの人類の歴史で私たちは社会を構築し、経済と技術を発展させて繁栄してきましたが、それは代償を伴うものでした。

第6の絶滅期が到来していると言われ、最近の生物種絶滅の主因には生育環境喪失、乱開発、外来生物の導入、気候変動、窒素汚染などが挙げられています。他にも環境影響としてプラスチックによる汚染、水質・大気質の悪化なども生態系にストレスをかけています。この危機的状況は孤立した課題ではなく、気候危機とも関連しており、そこには人権問題も内包しているのです。これらは個別に対応できるものではなく、その根本原因から対策していく必要があります。

一方、環境・社会・ガバナンス(ESG)関連の問題に対して、これまで社会では定型的な対応のみがとられてきた傾向があります。それは潜在的な財務的影響を考慮し、関連する基準に沿って開示はするものの、また通常通りのビジネスに立ち戻ってしまうという姿です。しかしながら、現在私たちが直面しているのは「通常通りのビジネス」を継続していけるような状況ではありません。そのため今一度パーパスに立ち返り、ネイチャーポジティブな結果と整合しないのであれば、そのビジネスを変革させる必要があります。人類がここ数世紀で開発してきた技術の粋(すい)を集め、自然界と調和のとれた生活を送れるようにするということです。この問題を解決することは、高い視座からの長期的な価値創造を意味し、それは財務リスクと機会だけの問題ではなく、また報告義務と開示だけの問題でもないのです。


ネイチャーポジティブのビジネスに対する重要性

地球規模の気候変動対策が強化されるにつれて、自然と生物多様性の減少という別の地球規模の課題にも同じように注意を払う必要があることがますます鮮明になってきています。多くの企業にとって、これは既存情報をほとんど持たない新しい問題ですが、その緊急性のために、戦略的意思決定に自然リスクを迅速に組み込む必要があります。

TNFD(Task-Force on Nature-related Disclosure)のような新たな枠組みは、企業が自然に関連するリスクについて考え始めるきっかけを与えますが、自然の問題は開示やリスクアセスメントだけにとどめていては解決できません。自然は、私たちが直面するほとんどすべての社会的・文化的・経済的な問題と結びついていますが、それはこれらすべてのものを構築する基本的な要素として自然があるからです。私たちは自然と気候と人間の相互の関連性を認識・理解する必要があり、この課題にクライアントが取り組むにあたり、その課題の理解・対応のサポーター、ナビゲーターとしてEYは貢献することができます。


EYのネイチャーポジティブへのアプローチ

EYのネイチャーポジティブのフレームワークは、お客さまのネイチャーポジティブの実現をサポートするための5つのステップからなるアプローチです。

⓪ 認識と知識の構築
① 優先度の高いリスクと機会の範囲
② 自然戦略の策定 (生物多様性方針、戦略策定支援)
③ ビジネスの変革支援
④ パフォーマンスの評価と開示支援

図1:EYのネイチャーポジティブアプローチ
  図1:EYのネイチャーポジティブアプローチ

出所: The TNFD Nature-related Risk and Opportunity Management and Disclosure Framework Beta v0.3, TNFD, 2022, framework.tnfd.global/wp-content/uploads/2022/11/TNFD_Management_and_Disclosure_Framework_v0-3_B.pdf(2022年11月3日アクセス)より当社作成

出所: The TNFD Nature-related Risk and Opportunity Management and Disclosure Framework Beta v0.3, TNFD, 2022, framework.tnfd.global/wp-content/uploads/2022/11/TNFD_Management_and_Disclosure_Framework_v0-3_B.pdf(2022年11月3日アクセス)より当社作成

⓪ 認識と知識の構築

自然と生物多様性の課題に関する理解と能力の向上を図ります。
自然と生物多様性の課題に関しての基礎理解を進めた上で、現状と国内外動向を整理し、特集記事、セミナー・研修会の開催などを通じて社会とクライアントの意識向上に努めます。

① 優先度の高いリスクと機会の範囲

生物多様性回復のため、依存、インパクト、リスクおよび機会の理解と優先順位付けをします。

TNFDの推奨する自然関連課題の特定と評価(LEAPアプローチ)のLocate、Evaluate、Assessの各ステップを通じて自然関連の依存、インパクト、リスクと機会を評価します。

  • 自然との接点の確認(Locate)
    ポートフォリオの拠点と自然との接点を確認し、周辺の自然環境の確認を通して、脆弱な生態系、危惧種、水ストレスの高い地域の有無を確認します。

  • 依存とインパクトの診断(Evaluate)
    ビジネスオペレーションにおいて、自然資本と生物多様性への依存関係と、与えているインパクトについてサプライチェーン全体、または段階的に検証します。

  • リスクと機会の評価(Assess)
    依存とインパクトの検証結果に基づき、リスクと機会を特定してからマテリアリティ分析を行い、リスクと機会の管理体制の構築や改善をサポートします。
図2:LEAPアプローチ
  図2:LEAPアプローチ

出所:Recommendations of the Taskforce on Nature-related Financial Disclosures, TNFD, 2023(2023年9月20日アクセス)を基にEY作成

② 自然戦略の策定 (生物多様性方針、戦略策定支援)

ネイチャーポジティブな組織戦略を策定し、自然関連のリスクと機会に対応するためのターゲットを設定します。

LEAPアプローチを通じてネイチャーポジティブを目指すための戦略を策定します。

  • 方針とガバナンスの策定
    推進と管理体制を構築した上で、自然・生物多様性の方針、ロードマップ、アクションプランを策定します。

  • シナリオの特定と移行の道筋策定
    上記ステップ①の評価結果に基づき、あらゆるシナリオを想定した上で特定し、その移行の道筋を社内で幅広く意見収集して作成します。

  • ターゲット設定
    自然・生物多様性方針に基づき、ビジョンと長中期のターゲット設定を実施します。

 

③ ビジネスの変革支援

オペレーションとサプライチェーン全体にわたって本質的にポジティブな戦略の導入を支援します。

上記ステップ①の評価結果に基づき、生物多様性およびネイチャーポジティブに移行できるオペレーションを特定し、下記の課題において自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)を考案し、さらにビジネスチャンスにも展開させる企画を策定します。

  • 生物多様性フットプリントの測定

  • 影響、依存の回避や低減活動

  • 生物多様性の再生・回復

 

④ パフォーマンスの評価と開示支援

アカウンタビリティと継続的な改善を確保するために、戦略に照らしてパフォーマンスを評価します。

ネイチャーポジティブ達成の進捗が検証できる指標の設定、モニタリングの実施などパフォーマンスの評価を定期的に実施し、情報開示します。

  • レポートのロードマップ策定
    TNFD、SBTN、CDP、S&P CSA(S&P Global Corporate Sustainability Assessment/旧DJSI)など各種のスキームに対応するロードマップを設定します。

  • 目標や方針の達成度に関する影響測定
    CBD、TNFDやSBTNなどが推奨する目標と指標を用いて、方針の達成をチェックするモニタリングを実施します。
  • 非財務情報の保証

    ネイチャーポジティブに関連するモニタリング指標や、その他関連する定量情報の開示について、一定の条件を満たす場合に開示する定量情報を対象に第三者保証を実施します。または第三者保証を受けるための開示支援を実施します。
     
図3:TNFD最終提言v1.0版の開示提言
  図3:TNFD最終提言v1.0版の開示提言

出所: TNFD「TNFDの提言のエグゼクティブサマリー バージョン1.0」(2023年9月20日アクセス)を基に当社作成

図4:TFND、SBTN、CDPおよびS&P CSA(旧DJSI)などの開示
  図4:TFND、SBTN、CDPおよびS&P CSA(旧DJSI)などの開示

出所:Recommendations of the Taskforce on Nature-related Financial Disclosures, TNFD, 2023(2023年9月20日アクセス)を基にEY作成

EYの強み

1.  TNFDへの直接的関与
TNFDタスクフォースの初期メンバーにEYから参画しているため、フレームワークを熟知

2. 専門的知見と洞察
IPBESの主執筆者(Lead author)も在籍し、最新動向を基に、生態学・自然環境の専門家が知見と洞察を交えた選択肢を提案

3. 広範なネットワーク
ESGプロジェクトの豊富な実績を有する海外のEYのメンバーファームや公的機関などと連携


チームメンバーのご紹介

牛島 慶一

茂呂 正樹

多田 久仁雄

ユー イヴォーン

ゴウ シウエイ

  図4:TFND、SBTN、CDPおよびS&P CSA(旧DJSI)などの開示

松島 夕佳子

北村 岳


EYの最新の見解

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TNFD追加的セクターガイダンスポイント解説①:電気事業・発電事業セクター

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近年脚光を浴びるサーキュラーエコノミーについて、そのコンセプトを改めて整理し、グローバルにおける規制・政策、標準化、情報開示の動向を解説します。

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TNFDベータv0.4版発行:開示の実施に関する追加的ガイダンス(Annex 4.7)について

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TNFDベータv0.4版発行:優先地域選定の考え方と各種データベースに関する追加的ガイダンス(Annex 4.11)について

自然関連の財務情報開示フレームワークTaskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)のベータv0.4版が2023年3月28日に発表され、多くの付属文書が公表されました。本稿ではそのうち、優先地域選定の考え方と各種データベースに関する追加的ガイダンス(Additional draft guidance on location prioritisation:Annex 4.11)について概説します。

TNFDベータv0.4版発行:目標設定のガイダンス(Annex 4.8)について

自然関連の財務情報開示フレームワークTaskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)のベータv0.4版が2023年3月28日に発表され、多くの付属文書が公表されました。本稿ではそのうち、目標設定に関するガイダンス(Target Setting:Annex 4.8)について概説します。

TNFDベータv0.4版:金融機関向けの追加的な開示ガイダンスの更新

2023年3月28日に自然関連の財務情報開示フレームワークであるTaskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)のベータv0.4版が発表され、多くの付属文書が公表されました。本記事ではそのうち、金融機関向けの追加的な開示ガイダンス(Annex4.4)と金融機関の指標に関する補足資料(Annex4.5)について説明します。

TNFDベータv0.4版発行:開示の実施に関する追加的ガイダンス(Annex 4.2)および開示指標(Annex 4.3)について

自然関連の財務情報開示フレームワークTaskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)のベータv0.4版が2023年3月28日に発表され、多くの付属文書が公表されました。本稿ではそのうち、開示の実施に関するガイダンス(Disclosure Implementation Guidance:Annex 4.2)と開示指標に関する付属書類(指標リスト)(Disclosure Metrics Annexes:Annex 4.3)について概説します。

TNFDベータv0.4版発行:企業にとって、開示イメージがより具体的になったドラフト最終案の5つのポイント

自然関連の財務情報開示フレームワークであるTaskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)のベータv0.4版が2023年3月28日に発表されました。今回は、基本コンセプト部分を補完する具体的な開示指標を記載した付属文書がそろい、より鮮明にTNFD開示のイメージを持つことができるようになりました。

TNFDベータv0.3版発行:LEAPアプローチの自然関連のリスクと機会の特定と管理に関する評価〈Assess〉フェーズの追加ガイダンスにおける4つのポイント

自然関連の財務情報開示フレームワークであるTaskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)のベータv0.3版が2022年11月4日に発表されました。その中で、自然関連のリスクと機会を評価するために用いるLEAPアプローチの 「評価〈Assess〉」フェーズに関する新しいガイダンスも発表されました。

TNFDとEYが目指す市場主導型のサステナブルな社会

自然の喪失による深刻なグローバルリスクに対処すべく、市場を通じたサステナビリティへの取り組みを加速させるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)。EYはそのタスクフォースメンバーとしてTNFDに参加し、「ネイチャー・ポジティブ」な世界の実現に向けた活動をサポートしています。

TNFDベータv0.3版発行:金融機関向けの追加的な開示ガイダンス案の公表

TNFDベータv0.3版において今回発表された追加ガイダンスの主なポイントは、①TNFDの4つの柱のうち、「戦略」「リスクと影響の管理」「指標と目標」の3つに関して推奨される開示内容を追加、②金融機関に推奨される自然関連指標として「依存」「影響」「リスク」「機会」の4つを掲げ、それぞれの指標の具体的な例示を追加、の2点です。

ビジネスと生物多様性:最新の動向解説~生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)報告、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)進捗~

近年、企業による生物多様性/自然資本への取り組みの必要性が急速に高まっています。その方向性を考えていく上で重要な鍵となる自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)や生物多様性条約について、策定状況や生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)などの最新の動向を解説します。

TNFDベータv0.3版発行:推奨される科学的根拠に基づく自然関連の目標(SBT for Nature)設定方法

TNFDのベータv0.3版では、4つの柱の1つである「指標と目標」について、科学的根拠に基づく自然関連目標(SBT for Nature)を設定することを推奨するとしています。LEAPアプローチを進める際には、SBTNのガイダンスも参照することが有用であり、両者とも現在開発中ですが、本格運用に先駆けて取り組みを進めることができます。

TNFDベータv0.3版発行による開示提言とLEAPアプローチの一部変更に伴い、企業はリスクと機会だけでなく、影響と依存についても情報開示が必要

自然関連の財務情報開示フレームワークである自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下「TNFD」)のベータv0.3版が2022年11月4日に公開されました。本記事ではベータv0.3版本文のうち押さえたい 点を中心に、前版からの改訂点についてお伝えします。

非財務情報開示がもたらす企業価値向上 ~CSV戦略と生物多様性(TNFD)~

生物多様性を含め、自然関連のフレームワークであるTNFDのコンセプトを盛り込んだ開示をすでに行い、非財務情報の開示で最先端の取組みを行っているキリンホールディングス(株)様に、積極的に開示を進めた背景や取り組み方について伺いました。

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フレームワークのベータv0.2版発行に伴い注目すべき3つのポイント

自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下「TNFD」)フレームワークのベータv0.2版が2022年6月28日に発表されました。これは、2022年3月に発表されたベータv0.1版に続くものです。 本記事では、ベータv0.2版の発表内容をポイントごとに簡単にまとめ、今後日本企業が取り組むべき方向性についてお伝えします。

サステナブル戦略策定における対話の重要性 ー  企業が取るべきTCFDとTNFDへの対応

【EY Japan】気候変動への対応やサステナビリティに対する社会的要請は必然的に高まっています。そうしたことを背景に、企業にもサステナブル戦略を策定する必要性が生じており、これを進める上でのポイントについて考察します。

ポスト2020生物多様性枠組(GBF)の実施に向けてビジネスが求められるトランスフォーマティブチェンジ(社会変革)

生物多様性保全に向けて2030年までの新たな22個の国際目標を含む「ポスト2020生物多様性枠組(GBF)」が今年12月開催の生物多様性条約締約国会議COP15にて採択が予定されています。GBFの新たな目標にはビジネスに関係するものが多く、産業界から関心を集めています。ビジネスとGBFの関係性とその重要性を解説します。

企業による生物多様性/自然資本に係る取り組み(TNFDに対応した開示に向けて)

企業のサステナビリティへの取り組みについて、気候変動に次ぐトピックとして生物多様性/自然資本が注目されています。 気候変動関連情報の開示タスクフォースであるTCFDと同様のものとしてTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)が発足し、フレームワークの策定が進められています。 その概要と、企業が対応しておくべき事項についてご紹介します。

ビジネスと生物多様性に関する情報開示への取り組み

生物多様性は近年グローバルに取り組むべき重要な課題の1つとして認識されていますが、ビジネスとの関係や事業者が取り組む内容は、まだCSR的活動にとどまっています。では、持続可能なビジネスの実現に向けてどうしていけばよいでしょうか。



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