EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
人口増大とそれに伴う内需の拡大、更にはグローバルへの拡大という局面から、日本は既に少子高齢化、イデオロギーの対立によるグローバルの分断、更には自然災害の甚大化という「縮小する人口と国内経済」という過去に経験のない時代へと突入しています。社会と経済がこれまでになく密接になったこの時代にこそ、厳しい自然環境や生活環境と経済を両立させ、文化レベルまで引き上げた日本の伝統的な価値観に立ち返るべきだと考えます。デジタル技術を活用することで実現する、「誰もが、いつでもどこでも、快適に暮らせる社会」を高いレベルで実現する挑戦が求められています。
私たちの生活を支える地域社会や経済は、人口減少や山積する社会課題などに直面し、従来の仕組みのままでは持続させることが困難です。
地方公共団体では、複雑化した課題解決の担い手不足も深刻で、企業や地域のサポートが必須となりつつあります。また企業も、地域社会や経済の課題に対して高い関心を持ち始めています。
縮小する国内市場から海外へと活路を求めた企業も成長の余地がなく、再び国内に目を向ける必要性に迫られています。しかし、国内市場で新規事業や異業態に手を伸ばしたとしても、市場の基盤となっている社会システムや公共インフラが古く、新たな市場を形成できない現状があります。そのためそうした現状を理解しつつある企業は、まだまだ改革の余地のある、公共サービスや社会課題などに対して目を向けるようになっているのです。
社会課題そのものが企業の経営課題となった今、自社の存在意義や事業目的を社会に伝えて”共感”を集め、その共感者とともに共創する“共創型支援”が企業にも求められています。
企業と官公庁の課題を別々に語る時代は、限界を迎えていると言えるでしょう。
私たちは、グローバルスタンダードの評価指標に対して、単に迎合することを良しとはしていません。日本に古来よりある価値観を丁寧に掘り起こし、自分たちの評価軸で測り、日本らしさを追求する社会を創造する礎を築きたいと考えています。
近年SDGs実現のために、企業の評価基準としてCSV(共有価値の創造)やCSR(企業の社会的責任)などの考え方が欧米から輸入されてきました。しかし、これらは日本が昔から「世のため人のため」「三方よし」などの言葉で取り組んできたことであり、実は目新しいものではありません。
世界的なキーワードとなっているサステナブルも同様です。未開の地を切り開き、土地が痩せれば新たな地へ繰り出す狩猟型文化に対し、日本の文化は、稲作で培われてきた農耕型文化です。例えば山から流れてくる水を田畑に引き、生態系を肥やし、その養分を含んだ水は海へと流れ、肥沃(ひよく)な海で魚を釣って食べる循環型(エコシステム型)文化を、古来より大切にしてきました。サステナブルな考え方は、もとから日本に根付いているものなのです。
EY Japanは、それぞれの地域とその地域住民が本来持っている価値観への回帰を大切にしたいと考えています。
デジタルによって創り出されるSociety 5.0の社会は、人間中心社会になると言われています。一人ひとりがありたい自分を追求することで共通の価値観を持つ人々が集まり、共助を基盤とした社会、すなわち“自己組織化社会”が形成されます。前述した、EY Japanが重視する日本の伝統的な価値観への回帰は、単に懐古主義ではなく、この“自己組織化社会”と融合させたジャパニーズモダン構想です。
“自己組織化社会”の進展に伴い、従来とは異なる柔軟性の高い生活や移動サービスを実現する社会基盤やサービス・ 製品が求められています。生活や移動におけるグランドデザインを変革し、新たな事業コンセプトを生み出す、これまでにないアプローチが必要です。
高齢者の移動手段確保、学校の統廃合によるスクールバス送迎、バスドライバー確保といったように、1つのアセット、1つの目的で地域課題を個別最適で解決しても非効率的で、事業規模は拡大しません。したがって、地域生活や経済には、個別最適化ではなく、地域の企業と官公庁、さらには住民と共に全体最適化した共助社会が必要です。
民間企業データ、官公庁データ、住民データなどを統合して可視化し、日本らしさを抽出しながら、今後長きにわたって続く仕組みを描き、創り切ることが求められています。
人口が右肩上がりの時代は、供給を増やすばかりで、需要と供給の調整はそれほど重要ではありませんでした。しかし、支える世代よりも支えられる世代が増え、人手不足が深刻化する現代では、地域生活が破綻しつつあります。
このため、地域生活では需要をより詳細に把握し、的確に可視化することが急務となっています。企業では、顧客データの可視化と利活用は一般的ですが、地域生活では、需要側のデータ収集が未着手の状況です。官民が連携してデータを一元化するプラットフォームを構築し、各分野でのデータの利活用についての協議、仕組みを整備する必要があります。
これまで、地方創生の主体となるソーシャルビジネスは「定量効果が得られない」と一般企業からは敬遠される状況にありましたが、地域のデータを可視化することで、定性効果から定量効果の測定が可能になり、企業参画への道筋にもなると考えています。
データに基づく政策・施策の推進と鍵となる事業の絞り込みには、「地域課題の定義」「ビジョン・戦略・資金調達の構想策定」「価値連鎖(エコシステム)の設計」「ガバメント・マネジメントの設計」「サービス連携基盤の構築」「サービスマネジメント」の各プロセスが欠かせません。
しかし、日本の多くのソーシャルビジネスでは、「ビジョン・戦略・資金調達の構想策定」「価値連鎖(エコシステム)の設計」「ガバメント・マネジメントの設計」を省き、課題を定義した後にすぐにサービス連携基盤の構築に取り掛かり、実証実験で終わる事例が後を絶ちません。
私たちは、抜け落ちがちなビジョンや資金調達、参画する公民のステークホルダーや足りないプレーヤーも含めた価値連鎖(エコシステム)の設計などを整理し、各プロセスを詳細に突き詰めながらプロジェクトを遂行します。
首長や行政のリーダシップが要となる文化と異なり、日本は和を重んじる文化です。そのため、日本での共助の仕組みづくりには丁寧な合意形成が必要で、地域課題を共有するプレーヤー集めやコミュニティづくりがポイントとなります。
まずは、小規模なコミュニティや自治体から始めて事例を育てながら、大きな自治体へと展開させるとスムーズでしょう。小規模なコミュニティとは、市区町村の単位ではなく、集落や地域の小学校区など、住民の生活圏単位が望ましいと考えています。こうしたコミュニティでは住民のニーズがおおむね一致しており、住民同士が互いを支え合う体制が実現しやすい傾向にあります。
Society 3.0の工業社会以降、デジタル技術の進展やコロナ禍を経て、仕事をする場所や時間帯などにとらわれない、自由な働き方や多様なライフスタイルが広がっています。同時に、地方の価値が見直され、首都圏の一極集中からの脱却の兆しが見えてきました。今こそ真の地方創生へ向け、新たな経済圏を育てていく必要があるでしょう。
ソーシャルビジネスにおいて、クラウドファウンディングや補助金を活用しても、得られる資金は1億円程度にとどまります。また、大企業は売上10億円規模を超えない新規ビジネスには大きな投資を行わない傾向があります。日本のソーシャルビジネスを発展させるためには、このような現状を打破する資金調達の仕組みが必要です。私たちは、これまでの資金調達とは異なる、地方創生ならではの資金調達方法を検討しています。
生活サービスとの物理的な距離の克服が課題となる地方での暮らしにおいて、サステナブルなモビリティの実装は必要不可欠です。地方のモビリティ・インフラの整備においても、企業と地方公共、官民一体となった連携を促していく必要があります。Society 5.0の社会では、情報の民主化がさらに進展し、結果としてフィジカルでの移動は最適化されるため、自家用車所有の必要性は薄れ、ライドシェアなどのシェアリングエコノミーのサービスの需要はますます大きくなることでしょう。さらに2030年には、国内に1万台を超える無人運転サービスが形成されると予測されており、それに合わせた社会システムやインフラなどの都市構造を変革していく必要があります。
一方で、移動サービスを収益化するには1つのアセットでは難しく、生活サービスとの協調(X MaaS)や都市や社会の課題に対する貢献レベルに応じた投資など、新たな仕組みを導く必要があります。
日本の伝統や価値観、それらをベースとした古来の取り組みや振る舞いは、いま世界中で主流となりつつある多様でサステナブルな取り組みの先駆けであると言えると同時に、国全体で最適化した本質的な取り組みであると言えるでしょう。例えば、私たちが普段から口にする「もったいない」や「おすそ分け」といった言葉はそうした日本の伝統的な価値観に基づくものであると考えます。
他方、工業化(Society 3.0)の時代に進展した極端な欧米化やグローバル化に伴い効率性やコストが優先され、事業も地域もサイロ化が進展しました。特にその影響が色濃く反映された首都圏とその周辺の都市では、さまざまなサービスや機能が乱立し、自立した生き方が求められ、個人や各家庭に個別最適化した生活の利便性こそ高まったものの、家庭と地域の分断は進み、子育て世代にとっては厳しい環境になっているのではないでしょうか。結果として、前述した日本が本来持っているはずの強みや生活の在り方は薄れ、生活のしやすさと日本人としてのWell-Beingが必ずしも同期しない生活環境になりつつあるというのが実態でしょう。
しかしながら、地方に目を向けてみると、伝統的な祭事や子供会、天災に対する備え、それらを取りまとめる地域のつながりと共助の精神を醸成する自治会など、日本の伝統的な価値観や取り組みを受け継いでいる地域がまだまだ数多く存在することに気が付くことができます。EY Japanはこの地方や自治会の取り組みに着目し、共助の精神や仕組みを学び、これから訪れる人口減少という前例なき時代に備え、民間事業と公共事業を結ぶ共助のプラットフォームをデジタルで実現することで、日本古来の伝統的価値観に基づく共助社会の実現を目指します。
そして、この共助社会=ジャパニーズモダンこそが、新たな世界のスタンダードとなるべく発信し続けます。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡)は、三重県多気町の地域公共交通計画策定業務を受託しました。2025年3月末にかけて、多気町における公共交通および住民の移動に関するデータを整理して課題を洗い出し、目標および施策づくりを支援します。
EY Japan、地方公共団体における外国人材の受入れや共生施策に関する調査を実施
EY 新日本有限責任監査法人(東京都千代田区、理事長:片倉 正美)は、内閣官房から委託の「地方公共団体の地方創生に資する外国人材受入支援・共生支援に係る施策の推進等に関する調査」を実施し、2024年3月に調査報告書をとりまとめました。
EY Japan、鎌倉市の新たなセミオンデマンド式交通システム運行に向けて支援
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡)は、鎌倉市の交通不便地域における新たな交通システムの導入において、その利用促進に向けた施策と、実証実験の概要および体制をまとめました。これにより、鎌倉市は今後、新たな交通システム導入に向けた実証実験の実施が可能となる見込みです。
EY Japan、「スポーツ・ウエルネス都市創生コンソーシアム」設立メンバーとして参画
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡)は、スポーツやウエルネス(健幸)の視点をまちづくりの手法に加えることで日本各地の社会課題を解決することを目的とした「スポーツ・ウエルネス都市創生コンソーシアム」の設立に参画し、活動を開始します。
EY Japan、スタジアム・アリーナを通じた地方創生支援を促進
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は本日、「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE」をはじめスタジアム・アリーナを核としたまちづくりを実行ならびに支援することを目指す株式会社エスコンスポーツ&エンターテイメントと提携しました。
EY Japan、千葉県印西市とAIを活用したこどもデータ連携実証事業を開始
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡)は、千葉県印西市と令和5年度にこども家庭庁が推進し始めた「こどもデータ連携実証事業」に参画し、デジタル社会の実現に向けた実証事業を開始しています。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡)、株式会社日本旅行(東京都中央区、社長:小谷野 悦光)、株式会社ABAL(東京都目黒区、代表取締役:尾小山 良哉)、は、一般社団法人大田観光協会および大田浴場連合会とともに、日本の玄関口である羽田空港と大田区特有の観光資源を生かし、これまで通過地点であった大田区を観光スポットとして再生させる羽田を拠点とした観光再始動事業の一環として、大田区銭湯体験ツアー「"SENTO" New Entertainment Experience Tour in Ota, Haneda area」を第一弾として実施します。
EY Japan、EY知恵のプラットフォーム 『地方創生先駆者モデル 「共助」が生み出す新たな戦略』を出版
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 近藤 聡)は、2023年10月19日中央経済社より、EY知恵のプラットフォームで1年余りにわたって執り行われた地方創生先駆者会議と、新たに追加したインタビューを加えた書籍『地方創生先駆者モデル 「共助」が生み出す新たな戦略』を出版します。
バッテリーEV(BEV)市場の2030年に向けた展望と日本の戦略
近年、バッテリーEV(以下BEV)の現実的な課題と戦略が問われています。2030年に向けた市場予測と、日本の自動車業界が直面する状況や対応策を詳しく解説します。
Society5.0を前提とした地方における暮らしと移動の新しい形
新しい社会(Society5.0)を体現する生活・移動のグランドデザインとは -三重県多気町をフィールドとした「生活と移動のグランドデザイン」実践例-
WILLER村瀨社長、暮らしの交通田島社長とともに、モビリティと地方創生について語る
三豊市の「暮らしの交通株式会社」社長 田島氏は、これからのモビリティサービスは、供給側だけでなく、新たな需要の創出も含めて事業化が必要だと力説。これからは「交通商社」を目指すと宣言しました。その話は、「WILLER株式会社」社長 村瀨氏の主張にも通じます。まちづくりとモビリティをどう進めていくか、今話題のライドシェアの次の課題が見えてきました。
「広域的・包括的・複合的なインフラ管理」による官民連携の新しいカタチ(前編)
自治体が管理する道路や上下水道などの社会インフラは今、「人口減少」「設備の老朽化」「担い手不足」という三重苦の中で危機的状況にひんしています。 減りゆく労働人口は税収や料金収入の減少をもたらし、設備の老朽化は複数のインフラにわたって同時多発的に顕在化。また、自治体職員の採用難はとりわけ土木関係の技術職において深刻の度合いを増しています。 日本社会はこの事態をどう乗り越えればいいのでしょう。鍵を握る官民連携の新しいあり方について多角的に考えるセミナーを開催しました。
新たな時代(Society 5.0)を支える社会とは何か?ー「自己組織化」という新しい社会の在り方と、変わりゆく私たちの暮らし
デジタルの進展をパンデミックが後押しし、私たちの暮らしは、職場を中心としたこれまでの暮らしから、家を最小単位とした新しいコミュニティ中心の暮らしへ、大きく変わろうとしています。
パブリックバリュー(PV)の観点から見た地域交通の持つ社会的価値とは?
地域交通は、地域の人々の生活の維持・向上やウェルビーイングの観点から社会的価値の高い事業です。 この地域交通について、組織活動による社会への影響度を普遍的に捉える指標として欧州等で研究が進む「パブリックバリュー(Public Value :以下「PV」)」を用いて分析することで、地域での議論の一助とすべく、調査を実施しました
地域経営型官民連携(PPP/PFI)を実践するシュタットベルケとは
人口減少下において厳しい経営環境にさらされている日本のインフラ業界、その中でもより厳しい環境下にある上下水道等の公共インフラが取り組むべきアクションは何か。ドイツにおいて地域インフラサービスを担っているシュタットベルケの取り組みから学びます。
国土交通省が推進する地域公共交通計画等に関する取り組みにあるように、地域交通の在り方は、地域自らがニーズを捉え、デザインしていく時代へと舵が切られています。すなわち、地域公共交通を民間事業者による内部補助(自助)中心の構造から、地域全体、共助、公助も含めた多様な関係者による「共創」によって再構築を図るという方針が打ち出された状況だと言えます。
地域のウェルビーイングを支える地域交通を持続可能なものとしていくため、今何が求められているのか?
地域交通は、まちづくりと直結し、住民のウェルビーイングを支える重要な基盤インフラです。 社会課題解決・まちづくりと一体で、「共創」により、地域に合った持続可能性を模索した地域交通の仕組みを再構築することは、地域の活性化やカーボンニュートラル実現につながります。
地域住民と産学官パートナーシップにより持続可能なまちづくりを実現する塩尻市の事業推進モデル
長野県塩尻市はEYと連携し、MaaSや自動運転を中核とした交通DXを推進。地域住民はもちろん、企業や国・自治体、学術・研究機関との実践的な連携により自律・自立的に持続可能な価値共創モデルの構築を目指しています。
南紀白浜エアポートは2019年から南紀白浜空港の運営に取り組んでいます。近年では、空港型地方創生を掲げて、南紀白浜エリアの二次交通の課題解消・脱炭素の実現に向けた検討等を実施しています。地方活性化を導く取り組みのコツについて、南紀白浜エアポートの池田直隆氏にお話を伺いました。