EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
井上:
前編でも触れたリアルタイム監査ですが、それを実現した監査法人や監査業界は、企業、資本市場、デジタル社会にどのような価値をもたらすことになるのでしょうか?ヒトの役割も交えながら解説をお願いします。
市原:
これまでの監査は事後的なチェックというものだったので、ある種、カストディアン(資産保全とガバナンス)の位置づけだったと言えます。それがリアルタイムにリスクを識別、インサイトを提供することで経営の意思決定に貢献できる可能性が広がります。つまり、ビジネスパートナー(意思決定と価値向上)としてクライアントに貢献できるようになってくるのです。そういう観点で、財務・経理部門の皆さまも監査DXを活用するというのは一つの将来像として考えられるかと思います。
原:
いま私たち監査業界のリソース不足により、上場したい企業が上場できないという問題が生じていますが、リアルタイム監査の仕組みによってその解決にもつながります。また、現在は会計士がかなりの時間を割いてデータクレンジングをしていますが、それがなくなることで、会計士は本来やるべき異常値の発見、問題があるのかないのかの判断に時間を割けることになります。それは、監査業界全体への信頼性向上につながるでしょう。また、クライアントの皆さんになぜ監査人がこう考えているのかをコミュニケーションする時間ができてきます。