2019年3月期 有報開示事例分析 第3回:決算期変更

2020年2月7日
カテゴリー 解説シリーズ

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 加藤 大輔

Question

決算期変更している会社は?

Answer 

【調査範囲】

  • 調査日:2019年8月
  • 調査対象期間:2019年3月31日
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社1:
    2018年4月1日から2019年3月31日までに終了する事業年度の有報提出会社4,086社(2019年7月1日(法定提出期限)までに有報を提出)
  • 調査対象会社2:
    2019年3月期決算の有報提出会社のうち、以下の条件に該当する1,353社
    ① 2019年7月1日(法定提出期限)までに有報を提出
    ② 日本基準を採用
    ③ 東証一部上場
    ④ 連結財務諸表作成会社

【調査結果】

(1) 有報提出会社における決算期変更

調査対象会社1について、有報提出会社における決算期変更の状況を分析した結果、決算期変更を行った会社数は、<図表1>のとおりである。

<図表1> 有報提出会社の決算期変更

  2018年4月~2019年3月 2017年4月~2018年3月
決算期変更した会社数 (※) 18 30

(※) 変更後の決算期の終了日が記載した対象期間に含まれる会社数。4月~3月の間に2度決算期変更を行った会社は1社としてカウントしている。

(2) 有報提出会社の子会社における決算期変更

調査対象会社2について、有報提出会社の子会社における決算期変更等の状況を分析した結果は、<図表2>のとおりである。
子会社が決算期を変更した会社(47社)が、子会社が連結決算日に仮決算を実施する方法へ変更した会社(12社)よりも多かった。

<図表2> 有報提出会社の子会社における決算期変更等の状況

処理方法の変更パターン 2019年3月期
2018年3月期
子会社が決算期を変更 47 49
子会社が連結決算日に仮決算を実施する方法へ変更 12 13

※ 同一の会社で双方の事象が生じている場合、それぞれ1社としてカウントしている。また、有報提出会社の決算期変更に合わせて子会社も決算期を変更している場合や、仮決算の実施から決算期を変更している等の変更による影響がない場合は除いている。

子会社が決算期を変更した会社(47社)および子会社が連結決算日に仮決算を実施する方法へ変更した会社(12社)について、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項における影響額の記載の有無および会計処理(表示)の状況を分析した結果は、<図表3>のとおりである。

<図表3> 決算期変更による影響の会計処理および注記の記載状況

区分 子会社が決算期を変更(社) 子会社が連結決算日に仮決算を実施する方法へ変更(社)
連結株主資本等変動計算書にて処理(※1) 影響額の記載あり 0 1
影響が軽微の記載 0 0
影響額の記載なし 13 6
連結損益計算書等にて処理(※2) 影響額の記載あり(※3) 6 2
影響が軽微の記載 6 1
影響額の記載なし 22 2
合 計 47 12

(※1) 連結株主資本等変動計算書において子会社の決算期等の変更に関する増減項目がある会社及び連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項において利益剰余金の増減として調整している旨を記載している会社を集計している。

(※2) 連結株主資本等変動計算書において子会社の決算期等の変更に関する増減項目の開示がなく、連結損益計算書等にて処理していると推測される会社もあわせて集計している。

(※3) いずれも段階損益に与える影響のほか売上高に与える影響を記載している。

(旬刊経理情報(中央経済社)2019年9月20日号 No.1556「2019年3月期 「有報」分析」を一部修正)