2019年3月期 有報開示事例分析 第6回:「収益認識に関する会計基準等の早期適用」及び「未適用の会計基準等の注記の開示」

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 兵藤 伸考

Question

2019年3月期決算に係る有報の「収益認識に関する会計基準等の早期適用」及び「未適用の会計基準等の注記の開示」の状況を知りたい。

Answer 

(1) 収益認識に関する会計基準等の早期適用の状況

【調査範囲】

  • 調査日:2019年8月
  • 調査対象期間:2019年3月31日
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社:2019年3月期決算の有報提出会社2,632社

【調査結果】

収益認識に関する会計基準等を早期適用している事例を調査した結果、早期適用している会社は15社であった。このうち、日本基準適用会社は1社であり、その他はIFRS適用会社および米国会計基準適用会社の個別財務諸表での適用事例がそれぞれ13社および1社であった。

(2) 未適用の会計基準等の注記の開示状況

【調査範囲】

  • 調査日:2019年8月
  • 調査対象期間:2019年3月31日
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社:
    2019年4月1日現在のJPX400に採用されている会社のうち、以下の条件に該当する216社
    ① 3月31日決算
    ② 2019年7月1日(法定提出期限)までに有報を提出している
    ③ 日本基準を適用

【調査結果】

① 未適用の会計基準等の注記の開示状況

調査対象会社(216社)を対象に未適用の会計基準等の注記の開示状況を分析した結果、収益認識に関する会計基準等について注記している事例は200社(92.6%)であった。 なお、注記を省略している16社のうち、13社の業種は「銀行業」、「保険業」及び「証券、商品先物取引業」(いわゆる金融機関)であった。

② 収益認識会計基準等の適用予定日の記載状況

収益認識会計基準等について注記している200社について適用予定日を分析した結果は、<図表1>のとおりである。

原則適用となる2022年3月期決算に適用予定である事例は177社(88.5%)と多数を占め、早期適用を明示している事例が8社みられた。

<図表1> 収益認識会計基準等の適用予定日の記載状況

適用予定日

会社数

比率

2020年3月期

4社

2.0%

2021年3月期

4社

2.0%

2022年3月期

177社

88.5%

2022年12月期 (※)

1社

0.5%

2023年2月期 (※)

1社

0.5%

検討中または未定

12社

6.0%

IFRS任意適用予定

1社

0.5%

合計

200社

100.0%

(※) いずれの会社も、2019年3月期に係る定時株主総会において定款変更を決議し、それぞれ12月決算、2月決算への決算期変更を行っていた。

(旬刊経理情報(中央経済社)2019年9月20日号 No.1556「2019年3月期 「有報」分析」を一部修正)


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