EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2025年3月20日、EUは、米国による鉄鋼とアルミニウムに対する追加関税に対抗して策定した措置の発動を2025年4月中旬まで延期すると発表しました。なお、これらの措置の改定後の実施日は未定です。
当初EUは、2025年4月1日に45億ユーロ(49億米ドル)相当の米国製品に2018年の関税を再度賦課し、続いて2025年4月13日に180億ユーロ相当の米国製品へ関税を追加する予定でした。欧州通商担当委員のマロス・セフコビッチは、加盟国との協議を可能にし、米国との交渉期間を延長するために、2つの対抗措置のタイミングを調整すると発表しました。
また、対抗措置の実施に伴い、措置の対象となる特定の米国製品に変更が生じる可能性があります。
EUが提案する関税の詳細については、2025年3月14日付のEY Global Tax Alert「EU responds to US tariffs on steel and aluminum」(英語のみ)をご覧ください。
発動が延期されたとはいえ、企業にとって、欧州委員会が提案した対抗措置の潜在的な影響を評価することは依然として重要です。企業は、対抗措置によって関税が再び賦課されている、または賦課される可能性のあるHSコードに該当する製品を直近で輸入した、または輸入する予定があるかを評価する必要があります。
企業は、輸入製品のHSコードが正確であることを確認することに加えて、担保と支払残高が十分にあるかを確認しなければなりません。
また、企業は、影響評価の結果に基づき、ステークホルダーとの協議プロセスの中でEUの政策執行機関に意見を提出するかどうかを検討する必要があります。
想定される影響を考慮すると、企業は潜在的な緩和戦略を調査する必要があるでしょう。一般的に、関税評価額に含まれる要素を分析し、特別な通関手続きの活用や調達戦略を見直すことは、商業政策措置の影響を軽減、延期、または排除するのに役立ちます。そのためには、サプライチェーンをエンドツーエンドの視点で捉え、貿易、サプライチェーン、直接税の機能を含む多面的な観点でアプローチを取ることが不可欠です。
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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