EU、鉄鋼・アルミに対する米追加関税への対抗措置の発動を2025年4月中旬に延期

  • 欧州連合(EU)は、米国による鉄鋼・アルミ関税賦課への対抗措置の開始を2025年4月中旬に延期します。
  • 当初、欧州委員会は2025年4月1日から米国製品に対して2018年の関税を再度賦課し、続いて2025年4月13日に追加関税を課す予定でした。
  • これら2つの対抗措置のタイミングは、加盟国との協議と米国との交渉期間の延長のために調整されます。
  • 企業にとって、EUの対抗措置による潜在的な影響を評価することは依然として重要です。これには、例えば、直近でどの程度関税が課される可能性のあるHSコードに該当する製品を輸入したか、または輸入する予定があるかといったことが含まれます。


エグゼクティブサマリー

2025年3月20日、EUは、米国による鉄鋼とアルミニウムに対する追加関税に対抗して策定した措置の発動を2025年4月中旬まで延期すると発表しました。なお、これらの措置の改定後の実施日は未定です。

当初EUは、2025年4月1日に45億ユーロ(49億米ドル)相当の米国製品に2018年の関税を再度賦課し、続いて2025年4月13日に180億ユーロ相当の米国製品へ関税を追加する予定でした。欧州通商担当委員のマロス・セフコビッチは、加盟国との協議を可能にし、米国との交渉期間を延長するために、2つの対抗措置のタイミングを調整すると発表しました。

また、対抗措置の実施に伴い、措置の対象となる特定の米国製品に変更が生じる可能性があります。

EUが提案する関税の詳細については、2025年3月14日付のEY Global Tax Alert「EU responds to US tariffs on steel and aluminum」(英語のみ)をご覧ください。


企業に求められる対応

発動が延期されたとはいえ、企業にとって、欧州委員会が提案した対抗措置の潜在的な影響を評価することは依然として重要です。企業は、対抗措置によって関税が再び賦課されている、または賦課される可能性のあるHSコードに該当する製品を直近で輸入した、または輸入する予定があるかを評価する必要があります。

企業は、輸入製品のHSコードが正確であることを確認することに加えて、担保と支払残高が十分にあるかを確認しなければなりません。

また、企業は、影響評価の結果に基づき、ステークホルダーとの協議プロセスの中でEUの政策執行機関に意見を提出するかどうかを検討する必要があります。

想定される影響を考慮すると、企業は潜在的な緩和戦略を調査する必要があるでしょう。一般的に、関税評価額に含まれる要素を分析し、特別な通関手続きの活用や調達戦略を見直すことは、商業政策措置の影響を軽減、延期、または排除するのに役立ちます。そのためには、サプライチェーンをエンドツーエンドの視点で捉え、貿易、サプライチェーン、直接税の機能を含む多面的な観点でアプローチを取ることが不可欠です。



お問い合わせ先

EY税理士法人

大平 洋一 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー

※所属・役職は記事公開当時のものです






You are visiting EY jp (ja)
jp ja