これだけは知っておきたい!会計入門 はじめに

公認会計士 松尾 絹代

「会計って難しい」

「決算書って、なんとなく苦手」

そんなふうに感じていらっしゃいませんか?

実は、「会計」や「決算書」と聞くと、身構えてしまう方は大勢いらっしゃいます。日々の取引や会計伝票は、とても身近なものなのに、いざ決算となると、とっつきにくさを感じたり、何をすればよいのか戸惑いを感じてしまう。

それは、もしかすると、日々の取引と決算書をつなぐ、ちょっとしたコツがつかみづらいだけなのかもしれません。


これだけは知っておきたい!会計入門

新企画「これだけは知っておきたい!会計入門」では、皆さまの会計および決算書をめぐるモヤモヤ感を解消するためのファーストステップとして、もっとも大切な10個のポイントを取り上げ、やさしく解説します。エグゼクティブの皆さまはもちろん、エグゼクティブを目指す皆さまや、エグゼクティブを支える皆さまも、会計に苦手意識をお持ちの方は、ぜひご活用ください。

第1回 売上取引
第2回 売上債権
第3回 仕入取引
第4回 在庫
第5回 人件費(給与、賞与)
第6回 経費
第7回 借入金
第8回 固定資産
第9回 税金
第10回 決算整理

決算書に対するモヤモヤ感を払しょくするためには、何が必要なのでしょう。例えば、皆さまは日々、伝票を入力します。それを1年分集計しても、多くの場合、そのままでは決算書の数字とはなりません。なぜ日々の取引の結果が、会計の数字につながらないのでしょう。ここに、決算特有のポイント、言い換えると決算書を理解するためのコツがあります。

カギを握っているのは、「決算書の作られ方」です。1年分の伝票を集計した後、正しい決算書を作成するために、数字の調整を行います。この調整が、決算書を理解しづらいものにしてしまうのです。

このシリーズでは、まずはとても重要な10項目だけに絞り、日々の取引から決算書が作られる一連の流れを見たいと思います。「なぜ調整が必要なのか」という疑問にも、しっかりお応えできるよう、やさしく説明します。

「会計って難しい」を「会計って難しい?」に変えるのは、ほんの小さなコツのマスターから。次回、第1回は、とても重要な「売上取引」を取り上げます。そこで、日々の売上が、どのように決算書の売上高につながるのかを見ていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

~補足~
連載では、以下の決算書の各科目についてご説明していきます。目次代わりとしてご活用ください。

貸借対照表

資産の部負債の部
科目金額連載回数科目金額連載回数
【流動資産】  【流動負債】  
 現金預金150 買掛金250第3回
 売掛金300第2回 借入金50第7回
 棚卸資産100第4回 未払費用10第6回
 前払費用5第5回 未払法人税等122第9回
 貸倒引当金△3第2回 預り金2第6回
    賞与引当金5第6回
【固定資産】     
建物150第8回   
工具器具備品20第8回 純資産の部 
車両運搬具18第8回資本金10
ソフトウェア5第8回繰越利益剰余金296
資産の部合計745 負債及び純資産の部合計745 

損益計算書

科目金額連載回数
売上高1,200第1回
売上原価700第3回
 売上総利益500 
販売費及び一般管理費  
 人件費 第6回
  給与20第6回
  賞与8第6回
  賞与引当金繰入額5第6回
  社会保険料1第6回
 経費  
  減価償却費12第8回
  租税公課3第9回
  賃借料2第5回
  貸倒損失1第2回
  貸倒引当金繰入額3第2回
販売費及び一般管理費合計55 
 営業利益445 
 雑収入1
営業外収益合計1 
 支払利息3第7回
 雑損失1
営業外費用合計4 
 経常利益442 
 税引前当期純利益442 
 法人税、住民税及び事業税146第9回
 当期純利益296 

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