EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYパルテノンは、EYにおけるブランドの一つであり、このブランドのもとで世界中の多くのEYメンバーファームが戦略コンサルティングサービスを提供しています。
3つの質問
EY Japanの視点
プライベートエクイティファンドがポートフォリオ企業の価値を高めるにあたり、コスト削減は必須と言えます。一方で、短期で大きな成果を求めるあまり対症療法にとどまり、下記のような状況に陥りがちです。
EY Japanでは、デマンドマネジメントとサプライマネジメントの双方の観点から、コスト削減の診断から実行・定着化までご支援します。これにより、抜本的なコスト削減をスピーディーにかつ着実に創出し、企業価値の向上に結び付けることを目指します。
現在のビジネス環境は、プライベートエクイティ(PE)ファンドのマネジメントチームに、コスト構造に総合的に取り組む機会とレジリエンスを構築する機会の双方をもたらしています。ここ数年来、合理化や組織再編によるコスト削減を実施し実績を出してきたにもかかわらず、経営陣は再びコスト管理というプレッシャーにさらされています。不安定な経済、高インフレ、地政学的逆風が重なる厳しい環境の中で、適切なコスト最適化戦略(Cost Optimization Strategy:COS)を策定し実行できれば、ゲームチェンジャーとなる可能性があります。 多くの企業はコスト管理を経営安定のために実施しますが、これからの勝者はレジリエンスと将来の成長のためにコストを管理する企業です。
PEファンドとそのポートフォリオ企業は、特にマルチプルの下落と資金調達コストの上昇の両方に直面しており、プレッシャーがさらに大きくなっているのは明白です。EYは、2025年末までにポートフォリオ企業の5,300億米ドルの負債が償還期限を迎えると推定しています。このため、EBITDA水準を維持する必要性が高まり、さらなるコスト改善が急務になると考えられます。
多くのビジネスリーダーは、強靱なコスト構造を構築するための幅広い機会を活用しないままに、戦術的なコスト管理にとどまっています。ビジネス管理・情報システムは、一般に予算を組むなど管理向けに設計されており、プロセスの透明性の確保やプロセス自体の改善を図れるようにはできていません。このため、コスト再構築において戦術的なトップダウンの意思決定を行う企業では、将来の成長に不可欠なリソースを排除してしまうリスクがあります。
適切なコスト最適化戦略を効果的に策定し実行できれば、運用レバレッジの増大により短期的な収益性が向上します。これにより、企業が逆境を乗り越え、長期的に競争優位を維持する基盤とすることが可能になります。
コスト最適化戦略を成功させるために、企業は次の3点について自らに問う必要があります。
次のステップは、コスト最適化戦略の範囲、強度、タイミングを決定することです。経営陣は通常、次のいずれかのアプローチを採用します。
EYパルテノンができること
EYのプライベートエクイティの価値創造のリーダーは、目標とするリターン達成のために、キャッシュと利益の改善加速の支援をします。
続きを読むプライベートエクイティ所有の企業や、事業部門の将来を検討している企業で、自社の資産の真のコストベースの潜在力を知りたいというニーズが高まっています。実現可能なコスト削減の機会を全て実施できた場合、期待できる成果とはどの程度になるでしょうか。
価値創造の余地診断を迅速に実施することで、価格設定や運転資本、資本配分、税の最適化、環境・社会・ガバナンス(ESG)などビジネスの他の要因に関わるコストを検討するためのフレームワークの設定が可能になります。診断は必要とされるコストの可視化をバイアスのない形で実行し、短期・中期・長期の価値創造計画の基礎となります。また、重要な経営判断をする際、例えば不良資産の改善や売却オプションの追求を重視するのか、あるいは事業の一部縮小に注力するのか、などの判断の材料にもなります。
コスト削減方法とその範囲を確定後、次に問うべきは、ビジネスのどの領域を改善の対象にすべきか、です。マネジメントチームが取り組むべき4つの重要分野は次の通りです。
製品、原材料、委託業者のコストだけでなく、間接的支出の要素も含めて、あらゆる支出を検討し調査します。
企業が時間の経過とともにたどる複雑化は、生産性を低下させ、コスト増につながることがよくあります。組織が複雑化するとビジネスの真のコストドライバーを完全に把握することが一層困難になりますが、ビジネスの簡素化を実施することにより、持続可能なコスト最適化が可能になります。その際に考慮すべき重要な課題は次の通りです。
サプライチェーンのコストはあらゆるビジネスにおいて重要であり、オペレーションの観点からはレジリエンスも不可欠です。最近のサプライチェーンの混乱、経済的・地政学的圧力によって、この分野のコスト最適化に関するさまざまな機会が明らかになってきました。
人件費はコスト最適化戦略の鍵となります。インフレによる賃金上昇を相殺するには、生産性を重視し、付加価値の低い活動や重複のある活動を撤廃する必要があります。採用部門は現在、人材争奪戦に直面しています。高スキルの人材を確保・維持する費用が高騰し、雇用コストの上昇のため外部委託を増やさざるを得ない状況です。人材の維持と育成、ならびにリーダーに適した優秀な人材の採用は、価値主導の文化を創造する上で中核となるファクターです。
今日のビジネスリーダーは今までにないほどの重責を負っています。インフレ圧力、エネルギー問題、ESGへの注目の高まり、サプライチェーンの混乱、そして人材不足、これら全てが一度に押し寄せている状態です。
この状況を生き延び、成長するには、コスト削減に対するアプローチを根本から再考する必要があります。従来型の重点領域やアプローチは現在も部分的には有効で短期的な利点があるものの、実施後1年から1年半には高コストに戻ることも多々あります。
経営幹部は事業運営を包括的に見つめ、営業、財務、業務、データ分析といった自社の能力を総動員し、緊急の優先課題に対応しながら持続可能な価値の提供に結びつける必要があります。
今日求められている経営課題を鑑みると、経営幹部にはコスト削減の優先順位の明確化、定量化、およびその実行に関する明晰な思考が必要です。勝者となるのは、この機会に乗じコストを管理し、レジリエンスの高いビジネスの成長を目指す企業です。