EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYの関連サービス
エリア別のIPOパフォーマンス概要:投資家はファンダメンタルズに再注目
2022年2QのIPO市場を各エリア別に見ると、まずAmericas(北・中・南米)では41件のディールが完了し、調達額は25億米ドルとなりましたが、これは、前年同期比で件数は73%、調達額は95%の減少となりました。Asia-Pacific(アジア・パシフィック)では、件数が181件、調達額が233億米ドルとなり、それぞれ前年同期比37%減、42%減となりました。EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)では、件数が83件、調達額が148億米ドルとなり、それぞれ前年同期比62%、44%の減少となりました。
過去2年間に上場した多くのスタートアップの市場流動性が窮迫し、株価が大幅に下落したことを踏まえ、投資家は銘柄の選別を強め、単なる「成長」ストーリーや予測ではなく、企業のファンダメンタルズ、例えば持続可能な利益やフリーキャッシュフローに再び着目し始めています。
EY Global IPOリーダーのPaul Goのコメント:
「投資家は、ESG(環境・社会・ガバナンス)をコアビジネスの価値の一部として組み込みながら、レジリエントなビジネスモデルと利益ある成長を示すことができる企業に再び注目しています」
2022年3Qの見通し:不確実性とボラティリティは継続の可能性が高い
2022年上半期には多くのメガIPOが延期されたため、現在の不確実性とボラティリティが落ち着けば、市場に出る可能性のある案件が堅実に準備を進めていることを示しています。しかし、現在の不確実性や市場のボラティリティによる強い逆風は、今後も継続すると思われます。その中には、地政学的緊張、マクロ経済要因、資本市場の低迷、長引くパンデミック(世界的大流行)による世界的な旅行関連セクターへの影響などが含まれます。
テクノロジーセクターは、市場に出るIPO件数の点で、引き続き主要なセクターとなるでしょう。しかし、原油価格の高騰を受けて再生可能エネルギーへの注目が高まっていることから、エネルギーセクターも依然として大型案件の調達額でリードすることが予想されます。
投資家やIPO候補企業にとって、ESGは引き続きセクターを問わず重要なテーマになるとみられます。世界的に気候変動とエネルギーの供給制約が激化する中、ESGをコアビジネスの価値と事業運営に組み込んでいる企業は、より多くの投資家の関心を集め、より高い評価を得られるでしょう。