EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2021年の不確実な環境にもかかわらず、世界のIPO市場は異例の年となり、第4四半期も引き続きIPO件数と調達額が過去最高を記録しました。全体では、2021年の件数は2,388件、資金調達額は4,533億米ドルとなり、前年比でそれぞれ64%、67%の増加となっています。
世界のIPO市場では、2021年を通して件数と調達額の双方に全体的な増加が見られましたが、最大の伸びを示したのは欧州、中東、インド、アフリカ(EMEIA)の取引所であり、件数で158%、調達額では214%の増加となりました(件数は724件、調達額は1,094億米ドル)。Americas(北・中・南米)も引き続き活況を呈し、IPO件数は528件、調達額は1,746億米ドルで、それぞれ87%、78%の増加を示しています。Asia-Pacific(アジア・パシフィック)地域では、件数は1,136件(28%増)、調達額は1,693億米ドル(22%増)と、比較的緩やかな増加にとどまりました。
セクター全体で見ると、テクノロジーセクターのIPO件数が最も多く(611件)、2020年第3四半期以来6四半期連続でトップを維持、調達額(1,475億米ドル)は2020年第2四半期以来7四半期連続で最大となっています。件数と調達額でそれに続くのがヘルスケアセクターで、IPOの件数が376件、調達額は654億米ドルでした。工業セクターはヘルスケアと大差なく、IPO件数は310件、調達額は631億米ドルとなりました。
新年を見据え、IPO活動に影響を及ぼしそうな追い風と逆風の両方が視野に入ってきました。地政学的な緊張、インフレリスク、現在もなお進行している新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの新たな展開や変異株など、経済の本格的な回復を妨げる要因が重なっています。こうした要因にもかかわらず、現在のところ、比較的高いバリュエーションと市場の流動性により、2022年のIPOの窓は開かれています。IPOを目指す企業には、市場ボラティリティの上昇を予想し、IPOスケジュールが遅延した場合の資金調達ニーズに対応する代替案を持つ、といった柔軟性を保つことが求められます。