EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYパルテノンは、EYにおけるブランドの一つであり、このブランドのもとで世界中の多くのEYメンバーファームが戦略コンサルティングサービスを提供しています。
2024年の世界的な選挙スーパーサイクルは、米国でドナルド・J・トランプ次期大統領の再選で幕を閉じました。トランプ氏の当選は、地政学的リスクがすでに最高潮に達し、その勢いが高まっている現状にあっても依然として世界で最も重要な経済的・地政学的アクターである米国の内政・外交政策にとって、大きな転換点となるでしょう。
米国の指導力に対する挑戦、欧州や中東でのし烈な軍事紛争、そして東アジアでの衝突や不安定化への懸念の高まりといった脅威の発現が加速しているタイミングで、日本では与党が15年ぶりに衆院議席の過半数を失いました。このことは国際的な場面での日本の指導力低下にもつながりかねません。またこうした世界の潮流にあって、木原 稔 防衛大臣(当時)はかつて「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」*1と言及しています。
EYの調べ*2によると、上場企業の年次有価証券報告書における地政学的リスクや関連用語への言及は、過去10年間で10倍と激増しています。また別の調査*3では、日本企業のほぼ10社に4社が過去数年間に経済安全保障部門を設立していることが明らかになっています。
地政学的要因が招く下降トレンドから脱却する力を有する企業はほとんどない状況にある一方で、グローバル展開戦略を再構築し、ポートフォリオがどの程度の耐性を持っているかを評価し、いわゆる「地政学的な筋肉(企業が国際的なビジネス環境において、地政学的な要因を利用して競争上の優位性を確保する能力)」への投資を行う決定権を、経営者は握っています。
*1:防衛省 「令和6年版 日本の防衛 防衛白書」、www.mod.go.jp/j/press/wp/index.html(2024年12月アクセス)
*2:EY Japan 「米大統領選結果から見る、「トランプ2.0」で日本企業が取るべき4つの行動」
*3:地経学研究所 「2023年 経済安全保障100社アンケート暫定速報 日本企業の日米回帰、求められる国内政治の安定、中国市場での反転攻勢」、instituteofgeoeconomics.org/research/2024011054347/(2024年12月アクセス)
EYと英オックスフォード大学サイード・ビジネス・スクールの共同研究によると、ほぼすべての変革(96%)には必ず1つ以上の「転換点」が存在します。そうした転換点においてCEOがどのように先見的に備え、乗り超えるかが、変革全体の成否を左右すると言えます。また注目すべき点としては、転換点のほぼ半数(48%)においては、外部の甚大な問題やショックが少なくとも1つ生じます。そのようなショックが、各国政府や地政学的情勢によって引き起こされている傾向にあるのは明瞭です。例えばEY-Parthenonによる2024年9月のEY CEO Outlookの調査結果では、CEOの3分の1以上が、地政学的な混乱や経済環境の変化が、今後1年間の混乱リスクのうち最も懸念されるものの一つになると予想しています。
しかし、CEOのわずか30%しか、事業、市場、サプライヤーが直面する自社の政治リスクへのエクスポージャーについて、全体的な展望を持てていないようです。こうした状況は、経営者の視野を狭め、地政学的にロバスト(頑強)な戦略を講じて自信を持って未来を形作ることからCEOを遠ざけます。EY-ParthenonのGeostrategic Outlook 2025年版は、経営者にとって、非常に複雑で、複数に及び、かつ相互に関連する地政学的情勢について洞察を得るのに役立ちます。また、それら地政学的情勢が、テクノロジーやサステナビリティ、人口動態、マクロ経済といった世界の変革を形づくっていく破壊的リスクとどのように作用し合うかの理解向上に役立つはずです。
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2024年は、主にGeostrategic Outlook 2024年版で「世界的な選挙イヤー」と名付けた動向からの影響により、政治的および政策的な不確実性で特徴づけられた1年でした。EYでは将来を展望するにあたり、2025年に浮上するであろう地政学的リスクトップ10の性質を形づくり、加えて変革アジェンダを新たに再構築する3つの主要テーマを特定しました。
Geostrategic Outlook 2025年版における地政学的動向トップ10は、セクターや地域を問わず、企業の変革アジェンダ全般に広範な影響を与えると考えられます。ただし、特に短期から中期的には、各動向は特定のセクターに対してより直接的な影響を及ぼすとみられます。以下のタイルをクリックし、各セクターのリーダーが、地政学的な混乱に対し前もって備え、いかに自信を持って未来を形作ることができるかについてご確認ください。
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