EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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地政学戦略グループ(Geostrategic Business Group)の存在意義は、企業が、地政学的情勢が事業に与える影響や、世界的に不安定なこの情勢をうまく乗り切る方法を把握するために支援をすることにあります。
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不確実な社会に対応した強固な戦略を構築するには
こうした地政学的動向はいずれも、グローバル企業に課題と機会の両⽅をもたらしています。地政学的に不確実な時代にあって企業が成⻑するには、地政学的動向のみならずその他の政治リスクまでをマネージし、⻑期的戦略に織り込むなど、より一層戦略的なアプローチをとる必要がありそうです。ボラティリティが定着し、政策のトレードオフが発生しそうな2023年に、自社の成⻑のために経営幹部が選択できる「後悔なき」地政学的戦略アプローチを5つ、最後にご紹介します。
1. コスト上昇にうまく対応する
ほとんどの地政学的動向は企業の経営コストを押し上げることが予想されます。サプライチェーンの再構築、クロスボーダー・オペレーティングモデルの有効性の向上、エネルギーの効率化といった対応策が、こうしたコスト上昇を抑える⼀助となるかもしれません。
2. サプライヤーエコシステムを評価する
2023年も地政学的動向のすべてがサプライチェーンに影響を及ぼす可能性は⾼く、それが現実となれば2年連続のことです。リスクを多⾯的に評価する、サプライヤーのオンショアリング/ニアショアリング/フレンドショアリングを行うことを検討する、サステナビリティやESGの⽬標達成を後押しするサプライチェーンを築く、といった対策をとり、レジリエンス強化を目指すことが有効と考えられます。
3. 「友好的」な国・地域での事業機会を模索する
産業政策の利用拡⼤と⾃給自足へのシフトの動きは、従来型のグローバルなビジネスモデルを動揺させることになりそうです。企業に最も確実に成⻑と投資の機会をもたらすのは、主に本国やその同盟国での市場開拓ではないかと考えられます。
4. ステークホルダーの優先課題に合わせて経営戦略を策定する
地政学的動向の影響により、ステークホルダーの優先課題や企業に対する期待も変化すると思われます。その先を⾒越して、顧客、従業員、投資家、政策決定者の要求を満たすような成⻑戦略を策定することが、政治リスクを軽減する⼀助となる可能性もあります。
5. シナリオ分析を実施する
2023年に予想される地政学的動向は、中期的な地政学的⾒通しの不確実性の高さを浮き彫りにしています。地政学的なリスクに対するシナリオ分析の実践は、今後訪れる激動の時代において、企業が不確実性への備えを整える上で非常に有効な手段の1つであると考えられます。