EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2025年1月21日、米国税関国境警備局(CBP)は、特定通商措置または国家安全保障措置の対象となる商品について、特定の低額物品(1人1日あたり800米ドルまでの物品)を行政的免除の対象外とする制定案通知(NPR)を発表し、パブリックコメントを募集しています1。この規則提案は、バイデン・ハリス政権が2024年9月に概説した2つのNPRのうちの2番目です。
2015年貿易円滑化・貿易執行法(TFTEA)第901条(法律番号114-125、連邦法令集130巻122頁)によって改正された、1930年関税法第321条(a)(2)(19 U.S.C. 1321(a)(2))(以下、第321条)は、次の3つのカテゴリーに分類される1人あたり1日最大800米ドル以下の商品に対して関税および税金の行政的免除を認める権限を付与しています:
i. 外国人から米国人へ送られる真正な贈与品で、価額が100米ドル以下のもの(特定の海外からの贈与品の場合は200米ドルまで)
ii. 米国に入国する者が携帯する特定の個人または家庭用の物品で価額が200米ドル以下のもの
iii. その他の輸入物品で価額が800米ドル以下のもの
これらの物品は、一般にデミニミス物品と呼ばれます。
NPRは、1962年通商拡大法第232条、ならびに1974年通商法第201条および第301条に該当する「特定の通商または国家安全保障措置」の対象となる物品への関税免除の廃止を目的としています。これらの品目を手続免除措置の対象外とすることで、国家安全保障や国内産業に影響を与える脅威を防止しながらも、通商または国家安全保障措置の品目に対する手続免除措置が、他の米国通商法の下でも一貫して適用されるよう保証することを目的としています。手続免除措置の対象外となる物品は、当該関税の徴収のために適切な入国手続きに従って国内に持ち込む必要があります。
免除の対象となる特定の物品は、米国関税率表(HTSUS)の10桁の分類番号が求められます。また、CBPは、海外から米国内の個人へ送られる100米ドル(特定の海外からの贈与の場合は200米ドル)以下の真正な贈与品や、米国に到着する個人が携帯する200米ドル以下の身の回り品や家庭用品を含めるべきかどうかについて意見を求めています。
最後に、CBPは、これら米国向け物品に対する今回の規則案が、米国郵便公社(USPS)の国際郵便輸送の運用上の実行可能性に与える影響について、一般からの具体的な意見を求めています。USPSは、この種の郵便物品を別扱いとする十分な理由が存在するかどうかを判断するため、規則策定記録へコメントを提出する予定です。
コメントの提出手順は、連邦規則制定ポータルに掲載されています。コメントには、機関名とドケット番号USCBP-2025-0003を記載した上で、2025年3月24日までに提出する必要があります。
トランプ政権は、2025年1月20日のアメリカファースト貿易政策覚書でデミニミス免除の見直しを開始しましたが、同様の規制変更を検討すると予想されています3。これらの変更案は、多数の米国の輸入品に影響を及ぼし、トランプ政権が関税を引き上げる場合には、さらに大きな影響を及ぼす可能性があります。
懲罰的関税の対象品に関する提案を踏まえ、企業は新たな要件を確実に順守するために積極的な措置を講じる必要があります。以下のアクションは、企業がこれらの規制変更に備え、適応するために役立つと思われます。
巻末注
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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