経済安全保障推進法に基づく基幹インフラ役務の安定的な供給の確保に関する制度対応・サプライチェーン戦略策定支援

In Consulting

2023年11月に特定社会基盤事業者が各省庁により指定され、対象事業者には2024年5月17日から特定重要設備等の導入に際し、委託先企業やその役員の国籍情報等の提供、サイバーセキュリティ対策、物理対策などを実施した上で事前審査が求められます。審査に通過できない場合、特定重要設備の導入等ができず、事業に大きな影響を来たします。EYは制度の趣旨および経済安保対応のグローバルスタンダードに基づく独自の水準を用いて、政府審査に通過するための支援を行います。

背景

2022年5月11日に経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下、経済安全保障推進法)が成立しました。

経済安全保障推進法の柱となる4施策の1つに基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度が含まれており、2023年11月16日には国民生活や経済活動の基盤となる役務を提供する特定社会基盤事業者が200社ほど指定されました。
対象事業者には2024年5月17日以降、特定重要設備(※)の新規導入や重要維持管理等の委託を行うために、委託先等も含めて政府の定める措置を講じ、公開されていない政府の基準に基づく審査に通過することが求められます。

※特定重要設備:「特定社会基盤事業の用に供される 設備、機器、装置又はプログラムのうち、特定社会基盤役務を安定的に提供するために重要であり、かつ、我が国の外部から行われる特定社会基盤役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されるおそれがあるもの」1

(出所)内閣官房「特定社会基盤役務の安定的な提供に関する制度の運用開始に向けた検討状況について」

(出所)内閣官房「特定社会基盤役務の安定的な提供に関する制度の運用開始に向けた検討状況について」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai7/siryou1.pdf
 

特定社会基盤事業者が直面する課題

特定重要設備および重要維持管理等に対するリスク管理措置には、サイバーセキュリティ対策や設備の安全なサプライチェーンの確保、設備に対する物理的攻撃への対策、安全な委託先選定などの措置が含まれています。自社の対応に加え、委託先および再委託先等のリスク管理措置対応の実効性が確実なものであることを担保することも特定社会基盤事業者の責務です。

政府審査において届出内容に不備があると判断された際、必要な措置の指示もしくは計画の中止を勧告されることになり、最悪の場合、インフラ設備導入計画の中止や業務の停止に陥る可能性があります。

現在政府から発表されているリスク管理項目は、記載内容が非常にあいまいな表現になっており、文字通りに措置を講じるだけで審査に通過できる保証はありません。そのため、特定社会基盤事業者には、政府が求めているリスク管理措置の導入背景を解釈し、基幹インフラの重要設備がわが国の外部から⾏われる役務の安定的な提供を妨害する⾏為の⼿段として使⽤されることを防⽌する、という法律の趣旨を考慮した対策を講じる必要があります。

EYの提供サービス

EYは経済安全保障の専門チームを擁し、日本のみならず米国や欧州をはじめとした各国におけるインテリジェンスを保有しています。その強みを生かし、サイバーセキュリティや物理対策における経済安全保障のグローバルスタンダードを参考にしながら、事前審査を通過することを目指したサポートをいたします。

EYは経済安全保障の専門チームを擁し、日本のみならず米国や欧州をはじめとした各国におけるインテリジェンスを保有しています。その強みを生かし、サイバーセキュリティや物理対策における経済安全保障のグローバルスタンダードを参考にしながら、事前審査を通過することを目指したサポートをいたします。

提供可能なサービスの例

  • 新制度に伴う社内体制構築支援
  • 法律が定める特定重要設備・構成設備の該当範囲の設定
  • 審査対応支援(監督官庁からの確認に対する回答案検討支援等)
  • 社内におけるリスク管理措置導入支援
    • リスク管理措置の準拠状況アセスメント
    • リスク管理措置の導入支援(業務フロー・規程改定、人事制度見直し等)
    • リスク管理措置の内部監査プログラムの作成支援
  • 委託先に関連する支援
    • 委託先選定・調達・検品基準の作成支援
    • 委託先に対する監査プログラムの作成支援
    • 委託先とのコミュニケーション支援(委託先から情報提供を拒まれた際などの対応支援)
  • 特定重要設備のサプライチェーン戦略策定支援
    • 特定重要設備のサプライチェーンの調査支援
    • 設備更新計画とサプライチェーン変革方針の策定支援
    • サプライヤーを巻き込んだ生産拠点変更・素材改革などの中期変革計画の立案
    • 特定重要物資指定の申請支援
    • 代替サプライヤーの探索支援

1.内閣府「特定妨害行為の防止による 特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する基本指針」、https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/doc/kihonshishin2.pdf(2024年2月19日アクセス)



ニュースリリース

EY Japan、経済安全保障推進法への対応およびサプライチェーン戦略策定を支援するサービスを強化

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、2024年5月に運用が始まる経済安全保障推進法に基づく「基幹インフラ役務の安定的な供給の確保に関する制度に対応する事業者の事前審査」を支援するサービスを提供しています。

EY Japan + 1

EY Japan、経済安全保障リスクマネジメント支援体制を拡充

【EY Japan】EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡)は、これまで提供していた「経済安全保障を起点とした企業経営リスクマネジメント支援」に、新たに企業が有事に想定すべきリスクシナリオをシミュレーションし、対策を検討する「国際情勢の未来リスクシミュレーションに基づく実践的BCP(事業継続計画)立案支援」を本格的に追加提供します。

    関連情報

    経済安全保障推進法によるインフラ事業者への影響

    2022 年 5 月に成立した経済安全保障推進法の柱となる4施策の1つに「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保」が含まれています。本法がインフラ事業者およびインフラ業界にどのような影響を及ぼすかについて解説します。


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