EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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EYでは経済安全保障の政策動向について、各国のルールや新常識の動向を収集・分析し、⽇本に影響を及ぼし得るシナリオと想定される経営リスクを常時モニタリングし、機会に転じる経営戦略の策定からビジネスモデル改革、サプライチェーン改革、サイバーセキュリティ体制の構築まで、⽇本政府や企業・業界団体などに対してさまざまな提⾔や支援を⾏っています。
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米国による半導体規制などに代表されるように米国と中国の関係に緊張が増す中、世界各国では経済安全保障を確保するための取り組みが進められています。そのような環境下において、日本企業はどのようなことを想定して経営戦略を立てていけばよいのでしょうか。
この問いに対して國分は「『台湾海峡有事』を想定した対応の検討が重要になるだろう」と指摘します。2022年5月に米国のテレビ局NBCとシンクタンクCNAS、そして現職の民主党と共和党の両議員が参画して実施した台湾有事シミュレーションでは、中国が台湾を侵攻する場合、第一攻撃は横田・厚木・横須賀・岩国・佐世保・嘉手納の在日米軍基地へのミサイル攻撃、第二攻撃は三沢・小松・呉の在日米軍基地へのミサイル攻撃になるという予測を打ち出しました。
「日本ではよく沖縄が巻き込まれるか否かが争点となっていますが、このシミュレーションでは東京を含む本土の米軍基地へのミサイル攻撃が前提とされています。しかも両議員は本土の米軍基地への攻撃は当然のこととして驚きは一切なく、議論が展開されています。」と國分。続けて、各企業が直面し得る問題について次のように話します。
「日本企業は本土がミサイルで攻撃されたときに業務を止めるか続行するか、サプライチェーンを回し続けられるかについてのBCP(緊急事態時における事業継続計画)を策定しておかなければなりません。ロシアによるウクライナ情勢ではキーウに1日70発以上のミサイルが撃ち込まれましたが、マクドナルドはハンバーガーを販売し続けていました。もし、在日米軍基地にミサイルが落ちたからといって日本企業が事業を止めたとしたら、その損失を招いた経営陣の判断について株主代表訴訟による追及も十分にありうるでしょう。先進的な日本企業はすでに、ミサイルの着弾地点に応じたBCPの策定に着手しています」(國分)
有力な外交雑誌である『Foreign Affairs Report』1 は、習近平の戦争に関する発言を裏付けるように中国では侵攻に向けた動きが観測されていると指摘。「この動きはウクライナ情勢が始まったときとよく似ており、日本企業も先回りした対応が必要です。クライアントの中には、台湾海峡有事に備えて1年分の在庫を確保するためにすでに動き出している企業もあります。米国では、中国に依存している調達リスクを低減する目的から、新品の部品の利用量を削減できるリマニュファクチャリングが加速し始めています」と國分は話します。