西脇氏:サステナビリティへの取り組みのスタートは、環境への負荷や削減効果を可視化・計測することです。効率的なデータ活用を行うためには、プラットフォームが必要です。マイクロソフトが提供するサービスを通して、さまざまな事業の現場で得られるデータを収集・可視化することで、事業ごとの現状が確認できます。例えば、クラウドサービスを使用してオンラインで会議をしたとします。その際、マイクロソフトのクラウドサービスでは「そういったクラウドサービスの活用によってどのくらい原油や天然ガスなどのエネルギーを使ったのか」ということが統計で分かるようになっています。工場や事業単位で、かつ年ごとにまとめられるデータではなく、自分たちの事業とその結果がリンクして初めて、サステナビリティを自分事化でき、サステナビリティを根付かせることができるようになると考えています。
田畑:サステナビリティにつながるプラットフォームの提供は、社会インフラとしてのデジタルソリューションを提供しているマイクロソフトならではの取り組みだと思います。また、多くのプレーヤーとデータが参加して初めて可視化できるESGとクラウド上のソリューションは、⾮常に相性が良いと感じています。
西脇氏:われわれが提供するプラットフォームをより多くの企業に活⽤していただくことで、社会全体の可視化、ひいては社会全体のサステナビリティにつなげていく―それが私たちのゴールです。
田畑:EYのクライアントの多くは、事業をグローバル展開しています。マイクロソフトは、サステナビリティやESG経営のグローバル対応として、「Planetary Computer」という取り組みをされていると伺っています。
西脇氏:サステナビリティは、地球規模で考えなくてはならないため、世界中の森林伐採や降⽔量の増減など、どのような環境の変化が起きているかを知る必要があります。その膨⼤な量のデータを正しく⾒るためのモデル作りや、データ更新などの管理作業をするというのが「Planetary Computer」の発想です。世界中のリアルタイムのデータを取得し、プラットフォーム上に組み込むことで、誰もが地球の“今”を知ることができ、過去のデータとの⽐較も容易になります。現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や⽶航空宇宙局(NASA)、欧州のさまざまな機関と⼀緒に、各地の環境変化に関するデータを格納し、モデル化して活⽤する取り組みを進めています。
田畑:データを“公共財”として広く活用するというメッセージが感じられます。これまでアクセスできなかったビッグデータが、経営の意思決定や現場のオペレーションの場に入ってくるわけで、事業全体を変化させる大きなインパクトになると期待しています。