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ESGやサステナビリティに関する課題
今回の調査では、M&Aを実施する上でESGやサステナビリティに関連する課題が一段と重要視されていることが明らかになりました。回答した日本企業のCEOのうち、55%が長期的価値の創出や投資家を魅了するための要素としてESGスコアが重要と回答しています。一方で、ESG要素が戦略的決定を下すうえで極めて重要もしくは重要と答えた日本のCEOは67%で、グローバル全体の82%を大きく下回りました。
ESGおよびサステナビリティがますます重要な課題となる中、⽇本企業にとってESGが経営戦略の意思決定における重要な要素であるという認識が欧⽶諸国に⽐べ低いようです。
ポストCOP26の世界では、戦略的な意思決定において収益の成⻑は依然として重要なドライバーです。⽇本企業の回答者の21%がサステナビリティの分野でリーダーとなることは明らかに競争優位性につながる、またコストの削減にもつながる(22%)と考えています。
その⼀⽅で回答した⽇本企業のCEOの 93%(グローバル全体の回答65%)が、⾃社のサステナビリティ移⾏戦略について投資家や株主からの抵抗を受けていると答えています。また、回答した⽇本企業のCEOの43%(同21%)が、投資家は⻑期的な投資計画に対して⽀持を表明していない、あるいは四半期業績に固執していると述べています。サステナビリティの実現に向けた取り組みによって短期的に発⽣するコストが原因となり、CEOと⼀部の投資家の間に緊張が⽣じているようです。
CEOは株主や社会全体に持続的なメリットをもたらす⽅向へと組織を変⾰させる必要性があります。⼀⽅でコストの上昇や⻑期的なリターンへの懐疑⼼を理由に、欧⽶諸国に⽐べ日本企業は投資家や株主から強い抵抗を受けています。特に製造業などとは異なり、ESGやサステナビリティの結果が⾒えにくい業種においては、CEOの計画が頓挫し、会社が歴史の流れに取り残されることにもなりかねません。
サステナビリティを優先させるためには、CEOと投資家間において考え⽅の⽅向性を合わせることが今後重要となるでしょう。企業が推進する持続可能な変⾰への⽅向転換が、不可逆的な変化となることが明らかになりつつあります。今後、CEOがサステナビリティ戦略で掲げた⽬標の早期実現に向けて数多くのM&Aを実⾏するためにも、ESGに対する理解は⽇本企業にとっても重要な戦略決定の判断材料と捉えることが必要になるでしょう。⽇本の経営者も株主との対話を通じて、ESGやサステナビリティは経営戦略上⽋かせない要素であることを丁寧に説得することが必要です。