2021年第3四半期のIPO: 今年度の世界全体でのIPO実績は現時点で2020年通年を上回る

2021年第3四半期のIPO: 今年度の世界全体でのIPO実績は現時点で2020年通年を上回る


世界のIPO市場は第3四半期も引き続き活況を呈し、第3四半期として過去20年間で最も活発なものになりました。


要点

  • 世界全体のIPOは前年比で件数が87%増加、調達額が99%増加した。
  • 第3四半期の活況の主な要因は、EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)のIPO市場の回復による。
  • テクノロジー、ヘルスケア、製造業が今期も上位となった。


EY Japanの視点

世界のIPO(新規上場)市場は、第3四半期(2021年1月~9月)も引き続き活発であり、日本国内のIPO市場も同様に活況を呈しています。日本国内の第3四半期のIPO件数は、89社(TOKYO PRO Marketを含む)となり、上半期に引き続き高水準を維持しています。また、通年のIPO件数は、TOKYO PRO Marketを含めて、130社を超え140社に迫る勢いです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を強く受けた前年同期(2020年1月~9月)と比較すると、30社の大幅な増加になっています。市場別にみると、マザーズなどの新興市場が全市場の92.1%を占めており、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める社会の動きと連動して大きく成長しているスタートアップ企業がIPO市場をけん引しています。業種別で見ても、情報・通信業のIPOが32社で全体の36.0%と、大きな割合を占めています。

一方、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株が拡散した場合は、世界経済の本格的な回復を妨げ、多くの業種に影響を及ぼす可能性があり、IPOを目指す企業は注意が必要です。

 

※データ引用元
www.ey.com/ja_jp/ipo/ipo-insights/2021/ipo-insights-2021-10-29-domestic-topics(2021年12月3日アクセス)


EY Japanの窓口
齊藤 直人
EY Japan IPOリーダー/EY Startup Innovation共同リーダー EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター長

2021年が終盤に差し掛かった今、市場の変動を高め、IPOの成功を難しくする課題を拡大させるようないくつかの不確定要素が待ち受けています。

 

そうした中で、企業は有利な市場条件を最大限に活用し、上場を目指す必要があります。

 

堅調なディールパイプラインが予想される一方で、地政学的緊張、流動的な規制変更、インフレのリスク、米国連邦準備制度理事会による量的緩和縮小など、依然として多くの不確定要素があります。また、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックでの新たな変異株が世界経済の本格的な回復を妨げ、多くのセクターに影響を及ぼしています。

 

IPOを真剣に目指している企業は、できるだけ早く準備を整え、必要に応じて迅速に参入できるようにしておく必要があります。


流動性の高まりに支えられ、2021年第3四半期のIPO市場は過去最高を記録

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過去のIPOレポート(英語版のみ)


サマリー

2021年第3四半期におけるIPO件数と調達額は、第3四半期としては過去20年間で最高となりました。主な要因としては、EMEIAのIPO市場が勢いを取り戻したことと、IPOを目指す企業が、今後見込まれる量的緩和縮小が始まる前に資金調達を急いだことが挙げられます。


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