White Electric Car in a charging station at night
White Electric Car in a charging station at night

eモビリティ化の加速に伴うEV普及問題で配電事業者が担う役割とは

eモビリティ化が予想以上の早さで加速する中、ガス電力事業者は電気自動車(EV)の普及を妨げないよう将来のケイパビリティを設計し、投資を実行しなければなりません。


要点

  • 現在の基本的な条件を正しく理解し、2035年までに1億3,000万台に増加するEVに対応し得るインフラを整備しなければならない。
  • 最大の課題は電力需要の増加ではなく、EV充電が送配電網に与える影響の予測不可性である。
  • 顧客の信頼を獲得し受け入れられることが、eモビリティ化の成功には不可欠である。


EY Japanの視点

2022年に入り、日本の自動車メーカーでも続々とEVを市場に投入しています。一方、現時点では充電設備の拡充が十分に進んでいるとは言いにくい状況です。EV購入者の多くは、居住するマンションに充電設備が備わっているか、自費で自宅に充電設備を設置していますが、全体の設置台数の伸びは緩やかです。将来的なEV普及の拡大で高まる充電需要は、量としては全体へのインパクトは小さくとも、需要時間帯の分散によっては送配電網の維持において大きなインパクトをもたらす可能性があります。

本稿で触れているマネージドチャージングのように、電源の分散化が進む電力ネットワークでは新たな姿を形作るための要素がこれから増えていくものと考えられます。一般送配電事業者ならびに新規に参入する配電事業者は、EV普及後の電力供給の姿を想定しながらのオペレーションの再構築が迫られるでしょう。


EY Japanの窓口
齋藤 克宏
EY Japan 電力・ユーティリティセクターリーダー EY新日本有限責任監査法人 パートナー

レポート(日本語)をダウンロード

第1世代の送配電網と道路交通網が構築されて以来、世界は⼤きく進歩し、どちらもその⽬的を果たしてきました。私たちは今、eモビリティ化の道を着実に進んでおり、新たなインフラの寿命と耐久性について考えるべき時に差し掛かっています。この変⾰を下⽀えする送配電網の拡⼤、強化、デジタル化といった準備を整えなければなりません。今後、安定した電⼒供給を確保していくことがEVの普及につながることでしょう。それには配電事業者がエネルギーシステムを進化させ、eモビリティ化を加速させるスキルとテクノロジーを獲得し、中⼼的な役割を果たしていくことが求められます。

EV保有台数の増加
2035年までに予想される、欧州でのEVの総保有台数
1

第1章

顧客が変⾰のカギを握る

eモビリティを支えるエコシステムは、協力が得られなければ進展の妨げになりかねません。

eモビリティ化の潮流はすでに一定の値に到達しています。欧州の業界団体である欧州電気事業者連盟(EURELECTRIC)とEYの共同でまとめた最新のレポート電力セクターがeモビリティ化を加速する:電力ガス事業者はEVの存在を送配電網の負担から資産へと変えることはできるのか(PDF)にもあるように、私たちは今、とても長い旅の幕開けの終盤に差し掛かっています。

EVへの乗り換えは予想を超えるスピードで進んでいます。2021年では、欧州で登録された新車の5台に1台がEVでした1。EVは現在、欧州で保有されている自動車全体(3億2,600万台)の1.5%を占めるにすぎませんが2、2030年までに6,500万台、2035年までにはさらに倍増して1億3,000万台に達するとEYのアナリストは予測しています。この変⾰をけん引するのが、eモビリティを下⽀えするエコシステムです。

  • 多くの国が2035年までにバンを含む乗用車の新車販売のすべてを、排ガスを出さないゼロエミッション⾞とする取り組みを行っており、それ以外の国も2040年までにこの取り組みを実現することを約束しています3
  • ⾃動⾞メーカーはビジネスモデルを見直し、パワートレインのタイプから大きく変えようとしています。最⼤⼿のメーカーはすでに、EVのモデル数や小型商用EV(LCV)の⽣産数を拡⼤することを公約しており4、⼀部のメーカーでは⼤型商用EVの市場参入も計画しています5,6
  • 規制当局は、欧州委員会のグリーンディール関連の「Fit for 55」パッケージ(1990年比で少なくとも温室効果ガス排出量55%削減を達成するための政策)7に従い、乗用車とLCVのCO2排出規制の強化を図っています。各国政府はEVの購入者を対象に、補助金の給付や税制優遇措置などの優遇策を導入しています。
  • EVへの優遇税制、維持費の低減、⾞両性能の向上などが顧客の購買意欲を高める要因となっています8。⼤半の欧州諸国では、今や⼩・中型EVの保有コスト総額は、⼩・中型のガソリン⾞やディーゼル⾞と変わらない水準に達しています9,10
  • バッテリー価格の低下やエネルギー密度の向上により、⼩・中型トラックにとって電動化は現実的な選択肢となってきています。
  • ディーゼル⾞に対するコスト競争⼒が⾼まっているため、企業は現在LCVのEVへの移⾏を進めています。背景として、EVへの移⾏はグリーン認証の取得と企業ブランドの向上にもつながっています11
2021年におけるEVの普及状況
欧州の新⾞登録でEVが占める割合

関連記事

消費者主導の再生可能エネルギーへの移行をエネルギー事業者が導くには

「オムニシューマー」と呼ばれる新たな消費者の出現は、シームレスで洗練された顧客体験を提供することによって、エネルギー事業者が差別化を図るチャンスをもたらします。

    以上のことから、環境、規制、政策、優遇税制が整えば、EV推進の取り組みはその効果を発揮するはずです。とはいえ、EVへ移⾏する機運と購買意欲を維持するにはどうすればいいのでしょうか。それには、従来型の燃料⾞と同等もしくはそれ以上にEVの使い勝手を良くするとともに、利便性、⼿軽さ、信頼性の向上を図るしかありません。結局のところ、こうした変⾰の推進に真の影響⼒を持ち、EVを選ぶか否かを決めるのは顧客です。それゆえ、経済/環境的側面からの取り組みと同じように、顧客がEVを受け⼊れることがEV普及の⼤きな推進⼒となり得ます。
     

    その⼀⽅で、⾃動⾞、電力ガス、⾞両管理、都市計画、充電インフラセクターの各ビジネスリーダーからは、EVの普及が、それを⽀えるエコシステムの整備を上回るスピードで加速する恐れがあると懸念する声も現時点では聞かれます。EVがあっても、それを⽀えるインフラがなければ顧客の購買意欲は減退します。場合によっては、eモビリティの発展⾃体を⽌めることになりかねません。

    EVの普及が、それを⽀えるエコシステムの整備を上回るスピードで加速するという⾮常に現実的なリスクがあります。

    2

    第2章

    未発達な充電ネットワークがEV普及を⾏き詰まらせる原因となり得る

    ドライバーは、充電スポットの設置のばらつきや整備の遅れを不安視しています。


    EVの航続可能距離が向上し、一度の充電でより遠くまで行くことができるようになっています。しかし、⾃宅や充電スポットから離れた場所に移動する場合は特に、公共の充電ネットワークが⼗分にあり、使いたいときにすぐ利⽤できるものかどうかについては懸念があります。EVが増えるにつれ、充電設備を必要とするドライバーも増え、充電待ちの⾏列も長くなるでしょう。

    欧州には現在、公共の充電スポットが37万4,000カ所あり、2021年に40%の伸びを⽰しました12。とはいえ、その整備状況にはばらつきがみられます。100キロ圏内に一つも充電スポットが整備されていない国が欧州内にはまだ10カ国13ある一方、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、英国だけで欧州の公共充電設備総数の66%を占めています14。都市部では郊外に比べ設置数が多い傾向にありますが、依然、都市部の住居エリアでは住居備え付けの駐車スペースが不足しているため、路上駐車スペースへの充電設備の設置需要が高まっています15。例えば英国では、3分の1の世帯が充電設備を私設で設置可能な駐車スペースを保有していません。オランダでは、この割合は実に70%にも上ります16。EYの試算によれば、予測通りEVが急増した場合、欧州全⼟で2035年までに、900万の公共充電スポットと5,600万の住居備え付けの充電スポット、合わせて少なくとも6,500万の充電スポットが必要になると見込まれています。

    充電設備に対するニーズ
    欧州全⼟で2035年までに必要となる充電スポット数

    欧州の公共充電スポットのネットワークは、⼗分な速さで拡⼤しているとは⾔えません。その主な理由として、以下の3つが挙げられます。

    • 設置許可の遅延、管理体制、設置場所へのアクセス:地⽅当局にEVの充電スポットの整備を管理する専任チームが不在。充電スポットの設置と維持管理を担うサービス事業者が設置の許可を取得するまでに数カ⽉かかる場合がある。
    • 送配電網への接続遅延とコスト:関係者によると、⼀部の欧州諸国の充電サービス事業者が接続許可を取得するまでに最⻑で36カ⽉かかる。特に、急速かつ⾼出⼒の充電設備を設置する場合、⼗分な電⼒を供給するために配電設備を増強する必要があり、これが現地で整備を妨げるボトルネックとして周知されている。配電網への接続コストについては、誰が⽀払うのかという問題や、財源を公共充電設備に充当するのかといった政策上の問題もある。
    • 充電設備ネットワーク間の相互運⽤性の⽋如:給油と比較した場合の充電スポットの複雑性。主に統⼀規格の欠如により、相互運⽤性がなく、充電する場所と⽀払⽅法に対する利⽤者の選択肢が限定される。⼀⽅、⼀部のネットワークの信頼性が低いことや顧客サービスのレベルにばらつきがあることも、ドライバーが不満を抱える要因となっている。


    図1:充電設備数(場所・種類別)

    充電場所と充電設備の種類別の充電設備数(単位:千)(画像)
    出典:EYの分析結果、2021年11月

    eモビリティを⽀えるエコシステム全体の協⼒を強化することで、充電設備の整備を阻む課題に⽴ち向かうことができます。例えば充電サービス事業者が、利⽤者が多く、環境投資の利益率が⾼く、顧客に最⼤限の利便性をもたらすことができる最適な場所に充電設備を設置しようとする場合、都市計画担当者、地⽅⾃治体、⾏政機関と連携することで、より良い事業環境を整えることができるはずです。

    充電サービス事業者は、配電事業者とも緊密に連携する必要があるでしょう。場合によっては政府から優遇措置を受けることで、コストを下げつつ送配電網の接続に要する時間を短縮し、公共充電設備のネットワーク強化のための投資を実施することも考えられます。一方、厄介な問題が一つあります。大幅なEVの急増に対応するために充電設備の設置数を増やせば増やすほど、電力の需要は⾼まります。予測できないEVの充電量と負荷の増加に合わせ、配電設備容量を変える必要が出てくるのです。

    3

    第3章

    eモビリティ化で配電事業者が果たさなければならない役割

    来るべきEVの⼤幅な急増に配電事業者はどのように対応するのでしょうか。


    さまざまな予測は⾶び交っていますが、EVが電⼒網に過負荷を掛けることはないでしょう。分散電源、ヒートポンプの利⽤、産業の電化などの要因による電⼒負担の増⼤を並行して調整し、適宜対処できるはずです。ただ、欧州ではEVの普及台数が1億3,000万台にまで到達しつつあり、配電事業者は⾮常に⼤きな課題に直⾯しています。EVのドライバーが時間と場所にとらわれず充電できるようになるためには、既存の送配電網の拡⼤、強化、デジタル化を図らねばなりません。

    欧州では、EVの充電による電⼒需要は年間で11%ずつ伸びていき、2020年代末までに200テラワットアワー(TWh)に増加する⾒通しです。その頃までにEVが電⼒需要全体の5%程度を占めることになるでしょう17。しかし、送配電網への不安定な影響は電力需要の増加が要因ではなく、数千台、場合によっては数百万台のEVが同時に充電を試みる「アンマネージドチャージング」というシナリオから生じるものです。既存の電力網に接続する⾞が多ければ多いほど、電⼒供給の確実性、セキュリティ、および品質低下へのリスクが⾼まります。結果として、電圧降下、電圧変動、停電を招く恐れもあります18。配電事業者はそうした事態が⽣じないようにしなければなりません。


    図2:6つの充電スポット別・マネージドチャージングによる影響

    図2:6カ所の利用場所別のマネージドチャージングによる影響(画像)
    出典:EYの分析結果、2021年11月

    複数の調査結果から、EVの普及率が50%に達すると電力系統の電圧偏差が標準的な⽔準を超えることが分かりました19。そのため、充電設備を設置したら後は何もしないという「fit and forget」のアプローチでは、すでに⾼負荷な電力系統の混雑状態をさらに悪化させかねません。それがより顕著になるのは、例えば終業時など電力需要のピーク時とEV充電のピーク時間帯が重なったときです20

    最も利用頻度の高い充電スポットの6カ所をケース分析した結果、2035年にはピーク負荷が21ポイント上昇して90%に達し、変圧器の利⽤率も19ポイント上がって80%になることが分かりました。この6カ所とは、⾃宅(郊外と都市部)、職場、商用車の車両基地、宿泊施設、⾼速道路沿いの充電スポットです。特に注⽬すべきは、ピーク負荷の増加幅が集合住宅では86%、⾼速道路沿いの充電スポットでは90%に達するとEYのアナリストが予測している点です。これらの利⽤場所では、急速かつ⾼出⼒の充電設備が配電設備から⼤量の電⼒供給を受けます。多くの場合、変圧器は定格容量を超えての運転を余儀なくされるでしょう。

    ピーク負荷
    2035年内に予想される集合住宅でのピーク負荷の増加幅

    マネージドチャージングは、今までの考え方を根本から変えるものです。この⽅法では、配電事業者は数百万台のEVが何の制約もなく自由に充電できることで⽣じる負担を、利用することができます。リアルタイムの運⽤システムと最先端のアプリケーションを活⽤したマネージドチャージングでは、充電に利⽤できる容量、充電する時間帯、充電に掛かる時間を制御し、送配電網に過負荷がかかるリスクを軽減します。そのため、充電できるのは送配電網に⼗分もしくは余剰容量があるとき(例えば、深夜などで需要が低下したとき)や、電気料⾦が下がったときです。マネージドチャージングでは、さまざまな充電セグメントでピーク負荷を7%から21%下げることが期待できます。結果的として送配電網と顧客の双⽅にメリットをもたらします。


    マネージドチャージングは、今までの考え方を根本から変えるものです。この⽅法では、配電事業者は数百万台のEVが何の制約もなく自由に充電できることで⽣じる負担を、利用することができます。


    マネージドチャージングは電⼒供給者が管理できるソリューションであり、データ接続によって送配電網からEVへとエネルギーを⼀⽅向に振り向けることができます。いずれ、V2G(ビークル・ツー・グリッド)技術が成熟していき、EVは移動できるエネルギー貯蔵設備となるでしょう。EVのバッテリーから電⼒を送配電網や建物に放出し、エネルギーの⽣産量と消費量のバランスを取り、発電量の拡⼤や送配電網強化の必要性を低減することができます。

    他のソリューションも試験的に導⼊されています。例えば、分散型太陽光発電所と蓄電システムの併設です。これらは、急速充電や超急速充電⽤には送配電網の電⼒供給量が⼗分でないような、⾼速道路の路側帯の充電スポットで展開できる可能性を秘めています。また、能動的に送電線上を流れる電⼒需給バランスを保つためのスマートワイヤーや無線充電といった新しい構想が検討されているところです。こうした需要側のソリューションはいずれも、送配電網とEVとの間に相乗効果を⽣み出します。そして、あらゆるシナリオを解決することはできないとしても、多くのEVを同時に充電することで⽣じる影響を軽減する⼀助になります。ソリューションがもたらす効果は以下の通りです。

    • 送配電網への巨額投資の必要性の低下
    • ⼀元管理されている電⼒システム分散化による、消費者のスマートグリッドへの⾃律的な参加
    • EVドライバーが分散型の規制対象モデルの⼀部としての役割を担うことによる、電⼒システムへの残余電⼒の供給と適正な対価の獲得

    こうしたソリューションが成熟するにつれ、送配電網のデジタル化により、想定に対するパフォーマンスを監視・検証することが、現在および将来の長い期間において、顧客の行動と送配電網への影響を把握し、ネットワークのニーズを理解し、予測し、最適化するために不可欠となります。

    eモビリティ化の拡⼤において、配電事業者が中⼼的な役割を果たすことになるでしょう。現在、配電事業者は送配電網の開発・運営と充電設備の新規接続の管理を担っています。その⼀⽅で、可能な限りコストを下げ、最も環境負荷を低減させて運営するという社会的義務も負っており、座礁資産リスクを避けながら適した場所に適したタイミングで投資しなければなりません。現場の送配電網を監視することで、配電事業者は混雑しているエリアを特定し、EVの充電が電⼒需要に及ぼす影響を評価し、将来の配電設備への投資ニーズを予測することができます。また、欧州がスマートグリッドやローカルフレキシビリティ市場に移⾏するにつれ、配電事業者は成熟しつつあるソリューションを取り⼊れ、ピーク消費量を下げ、混雑を緩和し、電⼒の質と信頼性を⾼める体制を整えることができるでしょう。

    EV移⾏の機運が加速する今、自動車の電化に必要な電⼒システムの計画⽴案は⼀⼤事業です。配電事業者がこれを成功させるために必要なのは以下の通りです。

    • 低電圧および中電圧のネットワークの可視性向上による、どこで何が起きているかのよりよい理解
    • EV普及促進のため、完全に⾃動化され調和した顧客体験を⽀える最適なスキルセット、能力、投資
    • EVと送配電網間の電力の流れをリアルタイムで追跡し、ストレスが増大する配電設備の管理を支える機能の獲得

    配電事業者がスキルセットの幅を広げ、責務を遂行することは、顧客を中心に据えたサービスの向上につながります。それは、⼀層多くの⾰新的なソリューションをもたらし、ドライバーのEV体験の向上にも結びつくでしょう。


    4

    第4章

    eモビリティ化を成功に導く基本原則

    時を超えて揺るぎない走行体験


    EV市場が堅固にかつ急速に成⻑を遂げることは間違いなく、2020年代の末までに1,500億ユーロ21を超える規模になる⾒通しです。道路交通における排ガス量の削減やカーボンニュートラルに向けた取り組みの遂⾏など、その社会的利益は⾮常に⼤きなものになるでしょう。しかし、その成否は既存の障壁を取り除き、レジリエンスがあり、将来の需要に応えられるeモビリティシステムを設計できるかどうかにかかっています。

    eモビリティを⻑期的に存続させる上で不可⽋なアクションは6つあります。

    • 予想されるEVの普及率を踏まえ、配電設備、デジタル、IT、送配電網といったインフラ投資計画慎重な立案
    • 充電設備設置に対する地⽅⾃治体の承認プロセスの簡略化
    • EV充電設備のグリッド接続の迅速化とコスト削減
    • 充電インフラの信頼性の向上による顧客の信⽤獲得
    • 欧州の全公共充電設備のデジタル接続への変革、スマート充電への対応
    • ⾞種、契約内容、⽀払⽅法を問わず、あらゆる充電ネットワークにおける相互運⽤性の確立

    関連記事

    電気自動車の市場環境と将来の展望

    配電網事業者の視点から⾒れば、新しい技術がEVの⼤量流⼊を⽀えます。こうしたテクノロジーのおかげでドライバーが⾞の充電⽤ケーブルをコンセントに挿し、送配電網から電⼒が流れ始めた瞬間から、接続された環境全体の状況を把握できるようになります。
     

    相互運⽤性の確保は、配電網、充電ハードウエア、⾞の間の通信に依存します。効率化を図りeモビリティのイノベーションを推し進めるためには、テクノロジーの活⽤が必須です。テクノロジーにより、eモビリティを⽀えるエコシステムのプレーヤーがコミュニケーションをとり、データを共有して協⼒し合えるようになるでしょう。デジタルインテリジェンスと解析ツールの活⽤で、ソリューションの形成と強化のための予測とモデリングを可能にします。充電インフラを監視し、問題が深刻化する前に特定して修正することで、より良い顧客体験を提供することができるようになります。


    その⼀⽅で、規制の仕組みは、顧客を守り利益をもたらします。例えば、V2Gが実現可能なテクノロジーとして浮上し、またローカルフレキシビリティ市場が機能し始めるにつれ、電気の消費者がプロシューマー(製品の企画・開発に携わる消費者)として⾃家発電するようになります。余剰再⽣可能エネルギーは、送配電網のバランスを取るために使用され、プロシューマーがその報酬を得る仕組みです。このようなエネルギー交換は、今後十数年の間にeモビリティの基本的な運⽤特性となるでしょう。


    また、さまざまな規制やイノベーションも、顧客に利便性をもたらすために行われるということも常に念頭に置いておかなければなりません。もし、EVの充電がガソリンやディーゼルの給油より複雑で、高価で、⾯倒であれば、EVへの切り替えに対する顧客の意欲は減退するでしょう。それらの回避に向け、さらなる顧客体験の向上がカギになってきます。

    電力ガス事業者がeモビリティ化を加速

    EYの調査結果は、OEMメーカー、電力ガス事業者、充電ポイント事業者、業界団体の幹部を対象としたインタビューを基にまとめたものです。​

    関連記事

    消費者が電気自動車(EV)へ突き進む理由とは

    電気自動車(EV)販売を促進する最大の要因は環境への配慮である。一方、ICE(内燃機関)車に対して罰則を設け、EVを奨励するという考え方も浮上しています。

      関連リリース

      EY調査、EV市場の本格化で10人中4人の消費者がEV購入を検討

      EYは、世界13ヵ国9,000名以上の消費者を対象に、通勤・日常生活・旅行における移動に関する意識や車の消費者購買動向の変化に関する調査「EY Mobility Consumer Index (MCI) Wave 2」を実施、電気自動車(EV)の販売台数は今後12カ月間で急増する可能性があることが明らかになりました。

      EY Japan + 1

      EY分析、EVが自動車販売の覇権を握る時代へ 従来予想より5年早まる見通し

      世界の自動車販売に占める米国、中国、欧州3市場全体の電気自動車(EV)の比率がエンジン式自動車のそれを上回る時代は、従来予想より5年早く到来する可能性があることが、EYの最新調査・分析によって明らかになりました。

      EY Japan + 1

        サマリー

        今は道路交通を変⾰する絶好のチャンスです。eモビリティを支えるエコシステムでは、送配電網全体を監督する配電事業者が極めて重要な役割を担っています。送配電網全体で電⼒の流れを調整することができ、ひいてはEVの存在を負担から資産に変えることも可能です。そのため、EVに関わるインフラ、テクノロジー、連携体制を整えることで、eモビリティを将来にわたり⻑く社会に役⽴つ存在にすることができます。急速に変化を遂げるモビリティにおいて、顧客を中心としたeモビリティ化を進めることでより普及が推進されるでしょう。


        この記事について

        執筆者