EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
―「AI」x「人の目」でより踏み込んだ監査へ
池山:本日はEY新日本のAI監査ツール開発部門であるAIラボに所属し、公認会計士でありながら開発にも携わっている根建さん、出口さんにお話を伺います。AI監査ツールの活用が必要な理由は何か、なぜ開発に携わろうと思ったか、それらを活用した先に見える未来について伺いたいと思います。
はじめに、開発担当者として、公認会計士として、これまでの会計監査における課題はどの辺りにあると思われていますか。
根建:これまでの監査は、リスクアプローチに基づき、金額的に重要な虚偽表示がないかという観点でのリスク評価が行われてきました。それ自体は何もおかしなことではないのですが、「人の目では捉えきれていないところ」に不正の兆候があった場合、それを適時に検知することが難しく、監査上のエラーになるくらいの大きさになって初めて検知されるという課題がありました。
池山:おっしゃる通り、監査上のエラーで済めばまだ良いほうで、重大な影響を及ぼすとして内部統制の開示すべき重要な不備や訂正報告につながってしまうことも少なくありません。大きな事態につながる前に不正や誤謬の芽を摘み取ることが、非常に重要なことだと思います。
そのような課題を解決するために、EY新日本ではデータとテクノロジーの活用を進めていますね。
根建:はい。EY新日本の考える「未来の監査《Assurance 4.0》」の実現のためには、監査の高度化と効率化に寄与する全量データを使った異常検知や分析ツールが必要です。全量データを使い、より細かく「人の目では捉えきれていないところ」まで踏み込んで早期にリスクを検知し、監査品質を向上させるとともにクライアントへインサイト提供を行うための分析が可能なツール、それがEY新日本で開発し監査現場で使われているAI監査ツールです。