EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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規制対応に主眼を置いた受け身のレポーティングプラクティスではなく、信頼性の高いサステナビリティ情報を提供することによってステークホルダーに対する透明性と説明責任を追及する。これこそが、長期的な企業価値向上における重要なミッションです。
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気候変動リスクの評価は簡単ではありません。気候変動リスクはビジネス全体に波及する性質を持つことから、不確実な点が多く、定量化が難しい場合もあり、リスクヘッジも困難です。また、気候変動リスクについては企業側で対応すべき点が依然として多く、問題は複雑です。EYグローバル気候変動リスクバロメーター2021では、さまざまなセクターの1,100社以上の企業を調査した結果、すべての企業が気候変動シナリオ分析を実施しているわけではなく、実施している企業もそのアプローチに一貫性がないことが分かりました。リスクの発生規模や時期を検証して最悪の事態に備えるためにシナリオ分析を行っているかどうかを開示しているのは、評価対象の組織の41%にとどまっています。
また、調査では企業の脱炭素化が投資家の投資判断の中心となっていることを示しており、回答者の86%が、積極的な炭素削減戦略を進める企業への投資が投資家にとって戦略の重要な部分を占めていると答えています。ネットゼロや脱炭素化に向けて前進するには、企業は確固たるアプローチでシナリオプランニングに臨み、投資家はさまざまな組織と密接に関わりながら戦略を決定する必要があります。
企業は、さまざまな気候変動がもたらし得る影響を理解するために、しっかりとシナリオプランニングを行い、自社のビジネスにおける現在のリスク管理と戦略プロセスのストレステストを実施する必要があります。
投資家は、脱炭素化とESGファクターを取り入れて組織戦略を再構築する必要性について、企業に働きかけるべきです。また、脱炭素化戦略の将来像を把握する必要があります。
ネットゼロ炭素経済への移行は重要課題を伴いますが、移行を奨励する各国政府の取り組みは、投資家にとって好機でもあります。調査対象の投資家の92%が、過去12カ月間にグリーンリカバリーの恩恵を見越して投資したと回答しています。
しかしこの好機には、成功の代償があるともいえます。評価機関から高いサステナビリティスコアを得られる適切なグリーン投資対象が限られる可能性があり、市場がバブル化するリスクがあります。調査対象の投資家の76%は、「適切なグリーン投資対象が不足しており、一部の投資家がグリーン資産に過剰な投資を行うことで、市場がバブル化するリスクがある」と答えています。グリーンリカバリーの資金調達における投資家の役割についての記事で紹介したように、市場のバブル化への懸念を和らげる要因もあります。具体的には、再生可能エネルギーの目標達成に必要となる多額の資金と、排出量が多いセクターの組織に投じる必要がある多額の株式資本です。