EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYの関連サービス
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経営環境の急速な変化に伴い企業の課題が複雑化する中で、CFOおよびファイナンス組織はその役割を進化させていくことが求められています。 EYのファイナンス・コンサルティング・サービスは、CFOが長期的価値創出と社会課題解決を通じたサステナブルな成長をリードするためのファイナンス組織としてのケイパビリティ獲得を支援します。
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内外の環境変化を踏まえてCFOが感じている典型的な3つのジレンマがあります。
1つ目は、革新的な改革を進める必要性を感じながらも、既存業務での成果を上げることに精一杯で組織が疲弊してしまっているため、改革のためのリソースを創出できない点です。その結果、一向に改革が進まず、毎日のブックキーピング業務から抜け出せないというジレンマを抱えています。少子高齢化の時代下で人的リソースの確保が困難であるにもかかわらず、企業内外からCFOに期待される役割が飛躍的に拡張している中で、ミスの許されない既存業務の継続・品質担保を続けながら、より経営意思決定に踏み込んでいくビジネスパートナーへの役割変革を同時に成し遂げることの難しさを感じています。
2つ目は、既存事業を深化させながら新規事業の探求を進めるために、事業や地域へのガバナンスのあり方を最適化する必要があります。事業推進や意思決定のスピード感を高めるために事業や地域部門への権限移譲(遠心力)を強める一方、それに釣り合うけん制(求心力)を担保する必要がありますが、現在のファイナンス部門のスキルやガバナンス力では求心力を発揮する戦略的対応が難しいという点です。ファイナンス部門は取引を正確に記帳する伝統的なブックキーピングスキルは担保しつつも、事業ポートフォリオ最適化のモニタリングや戦略的投資意思決定のサポート、事業や地域事業構造やバリューチェーンに関する深い理解と洞察力、事業や地域部門との対話力、事実に基づく分析や提言を行う上でのデータ・サイエンスなど、従来とは全く異なるスキルが求められていることを痛感しています。
3つ目は、さまざまなステークホルダーの存在を意識しながら、適正に付加価値を配分することに対するジレンマです。すなわち、株主、投資家、従業員、顧客、取引先、地域社会などのマルチステークホルダーからの期待を的確に把握しながら長期的な企業価値を創造する必要がある一方で、今日の不確実性の高いマクロ経済環境下で短期的な利益追求プレッシャーが強いため企業行動も短期的な思考に陥ってしまう傾向にあり、獲得した付加価値を公平に配分できているかという疑問を常に感じています。2023年6月に発行されたEY Global DNA of the CFO Surveyにおいても、回答者の半数(50%)が、「長期的視点で重要なESG事業などの優先分野への投資を犠牲にして、短期的な収益目標を達成している』と回答しています。