この実績は、16件のメガディール(100億米ドル超)によってけん引されたものであり、2020年7月から2022年6月まで続いたM&Aのスーパーサイクルの頂点となった2021年第3四半期以来の高い水準となっています。
そうした中、M&A市場全体では、依然として主要領域において弱い動きも見られます。プライベート・エクイティ(PE)活動(買収およびエグジット)には、大きな増加は見られず、消費財や小売りなどのセクターのディール活動は低水準にとどまっています。
しかし、経営陣が年初に比べてM&Aに積極的になっていることから、1月のCEOを対象にした調査以降、買収と売却の双方への意向が高まっています。
最も目を引くのは、トレードセール、PE企業への売却、スピンアウトのいずれかによる資産または一部事業の売却の意向が急激に高まっていることです。
2024年には、中核事業への集中のため、または残るポートフォリオへの投資資金のために、事業の一部売却を検討する企業が増加する可能性があります。
2024年第1四半期の世界のデット・キャピタル・マーケッツ(DCM)での資金調達は、2023年第1四半期比16%増の2兆9,000億米ドルとなり、1980年の記録開始以来、最も好調でした。 同様の分析によると、2024年第1四半期の株式資本市場の総調達額は2023年第1四半期比1%増の1,410億米ドルで、世界の株式資本市場の活動としては、過去3年間で最も好調でした。
2023年に比べ2024年は、世界の資金調達市場が活発化しているため、資金需要者の懸念は低下すると思われますが、世界的な選挙のスーパーサイクルにおける重要な投票日が近づくにつれて、市場が再び急激に引き締まる可能性があります。
証券取引所での新規発行に対する需要の高まりや、PE企業が競争力のある買い手として市場に待望の復帰を遂げることは、ダイベストメントを検討している企業の後押しとなる可能性はありますが、M&A市場に主要プレーヤーとしてPE企業が復帰する時期は依然として不透明です。PE企業の確かな復帰には、金融政策の方針の決定が必要です。