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EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 水野 貴允
2021年3月決算会社について、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続を開示している会社数、その内容は?
2021年3月期決算のうち、6月末までに有報を提出しているすべての日本基準適用会社2,430社を対象に、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続の開示状況を調査した結果、記載している会社数は、120社(4.9%)であった。関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続の注記内容について、業種ごとに調査した結果は<図表1>のとおりである。
建設業 |
銀行業 |
その他 |
保険業 |
情報・ |
サービス業 |
電気・ |
その他 |
合計 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
共同企業体(JV)に係る会計処理 |
35 |
2 |
37 |
||||||
投資信託の解約・償還に伴う差損益 |
27 |
1 |
1 |
7 |
36 |
||||
収益、費用の認識基準 |
3 |
1 |
2 |
3 |
10 |
19 |
|||
株式給付信託 |
1 |
4 |
10 |
15 |
|||||
譲渡制限付株式 |
1 |
2 |
3 |
2 |
8 |
||||
その他の項目 |
1 |
3 |
2 |
1 |
2 |
1 |
10 |
||
合計 |
38 |
31 |
7 |
3 |
5 |
6 |
3 |
32 |
125 |
(※1)複数の項目を記載している会社はそれぞれ1社としてカウントしている。
(※2)その他の項目を記載している事例としては例えば、以下の記載をしている事例がみられた。
建設業においては、共同企業体(ジョイント・ベンチャー(JV))における受注や施工に関する注記が35社該当し、出資持分割合で会計処理を行っている記載をしていた。銀行業では、投資信託の解約や償還に伴う差損益の会計方針を注記している企業が27社該当した。また、業界特有の収益計上方法、費用計上方法について記載している事例も19社あった。そのうち、電気・ガス業では、電気料金やガス料金の収益認識に関する注記を行っている企業が3社あった。その他、役員報酬として、株式給付信託や譲渡制限付株式を付与している場合等、業種にかかわらず注記している事例も多くみられた。
(旬刊経理情報(中央経済社)2021年9月20日号 No.1622「2021年3月期 「有報」分析」を一部修正)
2021年3月期 有報開示事例分析