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EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 清宮 悠太
2021年3月決算会社における企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(以下「見積開示会計基準」という。)に基づく注記内容と、(連結)計算書類における注記内容との整合性は?
調査対象会社(186社)を対象として、①「有報上の重要な会計上の見積りに関する注記内容」(以下「有報上の見積注記」という。)と、②「(連結)計算書類上の重要な会計上の見積りに関する注記内容」(以下「計算書類上の見積注記」という。)を比較し、相違の有無(ある場合は、主な相違点)を調査した。
なお、調査にあたっては、原則として連結財務諸表及び連結計算書類を比較対象とし、連結財務諸表を作成していない会社(上記186社のうち4社)については、個別財務諸表及び計算書類を比較対象とした。
調査結果は、<図表>のとおりであった。
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(※)見積項目の名称と金額のみを記載し、定性的な情報は記載を省略している事例
「計算書類上の見積注記」が、「有報上の見積注記」と、おおむね同じ内容であった会社は161社(86.6%)であった。
一方、「計算書類上の見積注記」について、「識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報等のうち、主要な仮定等の一部の情報を記載していないケース」(22社)や、「識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報等をすべて省略しているケース」(2社)、「(連結)計算書類上では重要な会計上の見積りを注記していないケース」(1社)など、「有報上の見積注記」よりも簡略化や省略をしているケースが見受けられた。
見積開示会計基準に基づく開示は、企業の置かれている状況に即して情報を開示するものであると考えられており、見積開示会計基準7項に定めた注記の具体的な内容や記載方法(定量的情報若しくは定性的情報、又はこれらの組み合わせ)については、開示目的に照らして判断することとされている(見積開示会計基準27項)。
こうした点を踏まえると、有報提出会社は、適用初年度では、「計算書類上の見積注記」が、「有報上の見積注記」と相違があるケースもあったものの、「計算書類上の見積注記」についても、有報上の開示と同様に、見積開示会計基準の開示目的に照らした判断が求められているものと考えられ、将来的には、基本的に同一内容に収斂(しゅうれん)していくものと考えられる。
(旬刊経理情報(中央経済社)2021年10月10日号 No.1624「2021年3月期有報における 見積り関連注記の開示分析」を一部修正)
2021年3月期 有報開示事例分析