3. 従業員代表董事制度
新会社法では、従業員の利益の保護や民主的な会社の経営という観点から、監事会を設置し、かつ、会社の従業員代表を有する場合を除き、従業員数が300名以上の会社は、董事会の構成員の中に従業員の代表を含めなければならなくなりました。また、従業員の代表は従業員大会等で民主的に選出されることになります(新会社法第68条)。そのため、従業員が300名以上と比較的規模の大きい会社は、董事会もしくは監事会の中に従業員代表を含める必要があり、代表を選出するプロセスの構築も必要と考えられます。
4. 欠損填補(てんぽ)及び減資
今回の改正前の会社法では、資本準備金を欠損填補に使用することはできませんでしたが、新会社法では、欠損填補のために余剰金を使用する場合、会社はまず任意積立金と法定積立金を使用し、それでも損失填補ができない場合、資本準備金を使用が可能になりました(新会社法第214条)。また、資本準備金を使用してもなお欠損がある場合、登録資本金を減少して欠損を補填(ほてん)できるとされています(新会社法第225条第1項)。
登録資本金を減少させる場合、原則として株主の出資比率に応じて出資額を減少させる必要があり、株主会が登録資本金を減少させる決議を行った日から10日以内に債権者に通知し、かつ、30日以内に新聞又は国家企業信用情報公示システム上で公告を行わなければなりません(新会社法第224条)。ただし、第225条第1項の規定により登録資本金を減少させる場合、通常の減資とは異なり、株主会が登録資本金の決議を行った日から30日以内に新聞又は国家企業信用情報公示システム上で公告をすれば良いことになります(新会社法第225条第2項)。
5. 持分譲渡
今回の改正前の会社法では、第三者へ持分を譲渡する場合、他の株主の同意を得る必要がありましたが、新会社法では、譲渡する持分の数量、対価、支払方式、期限等を書面により通知すれば良いこととなりました。なお、他の株主は同等の条件において優先買取権を有し、書面通知を受領した日から30日以内に回答しない場合、優先買取権は放棄されたものと見なされます(新会社法第84条)。