デジタルファーストな顧客向けの設計
Nationwideは1926年に、農業従事者に⾃動⾞保険を提供することを⽬的に設⽴されました。何年にもわたり商品やサービスを進化させてきましたが、2019年の初めに、今までとは全く異なるデジタルファーストのマインドセットを持った新世代のドライバーを獲得する新商品の発売を考えるようになりました。
⽶国では現在、⼈⼝のほぼ50%をミレニアル世代とZ世代(両⽅合わせて1981年から2012年の間に⽣まれた世代)が占めています。デジタル思考を持つこの世代の影響⼒が急増しているため、彼らの期待に乗り遅れないようにすることが急務でした。
まずターゲットとする顧客層にとって優れた保険商品とはどういうものなのかを明確にする必要があると認識していた商品開発チームは、デザイン思考アプローチをとり、Tonikaと名付けた架空の顧客を設定し、プロジェクト展開の中⼼に据えることにしました。
「Tonikaは私たちがアンケート調査を⾏った⼥性の一人でした。彼⼥の回答は、調査参加者から聞き取った内容を全て兼ね備えていたため、彼⼥を他の参加者から聞いた内容も盛り込んだペルソナ像とすることにしました」とLiles⽒は語っています。
25~37歳の年齢層にいるTonikaは、両親の携帯電話契約プランから独立しており、モバイル体験を通じたエンゲージメントを好んでいます。ただ、物事の進み⽅が遅く、不平等で不透明であると感じ、価値を⾒いだすことができていません。
スピードとシンプルさの追求
「このような若い消費者は、保険会社がなぜ多くの情報を必要としているのかが理解できません」とEY Digital InnovationチームのKunal Kochharは説明します。「なぜ結婚しているかどうかが問題になるのか。 ⾞種、⾛⾏距離や過去の保険事故、使⽤⽬的だけを基準にすべきだ。この世代はこのように考えています」
顧客のアンケート調査を⾏ったことで、Nationwideはデジタルファースト型のプラットフォームだけでなく、Tonikaのような顧客をターゲットとした保険の加⼊体験を徹底的にシンプルにするプラットフォームの構築が必要であることに気づきました。
「Tonikaは透明性を求めています。信⽤できるようにしてほしいと思っているのです」とKochharは続けます。「Tonikaたちの世代は、何のためになぜ支払っているのかが知りたいと願い、また、それに見合うだけの補償が欲しいと思っています」
最終的にNationwideは、Tonikaが望んでいるのは、これまでとは根本的に異なる保険商品だと判断しました。「彼⼥は保険のあらゆるやりとりにおいて、快適な顧客体験を望んでいました」とConnollyは述べています。「迅速な⾒積と保険証券の発行、保険請求時には支払状況が積極的に顧客に共有される体験です」