EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
多くの日本企業でプロジェクトの数が増えている。ただ、成果の挙がらないプロジェクトも少なくないはずだ。では、どうすればプロジェクトを活性化し、成果につなげられるだろうか。EYストラテジー・アンド・コンサルティングが提供しているのが、直観と主観の覚醒、および関係性の質に着目した「プロジェクトコーチング」である。多くの企業で実績を積み重ねており、プロジェクトのみならず、組織文化にも好影響をもたらしている。
(注)この記事は、DIAMONDハーバードビジネスレビュー2025年4月号の掲載内容を引用しています
企業を取り巻く環境変化が勢いを増している。技術進化はもちろん、環境や人権といったアジェンダの動向からも目が離せない。そこで、多くの企業がプロジェクトを組成して解決策を見出そうとしている。サステナビリティ、多様性など、プロジェクトのテーマはさまざまだ。
テーマごとに経験や知見を持つメンバーを集め、定期的に議論を交わしながらゴールを目指す。ゴールは経営陣に提出する報告書の作成かもしれないし、実現可能なアイデアのブラッシュアップかもしれない。大企業になると、百近くのプロジェクトが並行して走っているケースも珍しくない。
ただ、プロジェクトで有益な成果を得るのは容易ではない。「あまり意味がなかった」と評価されてしまう場合もあるはずだ。EYストラテジー・アンド・コンサルティングの森華子氏はこう説明する。
「多様なメンバーを一堂に集めるのは大変なので、最近はオンライン会議が増えました。優秀なメンバーは日常業務も多忙ですし、複数プロジェクトにアサインされる場合もあるでしょう。一方、プロジェクトは期間内に一定の成果が求められるので、『効率性』や『客観性』を優先しがちになります」
プロジェクトに進捗重視の雰囲気が漂えば、メンバーには「根拠のある話をしよう」とか「無難な意見でいいや」といった意識が強まり、突飛なアイデアや一見非常識だが面白い意見は出づらくなる。共創や創発は起こりにくい。次第に「自分はなぜプロジェクトに参加しているのか」と疑問を持つメンバーが出てきてしまう。
「会議で新しいアイデアを求められても、根拠や予算獲得・達成の可能性ばかり問われれば黙り込むでしょう。多くのメンバーが主体性を失った結果、限られた人だけが発言する、あるいは業務報告に終始するような会議になってしまう。メンバーのこうした姿勢は、普段の業務にも悪影響を与える可能性があります」と森氏は指摘する。
多くの企業で、気づかないうちに不活性なプロジェクトが増殖しているかもしれない。経営層にとっては、見過ごせないリスクである。では、プロジェクトにおいて主体性を維持・強化するためにどのようなアプローチが求められるだろうか。
「プロジェクトにおける関係性の質に注目する必要があります。関係性の質を高めることにより、成果を生み出しやすくなります。プロジェクトに近い組織形態であるティール組織においては、第三者のコーチの伴走で成果を生み出した事例が多く報告されています。同様に、プロジェクトにコーチが伴走することで関係性の質を向上させ、個々のメンバーの主体性を強化できます」と森氏は語る。
こうした考え方をもとに、EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、関係性を起点としたプロジェクトコーチングを提供している(図表)。プロジェクトコーチングはチーム全員が参加し、プロジェクトワークと並行して実施する。コーチ役は森氏をはじめとするコンサルタント。1~2週間に一度、一回につき最低60分というのが一般的なスタイルだ。その内容には大きく3つの柱がある。
「第1に、プロジェクトの共通目的や指針の構築支援です。最初に、プロジェクトのビジョンやチームにおける協力関係のあり方、相互の役割などについて、各メンバーが話し合い確認しておくことが重要です」と森氏。当たり障りのない結論に到達するプロジェクトでは、こうしたプロセスが省かれることが多い。遠慮のない議論が求められているのに、メンバーが誰かの立場を過度に忖度した発言に終始するという具合だ。
第2に、メンバーの建設的な発言を促し議論の活性化を支援する。「これを言うとバカにされるかも」「役職者の批判と受け取られるのでは」などと考え、発言をためらうメンバーもいる。これでは議論の活性化は期待できない。
「まず、各メンバーの人間性や価値観をチーム内で表出させ、違和感や主観的な物の見方をも共有できる安心・安全な環境をつくる。心理的安全性を確保するということです。そのうえで、各メンバーが相手を理解し、本音で関わる対話の流れをつくり、多角的に物事を捉えられるようコーチは支援します」と森氏は言う。
第3に、プロジェクトの潜在的な課題解決を支援する。コーチは各メンバーの持つ漠然とした懸念や不安を引き出し、プロジェクトにおける潜在的な課題を表出させる。そして、全員で課題について話し合い、主体的に解決できるよう促す。
「たとえば、会議での発言者が偏っていたり、メンバーの発言内容がプロジェクトの目的からズレていたりすることがあります。コーチはこうした現象から、チーム内の関係性の力学を見極めて課題を可視化し、解決の方向に導きます」と森氏は説明する。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは「直観と主観の覚醒プログラム」の一環として、プロジェクトコーチングを提供している。効率性・客観性の過度な優先がもたらす課題について前述したが、その対極にある直観と主観に十分目配りする姿勢は、プロジェクトコーチングにおいても重視されている。
「メンバーの抱く直観や違和感は言語化しにくいもの。プロジェクトコーチングを通して、それを言語化するステップをはさむことで会議が活性化します。他のメンバーの意見に耳を傾けようという意識も高まります」(森氏)
プロジェクトコーチングを実施した企業の参加者からは、「発言しやすくなった」「メンバーの人となりがわかってコミュニケーションの質が向上した」などの声が寄せられているという。こうした効果を実感したメンバーは、プロジェクト終了後の日常業務への取り組み方も変わる。プロジェクトを通じて主体性を強化した社員は、周囲にもポジティブな刺激をもたらし、組織文化にも好影響を与えるはずだ。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングが提供しているプロジェクトコーチングは、直観と主観を呼び覚ましながらプロジェクトを活性化させ、メンバーの主体性を強化することに有効なアプローチである。プロジェクトコーチングを通じて成果創出に不可欠な関係性の質を高め、潜在的な課題が自発的に解決される状態をつくることは、特定のプロジェクトのみならず、組織文化にも好影響を与える。
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