EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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私たちは、パブリック・インフラストラクチャーのプロフェッショナルとして、サービスを通して、常に社会の問題解決を図る存在でありたいと考えています。
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では逆に、官民連携を持続的なものにするために自治体側で心掛けるべき姿勢とは――秋田県の高橋氏から出されたこの問いに、酒井氏は「フレキシビリティ」だと即答。仮に20年間のSPCという限られた契約関係であったとしても、必要以上にそれに縛られず、事業範囲の拡大などについて柔軟に話し合える機会を与えていただきたいと語りました。
これを受けて大塚氏は、地域の担い手を育てる観点から地元企業と大手企業による連携の必要性に言及。その際、民間同士の調整が往々にして難航することを挙げ、自治体が企業に望むことや連携の重要性を明確に意思表示することで、関係構築がスムーズに運ぶケースもあると指摘しました。
矢巾町の吉岡氏からは、「官民の間で技術やノウハウをうまく活用するコツは何か」との質問。大塚氏はこれに、「管路の維持・管理に関するノウハウなど自治体に備わる経験や知見をシェアする一方、企業が持つデータの収集・分析などに関するノウハウを生かすこと、例えばドローンやドライブレコーダーを道路の劣化状況調査に活用するなど、互いの強みを生かした連携が大切」と答えています。
さらに吉岡氏から、SPCを運営する上での「本音の苦労」を問われた酒井氏は、メタウォーターが宮城県で実践する実体保有型SPCを例に取り、次のように答えました。「業種も価値観も異なる種々多様な人たちが集まる組織ですが、みな自社の利益だけを考えているわけではありません。事業会社として利益を上げ、配当として還元する。その経営目的に向かうベクトルが同じである限り、あまり心配する必要はありません」。
最後に、視聴者から「シュタットベルケに対する民間企業の受け止め方」に関する質問があり、中部電力の神谷氏が「収益の上がる事業が赤字領域の損失を補う仕組みの利点」を挙げ、「民間企業は赤字部門に対してネガティブな印象を持ちがちですが、そこから生まれる新たな価値にこそ目を向けるべき」と指摘。「複数の領域をパッケージで事業化することで地域経済を活性化するビジネスモデル」の日本での進展に期待を寄せました。
「折しも1月の能登半島地震で注目されましたように、社会インフラをいかに効率よく維持・管理し、持続的に運営していくかが日本全国の自治体で問われています。そのための官民連携の役割、関係者の新たな協力のあり方が本日の議論からも見えてきたように感じます。EYとしてもこうした動きをご支援し、社会課題の解決に挑むプロフェッショナルファームとしての役割を果たしたいと思います」。EYSCの福田がそう述べて、今回のセミナーは幕を下ろしました。