EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
取り組み1:「AIの価値を実現するオフィス」を設置し、それをコントロールタワーに進化させる
製造業企業は、AIに関わる試験的試みとリソースを合理化し、それをビジネス成果につなげる部署を立ち上げるべきです。価値を実現するオフィスは、ナレッジ共有の取りまとめとガバナンスの構築を担いますが、その主たる目的は便益の実現と、プロジェクトとリスクマネジメントの実施、リソースの最適化です。
価値を実現するオフィスは小さな規模でスタートさせても構いませんが、全社的なAI導入への取り組みから最大限の価値を引き出すには、このオフィスを本格的な「コントロールタワー」に進化させなければなりません。コントロールタワーはAI戦略を担当し、全社的な取り組みのかじ取りをする最上位部署です。さまざまな部門に資本を配分し、部門間でリソースを調整する権限があります。
今すぐ:担当範囲を絞ったAIの価値を実現するオフィスを設置し、その実験と学びを繰り返すテスト・アンド・ラーンの責任を経営幹部が負う
AIを試験的に導入する1つの方法が、1つの部署内に簡単なプロジェクトマネジメントオフィスを設置し、それを価値を実現するオフィスにすることです。この取り組みでは、さまざまな専門分野を持つステークホルダーを取り込み、経営幹部の支援を受けて、優先度が高いプロジェクトや、成果がすぐ出るプロジェクトに重点を置くとともに、ガバナンスの実践を積極的に分析し、ビジネス上の新たな要件に合わせてその実践を変える必要があります。生成AIとローコードやノーコードのような使いやすいテクノロジーを活用することで、試験的試みの技術的ハードルが低くなり、技術畑ではない人材が早期に参加できるようになります。そのすべてが、賛同者を増やし、専門知識を醸成し、アジリティを高め、価値を創造する活動を可能にするのです。
後でしっかり:AIの価値を実現するオフィスを拡充し、コントロールタワーにする
価値を実現するオフィスの信頼性の向上と担当範囲の拡大に伴い、経営幹部による監督を強化した上で、その自律性と責任を拡大させることにより、AI導入の規模を拡大できます。このオフィスを、全社的なプロジェクトの取りまとめに欠かせない正式な地位とガバナンス体制、リソースを備えたコントロールタワーに進化させるべきです。コントロールタワーが、リスキリングニーズへの対応とデータインフラのアップグレード、エコシステム戦略の取りまとめも担うことになると考えられます。