EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
ここ数年、スタートアップのファイナンス環境が変化しており、転換社債型新株予約権付社債(社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在せず、新株予約権が付された社債を当該新株予約権行使時における出資の目的とすることをあらかじめ明確にし、会社法の規定に基づき発行する社債)や、転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債(いわゆる、社債と新株予約権が別個に存在する「その他の新株予約権付社債」)に加えて、融資(デット)と同時に新株予約権などのエクイティを発行するベンチャーデットによる資金調達の活用が目立ってきている。当該ベンチャーデットの1つに新株予約権付融資があるが、その会計処理や評価にあたっては論点がある。
本稿では、ベンチャーデット、特に新株予約権付融資の会計処理・評価や適切な会計処理がされずに誤った会計処理が適用されることから生じる問題点、IPO上の留意点、そして、新しい資金調達スキームへの向き合い方について論じていきたい。
なお、本稿の意見の部分は筆者の所属する組織の見解ではなく、筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておく。
新株予約権付融資とは、スタートアップ企業が金融機関等から融資を受けると同時に当該金融機関等に新株予約権を交付する資金調達スキームをいう。
新株予約権付融資はエクイティ(株式発行)とデット(融資)の中間的な形態の資金調達スキームであり、一般的には、新株予約権を発行しない場合の融資と比較してスタートアップ企業から見ると金利条件が有利、すなわち低金利になっている場合が多い。また、新株予約権を上場後に金融機関等から融資先の経営者等に売却を予定しているなど、エクイティによる資金調達と比較して、すぐには新株予約権が行使されずに株式発行がなされないことから、企業側には即時に株式の希薄化が生じないメリットがある。
融資を完済しても新株予約権の行使が請求できる期間は融資期間より長い期間(10年等)で設定されているなど、融資とは切り離された新株予約権独自の行使期間が設定されていることが多い。すなわち、融資と新株予約権は別個に存在しており、融資の返済にかかわらず、新株予約権が残存する契約形態になっている。
新株予約権の行使価格は新株予約権を付与するときの株式の時価に設定されており、その際に使われる株式の種類は直近の資金調達ラウンドで使用した株式の種類(普通株式、種類株式)にされていることが多いようである。
ベンチャーデット増加の背景には、スタートアップ企業と金融機関等の双方のニーズがマッチしていることがありそうである。
コロナ禍を経て東京証券取引所のグロース市場の環境が悪化し、株価低迷が続いており、当該株価が冴えない状況に連動して、IPO前のレイターラウンドでの資金調達環境も悪化したままであることから、スタートアップ企業がダウンラウンドでの第三者割当増資のエクイティ調達を回避するためにベンチャーデットを活用して資金調達する傾向が出てきている。一方、金融機関等からは国のスタートアップ支援の重点強化もあり、政府系金融機関のみならず民間金融機関も新たな資金供給先の開拓手法として捉えている面もあると思われる。
昨年のIPOは東京以外の地域にも広がりを見せたが、ベンチャーデットの金融サービスにおいてもメガバンクや、ベンチャーデットを資金供給するために組成されたベンチャーデットファンドのみならず、地方銀行等も資金供給の担い手として存在感を示してきている印象である。
新株予約権付融資については、複合金融商品として取り扱われるのか、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」(以下、「SO基準」という)13項の未公開企業における取扱いが適用されるのかが問題になる。すなわち自社株式の時価からストック・オプションの行使価格を差し引いた価格、いわゆる本源的価値での会計処理や評価の適用が論点となる。
最初に、複合金融商品として取り扱われるのかどうかを検討し、次に会計処理の取扱いをみていきたい。
企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下、「金融商品会計基準」という)( 注1)や52項によれば、金融資産、金融負債及びデリバティブ取引に係る契約を総称して金融商品とされており、金融商品の範囲には、複数種類の金融資産又は金融負債が組み合わされているもの、つまり複合金融商品も含まれるとされている。
すなわち、金融商品会計基準は金融資産や金融負債を対象としているが、これらを複数組み合わせることで新たに組成される新株予約権付社債などの複合金融商品も対象としている。
ここで、新株予約権付融資(ベンチャーデット)は、融資と同時に新株予約権が発行され、それぞれ単独で存在しうることとなる。
金融負債である融資と新株予約権が組み合わされたスキームであり、実態としては新株予約権付社債の場合の社債の金融負債部分が融資に置き換わったものであるから、同じく複合金融商品に該当するものと考えられる(金融商品会計基準35項、112項)。
新株予約権付融資は新株予約権が付されていることから、払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に該当し、企業会計基準適用指針第17号「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」(以下、「複合金融商品適用指針」という)を準用して会計処理することになると考えられる(複合金融商品適用指針2項)。
複合金融商品適用指針18項では、転換社債型新株予約権付社債の場合の発行者側の会計処理として、一括法又は区分法のいずれの処理も認めている。
複合金融商品適用指針41項や金融商品会計基準112項及び113項によれば、募集事項において、社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在し得ないこと及び新株予約権が付された社債を当該新株予約権行使時の出資の目的とすることをあらかじめ明確にされている転換社債型新株予約権付社債については、かつての転換社債と経済的実質が同一であり、それぞれの部分を区分して処理する必要は乏しいと考えられているため、区分法に加えて、一体として処理する「一括法」も認めているものである。
ここで、新株予約権付融資は、転換社債型新株予約権付社債のような会社法の規定に基づき発行されたものでもなく、融資を返済しても新株予約権は残るなど、融資と新株予約権がそれぞれ単独で存在しうることから、複合金融商品適用指針18項の転換社債型新株予約権付社債の場合の発行者側の会計処理を準用することは適切ではないと考える。
複合金融商品適用指針28項及び59項において、社債と新株予約権を同時に募集し、かつ、両者を同時に割り当てる場合、社債と新株予約権は別々に証券が発行されるので発行後は個別に流通することになるが、発行時において両者は実質的に一体のものとみられるため、その経済的実質は転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債(以下、「その他の新株予約権付社債」という)と同一であると考えられている。
その上で、その他の新株予約権付社債は払込資本を増加させる可能性のある部分とそれ以外の部分が同時に各々存在しうることから、その取引の実態を適切に表示するため、それぞれの部分を区分して処理することが必要であるとされている(複合金融商品適用指針21項及び43項)。
ここで、新株予約権付融資は、2(1)で既述したように、融資と同時に新株予約権が発行され、それぞれ単独で存在しうるものの、融資と新株予約権が組み合わされたスキームであり、発行時において両者は実質的に一体のものと考えられる。そして、新株予約権付融資も、「その他の新株予約権付社債」と同様に、融資と新株予約権がそれぞれ別個に存在しうることから、「区分法」に準じて会計処理することが適切と考える。
金融商品会計基準38項や複合金融商品適用指針21項において定めがある、「その他の新株予約権付社債」の発行者側の「区分法」の会計処理は、その他の新株予約権付社債の発行に伴う払込金額は、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分した上で、社債の対価部分は普通社債の発行に準じて処理し、新株予約権の対価部分は新株予約権の発行者側の会計処理に準じて処理するものとされている。
新株予約権付融資に上記の「区分法」を具体的に当てはめた場合には、新株予約権付融資のうち融資の対価部分と新株予約権の対価部分を区別した上で、融資の対価部分は借入金に準じて処理し、新株予約権の対価部分は新株予約権の発行者側の会計処理に準じて区分処理するのが適切と考えられる。
会社計算規則55条によると、新株予約権を発行する場合には、当該新株予約権と引換えにされた金銭の払込みの金額、金銭以外の財産の給付の額又は会社に対する債権をもってされた相殺の額その他適切な価格を、増加すべき新株予約権の額とするとされている(会社計算規則55①)。
新株予約権付融資において金銭の払込みの金額はゼロとなるが、⑴に記載した区分法により算定された新株予約権の対価部分がこの「その他適切な価格」に該当すると考えるのであれば、会社法(会社計算規則)の規定上も、新株予約権につき区分法を適用することに特段の問題はないことになる。
金融商品会計基準( 注15)によれば、「区分法」を適用する場合には、①社債(新株予約権融資の場合でいえば借入金。以下、「借入金」という)及び新株予約権の払込金額又はそれらの合理的な見積額の比率で配分する方法、あるいは②算定が容易な一方の対価を決定し、これを払込金額から差し引いて他方の対価を算定する方法によることになる。
ただし、複合金融商品適用指針43項なお書きによれば、社債(借入金)と新株予約権のそれぞれの払込金額が経済的に合理的な額と明らかに乖離するときには、当該払込金額の比率で配分する方法の適用は適当ではないとされ、このような場合には、新株予約権付社債(借入金)を区分する他の方法を適用することになるとされている。
新株予約権付融資で付されている新株予約権が、経済的に合理的な額と明らかに乖離していないかの慎重な検討が必要である。新株予約権が付与されることにより明らかに信用リスクが補完されて金利が低くなっている場合などのように新株予約権の価値(時価)が存在するといえるケースなどは、当該払込金額の比率(新株予約権が0で、払込全額が借入金)で配分する方法の適用は適当ではないため、このような場合には、新株予約権付融資を区分する他の方法を適用することが適切であると考えられる。
新株予約権付与のため金利が低くなっている新株予約権付融資など新株予約権に価値があるケースは、借入金と新株予約権の払込金額の比率で区分するのは適切ではなく、算定が容易な一方の対価を適切に算定の上で決定し、これを払込金額から差し引いて他方の対価を残余で求める方法によることが多いと考える。具体的には、新株予約権のオプション価値を算定機関等に依頼して直接算定する方法などが実務上考えられる。
また、融資(借入金)の時価を直接算定する方法も考えうる。なお、借入金の時価の算定においては、会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」351項の区分処理方法や、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」を参考にして、融資(借入金)の元利合計を、「新株予約権が付されていなかった場合に設定されたであろう純粋な(プレーンな)借入金に対する金利」で割り引いて現在価値で時価を算定する方法が考えられる。
すなわち、返済額と利息の将来キャッシュ・アウトフローを、新株予約権を付さないプレーンな融資の場合の金利で割引計算をする。ただし、このような条件下の金利は金融機関等に問い合わせても回答されないケースも実務上は多いと思われる(図表1参照)。
新株予約権付融資を「区分法」で評価した場合に、新株予約権のオプション価値が算出された場合には、新株予約権のオプション価値相当分だけ、借入金の当初計上額が借入の約定返済額と相違し、結果的には債務額が割引発行されたような事象が、借入金においても発生する(図表2参照)。
そのため、契約上の約定金利で支払利息を毎年計上する図表2の表面金利の仕訳に加えて、当該割引差額を償却原価法にて損益計算書(P/L)上において支払利息を費用計上する一方、貸借対照表(B/S)上において借入金を増加させる仕訳がされる(金融商品会計基準26項ただし書き)。
ここで、償却原価法とは、金融資産又は金融負債を債権額又は債務額と異なる金額で計上した場合において、当該差額に相当する金額を弁済期又は償還期に至るまで毎期一定の方法で取得価額に加減する方法をいう。なお、この場合、当該差額を受取利息又は支払利息に含めて処理するとされている(金融商品会計基準(注5))。
会社計算規則6条によると、負債については、会社計算規則又は会社法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿に債務額を付さなければならないとされている(会計規6①)。この原則に対して、払込みを受けた金額が債務額と異なる社債等の負債のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な負債については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができるとされている(会計規6②二、三)。
新株予約権付融資において借入金の対価部分が約定返済額と異なると考えられる場合には、(1)に記載した区分法により算定された割引後の債務額が借入金の対価部分の「適正な価格」に該当すると考えるのであれば、会社法(会社計算規則)の規定上も、負債の評価においても区分法を適用することに特段の問題はないことになる。
【図表1】一括返済の場合の借入金の時価算定のイメージ図
本章では新株予約権付融資にSO基準における「未公開企業における取扱い」の特例が適用されるのかを考察していきたい。
SO基準13項によれば、未公開企業については、ストック・オプションの公正な評価単価に代え、ストック・オプションの単位当たりの本源的価値の見積りに基づいて会計処理を行うことができる。
ここで、「単位当たりの本源的価値」とは、算定時点において、ストック・オプションが権利行使されると仮定した場合の単位当たりの価値であり、当該時点におけるストック・オプションの原資産である自社の株式の評価額と行使価格との差額をいう。
シンプルにいえば、自社株式の時価からストック・オプションの権利行使価格を差し引いた価格となる。
ここで、ストック・オプション算定時点において、権利行使価格を自社の株式の時価に設定すると仮定した場合、自社株式の時価からストック・オプションの権利行使価格を差し引いた価格はゼロとなり、株式報酬費用及び新株予約権は計上されない。
結論からいえば、新株予約権付融資には、SO基準における「未公開企業における取扱い」の特例は適用されない。
SO基準3項で、企業が財貨又はサービスの取得において、対価として自社株式オプションを付与する取引であっても、他の会計基準の範囲に含まれる取引については、本会計基準は適用されないとされている。
新株予約権付融資は上述してきたように「その他の新株予約権付社債」の取扱いを準用する複合金融商品として金融商品会計基準が適用される取引であるため、SO基準の適用対象外となる。
したがって、SO基準13項における未公開企業における本源的価値の見積りを適用できず、金融商品会計基準の定めに従って複合金融商品として区分法により会計処理することになる。
【図表2】借入時の仕訳
ここで複合金融商品として正しく会計処理・評価される場合とSO基準を誤って適用した場合の業績や財政状態に対する違いや影響をみていきたい。
複合金融商品として処理された場合には、新株予約権のオプション価値相当につき、償却原価法で差額分につき実質的な金利費用計上がされる一方、SO基準13項の未公開企業の本源的価値の特例を適用した場合は償却原価法で処理される支払利息費用の計上がされず、同一事象にもかかわらず、費用計上額、ひいては利益額が異なり、企業間での財務諸表の比較可能性を損なうことになる(上記8図表2参照)。
IPO時での公開価格は、1株当たりの当期純利益×類似会社のPER(株価収益率)にIPOディスカウントが考慮されて決定されることが多いことから、利益が適切に算定されていないと、上場時の株価も、誤った利益相当額にPERの倍率を乗じたディスカウント考慮後の金額分だけバリュエーションが間違ってしまうことになる。
複合金融商品として処理された場合には、新株予約権のオプション価値相当につき新株予約権が純資産に計上される一方、SO基準13項の未公開企業の本源的価値の特例を適用した場合には仕訳は計上されず、その結果として新株予約権のオプション価値相当分だけ、純資産が過小計上されてしまう。
新株予約権付融資の会計処理・評価の処理を誤った場合には、上記のIV で述べたとおり、借入金の時価と契約返済額の差額調整のP/L上の支払利息の未計上やB/S上の新株予約権の未計上の結果、業績や財政状態が適切に表示されない結果になり、金額的な重要性如何によっては財務諸表を過年度に遡って修正して会計監査人未設置企業などの場合には株主総会承認手続を取らなくてはならない。
IPO申請直前に判明した際にはIPO延期につながるおそれも出てくるので十分な注意が必要である。
新株予約権付融資を活用する予定がある場合には、予算においても契約上の表面金利のみならず、新株予約権のオプション価値相当の実質的な利息費用の期間計上額をあらかじめ考慮する必要がある。予実精度が特に要求されるIPO申請期においては予算への考慮を忘れて予実が乖離することは避けたいところである。
新株予約権付融資などの新しいファイナンススキームを活用する際には、会計・税務・法務等の十分な検討が事前に必要になることに留意すべきである。
新しいファイナンススキームのメリットのみに飛びつき、デメリットやリスクを考慮せずに、後になって問題になったケースは過去にも数多くあり、歴史に学ぶことが肝要である。
スタートアップ推進議員連盟が2024年4月23日付でスタートアップ議連2024提言「スタートアップ5ヵ年計画後半に向けた投資額×10=10兆円、ユニコーン×10=百社を達成する為の加速プラン」を出しており、「ベンチャーデットの強化」とともに、情報不足に関する課題としてベンチャーデットの新株予約権評価について、必ずしも施行時に会計処理方針が明確化されている訳でないと言及されている。
また、「複雑化する会計処理でスタートアップに想定外の事象が発生しないように、会計論点を事前に検討する支援チームを組成」が提言されており、早期に実現が期待される。
なお、提言の原文は下記のとおりであるので参考にしていただきたい。
本稿は新株予約権付融資について会計処理・評価の論点を中心にIPO上の留意点や新しい資金調達スキームへの向き合い方に触れながら論じてきた。
上述のとおり当該スキーム導入にあたっては税務処理についても事前に十分に検討すべきといえる。
すなわち、法人税法施行令136条の2「金銭債務の償還差損益」の規定等を斟酌して、金銭債務の割引発行時の差額につき、発行時から償還時までに渡って期間配分した金額を損金算入できるのかなど、税務上の取扱いは国税当局や顧問税理士に確認のうえ慎重に対応すべきと考える。
新しいファイナンススキームを適切に活用して、非連続な成長を達成して、スタートアップ企業がより良い社会の構築に貢献していくことを期待している。
関連記事
IPO企業のビジネスモデル多様化:ファイナンス環境が回復傾向にある2023年。24年以降のIPOの展望とは? ~東証常務青氏とEYパートナー藤原選が熱論を交わす
宇宙ベンチャーの上場などIPO企業のビジネスモデルが多様化した2023年。ファイナンス環境も回復傾向にあり、IPOを取り巻く環境はより良くなると考えて良いのでしょうか。EY新日本で数多くスタートアップのIPO業務に携わる藤原選が、東京証券取引所 青克美取締役常務執行役員をお招きして、2023年のIPOの振り返りと24年以降の動向について探っていきます。
IPOの新潮流:昨今の国際情勢の中で、2023年以降のIPO株式市場はいかに変化して、成長していくのか? ~2022年IPOを振り返りながら探る~
2022年は世界的な金融緩和の反動のほか、ウクライナ情勢の地政学リスクや急速な円安の進行、海外機関投資家の資金供給量の減少など、特に新興企業株への投資抑制が目立ちました。一方でTOKYO PRO Marketへの新規上場企業数は21社と過去最多を更新。23年はまだ懸念材料が多い中で、市場区分再編の効果や22年の積み残し大型案件のIPOなどに期待が集まります。
IPOの新潮流:昨今の国際情勢の中で、2023年以降のIPO株式市場はいかに変化して、成長していくのか? ~2022年IPOを振り返りながら探る~
2021年は前年と比べ多くの企業が上場を果たし、マザーズには過去最高の93社が上場しました。海外機関投資家向けのオファリングは前期の2倍に増加し、この傾向は今後も続くと見込まれます。2022年のIPOは110~120社程度と予測され、新市場区分による投資家と企業の新たな関係が期待されます。