EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
トランプ米大統領は、2025年1月20日の就任式後、経済協力開発機構(OECD)の「グローバル・タックス・ディール」1に関するものを含む、さまざまな政策問題に関する多数の大統領令を発令しました。大統領令では、グローバル・タックス・ディールは米国では効力を持たないと述べています。さらに、財務長官が、本質的に域外適用となる、あるいは米国企業に不均衡な影響を与える可能性のある外国の税制に対応するための選択肢を策定し、調査結果と提言を大統領に提出するよう定めています。
大統領令では、グローバル・タックス・ディールは米国の所得に対する域外管轄権を認めるものであり、米国企業と労働者の利益に資する税制を米国が制定する能力を制限するものとして説明しています。
大統領令は、財務長官とOECD常駐代表に対し、前政権がグローバル・タックス・ディールに関して行ったいかなる公約も、米国議会が関連する条項を採択する法律を制定しない限り、米国では効力を持たないことをOECDに通知するよう指示しています。
また、大統領令は、財務長官に対し、米国通商代表部と協議の上、外国が米国との租税条約に違反している、あるいは域外適用となる税制や米国企業に不均衡な影響を与えるような税制を導入している(または導入する可能性がある)かどうかを調査するよう指示しています。さらに、対応策として米国が採用または実施すべき保護措置やその他の措置の選択肢を策定するよう指示しています。財務長官は、60日以内に調査結果と提言を大統領に提出することになっています。
米国の貿易政策に関する別の大統領令でも、外国による域外課税や差別的課税を取り上げています2。この大統領令は、財務長官に対し、米国商務長官および米国通商代表部と協議の上、外国が米国市民または米国企業に対して域外課税や差別的課税を行っているかどうかを調査するよう指示しており、米国内国歳入法891条に言及しています。同条項は、そのような課税を行っている国の市民および企業に対して米国の税率を2倍にすることを規定しています。財務長官は、この調査結果を2025年4月1日までに大統領に提出することになっています。
2025年1月22日、米国下院歳入委員会(下院における税制問題を管轄)のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州選出)と全共和党議員は、グローバル・タックス・ディールに関する大統領令に言及し、法案「Defending American Jobs and Investment Act (H.R. 591)」を提出しました。スミス委員長と共和党議員が2023年に提出した同名の法案と同様に、この法案は米国財務省に対し、外国が制定した、米国企業に影響を与える域外課税や差別的課税(軽課税所得ルール〈UTPR〉など)を特定することを求めるものです。この法案では、該当する国の投資家および企業の米国所得に対する米国の税率が毎年5パーセントポイントずつ引き上げられ、最大で20パーセントポイントの増加となります。過去数年にわたり、下院歳入委員会のスミス委員長と他の共和党議員、そして上院財政委員会(上院における税制問題を管轄)の共和党議員は、外国が米国企業の米国での収益にUTPRを適用することに強く反対する意見を表明してきました。
企業は、これらの大統領令に関連する今後の展開に細心の注意を払う必要があります。これには、OECD3が発表する可能性のある公式声明や、OECD/G20包摂的枠組みに参加している他国の反応も含まれます。第2の柱の運用指針に関する包摂的枠組みにおける作業やその他の技術的な問題、および関連諸国における第2の柱の実施に関連する立法活動にどのような影響を及ぼすかを注視することが重要となります。
財務長官が提出する選択肢、調査結果、提言は、重要な次のステップとなります。これらの報告書は、企業が直面するグローバルな税務環境を評価する上で不可欠な新しい情報を提供すると考えられます。
企業はまた、米国の税制に関する立法活動についても引き続き注視する必要があります。これには、第2の柱や外国が制定したその他の域外課税や差別的課税の措置に対応して、米国内での外国企業の事業活動に増税を課す法案が、下院歳入委員会の委員長および共和党議員によって再提出されたことが含まれます。
巻末注
EY税理士法人
秦 正彦 シニア・テクニカル・アドバイザー
関谷 浩一 パートナー
※所属・役職は記事公開当時のものです
EYの関連サービス
グローバルミニマム課税に備える:組織への影響を評価し、確実で実行可能な計画を策定するため、EYが提供するサポートをご活用ください。
続きを読むメールで受け取る
メールマガジンで最新情報をご覧ください。