EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡
企業がその従業員等に対してストック・オプションを付与する場合、それに応じて企業が従業員等から取得するサービスは、その取得に応じて費用として計上し、対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使又は失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に新株予約権として計上します(会計基準第4項)。
各会計期間における費用計上額は、ストック・オプションの公正な評価額のうち、対象勤務期間(ストック・オプションと報酬関係にあるサービスの提供期間)を基礎とする方法その他合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額となります。ここでいうストック・オプションの公正な評価額(A)とは、公正な評価単価(B)×ストック・オプション数(C)として算定されます(会計基準第5項)。
<費用計上の仕訳処理>
(X1年度の会計処理)
(注)5,000円/個×6,000個×12カ月/24カ月=15,000,000円
各会計期間における費用計上額の算定においてポイントとなるのは、ⅰ公正な評価単価(B)をどのように算定するか、ⅱストック・オプション数(C)をどのように算定するか、ⅲストック・オプションの公正な評価額(A)を各会計期間にどのように費用配分するか、といえます。
ストック・オプションの付与日現在で算定し、その後の見直しは行いません。ただし、行使価格を変更するなどの条件変更があった場合は見直しが必要になります(会計基準第6項(1))。
ストック・オプションの公正な評価単価(B)は、本来はストック・オプションの市場価格をいいますが、ストック・オプションは通常、譲渡が禁止されており、市場で取引されていないため、市場価格を観察することができません。そこで、ストック・オプションの公正な評価額を見積るため、株式オプションの合理的な価額の見積りに広く受け入れられている株式オプション価格算定モデルなどの算定技法を利用することが必要になりますが、次の要件を満たす算定技法でなければなりません(会計基準第6項(2)、適用指針第5項、第38項)。
(※) 特性
1) 株式オプションに共通する特性
2) ストック・オプションに共通する特性
3) 算定対象である個々のストック・オプションに固有の特性
上記1)および2)に関するそれぞれの特性を公正な評価単価の算定に用いる算定技法に反映するために考慮すべき基礎や方法については、それぞれ適用指針第6項(下記(3)参照)、第7項(下記(4)参照)に示されています。
ストック・オプションの公正な評価単価の算定技法については、今後も進化していくものと考えられるため、会計基準等においては、公正な評価単価の算定技法について、特定の方法の採用を具体的に定めず、このように一般的な条件が示されています(適用指針第39項)。
株式オプションに共通する特性を、ストック・オプションの公正な評価単価の算定に用いる算定技法に反映するためには、使用する算定技法において少なくとも次の基礎数値が考慮されている必要があります(適用指針第6項)。
ストック・オプションに共通する、譲渡が禁止(又は制限)されているという特性は、次の方法により、公正な評価単価の算定に用いる算定技法に反映します。
ストック・オプション