わかりやすい解説シリーズ「退職給付」 第4回:連結上の表示組替

公認会計士 内川 裕介
公認会計士 七海健太郎

1. 連結財務諸表における名称の変更


【ポイント】
平成24年改正により、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(以下「未認識数理計算上の差異等」という)を連結財務諸表上で認識することになりました。これに伴い、未認識数理計算上の差異等を含まない個別財務諸表と、未認識数理計算上の差異等を含む連結財務諸表で、明確に科目名称を分ける必要があります。具体的には連結財務諸表における従来の「退職給付引当金」が未認識数理計算上の差異等を含めて「退職給付に係る負債」となり、同様に「前払年金費用」が「退職給付に係る資産」となっています。


図1 連結財務諸表における名称の変更

上記の勘定科目の名称の変更は連結財務諸表のみの変更となっています。従って、個別財務諸表では従来通り「退職給付引当金」および「前払年金費用」の名称を使用します。
なお、未認識数理計算上の差異等の取扱いが個別財務諸表と連結財務諸表で異なることを明示するために科目名称を分けたという趣旨から、個別財務諸表の勘定科目を「退職給付に係る負債」等へ変更することは認められていません。
会計実務上は、連結修正仕訳において、個別財務諸表上で計上されている「退職給付引当金」等を「退職給付に係る負債」等に組み替える仕訳が必要となります。

2. 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の処理方法


【ポイント】
平成24年改正により連結財務諸表上、未認識数理計算上の差異等を、純資産の部におけるその他の包括利益累計額に計上することになりました。
従って、連結修正仕訳において、未認識数理計算上の差異等を退職給付債務に係る負債(資産)に計上するとともにその他の包括利益累計額に計上する必要があります。


図2 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の処理方法

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