多様性を尊重するシスメックスの人事制度のあり方
人材マネジメント改革の基盤となっている思想が、グループ企業理念「Sysmex Way」で掲げる各ステークホルダーへの提供価値「Shared Values」です。この中で、従業員に対する提供価値を次のように明示しています。
“多様性を受け入れ、一人ひとりの人格や個性を大切にすると共に、安心して能力が発揮できる職場環境を整えます。自主性とチャレンジ精神を尊重し、自己実現と成長の機会、成果に応じた公正な処遇を提供します。”
「人事制度改革というと、グレード付けや評価の仕組み、待遇などに気を取られがちですが、それは最優先事項ではありません。人事部にとって第一のお客さまは従業員であり、人事制度が誰のためにあるのかと言ったら従業員のため。会社と従業員は対等であることが前提で、キャリアの選択権を従業員自身が持ち、かつ、楽しんで選べるような独自性のある仕組みでなければ意味がないと考えています」
EYは、初期段階からシステム実装を見据えたグローバル・タレント・マネジメントに関する提案を行ってきました。施策の核となるジョブ型人事制度の設計では、制度を実際に機能させること、従業員の納得を得ることを重視し、既存のフレームワークに終始した形式的な対応ではなく、役員や現場へのヒアリングを繰り返し実施。グローバルHRポリシーの策定、グローバル統一の人事制度の導入、グローバルでのポジション管理やタレントマネジメントを行うための人材ポートフォリオの構築などを支援しました。
そして、グローバル統一のジョブ型人事制度を2020年4月に管理職・専門職へ導入し、翌年10月からは一般従業員にも適用しています。
「ジョブ型人事制度への転換によって、ジョブディスクリプションを起点に個人の属性やスキルを可視化し、ポートフォリオとして人的資本を管理できるようになりました。事業や技術戦略と人材ポートフォリオのギャップが見えるようになったことも大きな効果です。
従業員から異動の希望を募って新たなキャリアへの挑戦を支援する『キャリア申告制度』は、以前より機能するようになりました。現在、現部署の残留希望も含めて6~7割の希望を実現できています。また、東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)と共同で独自に開発した、人材と職場をマッチングさせるアルゴリズムも、自律的なキャリア形成を促進する上で効果的に働いています」