1. ヒューマンインターフェースのハードウェア開発を推進
人は拡張現実(AR)/仮想現実(VR)ヘッドセットやゲーミングコンソール、スマートフォンなどのデバイスでメタバースを使うようになります。こうしたデバイスがバーチャル世界への入口になるのです。
VRは新しい技術ではありませんが、スマートフォンに比べ消費者への浸透率は低いのが現状です。これを普及させるには、持ち運びやすさや解像度、反応のよさや視界などの面で、現在のVR技術を向上させる必要があります。
こうしたデバイスにとって、メタバースは間違いなく促進剤となります。事業者はこの機を逃さず、デバイスベンダーと連携し、VR デバイスと接続サービスを抱き合わせて消費者に提供するなど、その普及を推進していくことが可能です。その一方で、エンドツーエンド(E2E)の「デバイスのライフサイクル管理」アプローチを採用してデバイスの価値を引き出す必要があるでしょう。
また、デバイスのイノベーションへの投資に加え、セキュリタイゼーションやリコマース、保険など、収益力を高める鍵となる手段の実行に投資するという手もあります。
2. 接続プロバイダーのリーダーに
メタバースの発展とバーチャル世界の拡大は、コネクティビティ(接続性)に直接関係しています。
5Gサービスは、マルチギガビット毎秒(マルチGbps)のピークデータ速度の向上や超低遅延、高い信頼性、均一なサービスを提供するとされています。5Gネットワークが商用展開されるにつれ、消費者・企業ともにメタバースに参入しやすくなるでしょう。
2030年に向けて、通信業界は6Gサービスに向けたワイヤレス技術の世代交代を再び迎えると予想されます。6Gではデータ転送速度が向上し、遅延が減ることで、メタバースがさらに勢いづきます。
また、高周波数帯域の高速通信を実現する光ファイバー接続によってメタバース開発が活発化するでしょう。今後、Wi-Fiの最新世代であるWi-Fi 6によりワイヤレストラフィックが軽減すれば、ネットワーク容量や効率に関する問題への対処も進みます。
3. エッジコンピューティングサービス提供者としての立場を確立
メタバースには膨大な処理能力やリアルタイムレンダリング、AI計算能力が必要となります。基本的な処理能力は、今より数百倍高いものが求められます。
処理能力の要件が高くなることから、メタバースにとって不可欠になるもうひとつの構成要素がエッジコンピューティングです。数百万の人々がリアルタイムで継続的にバーチャル体験をする未来においては、クラウドでは必要な全てのリソースを集約して保存することはできません。
遅延の要件もあるため、データは分散させて消費場所に近いところで利用できるようにする必要があります。このことは、エッジコンピューティングサービスの提供や、より効率的なデータ転送の実現、ネットワーク境界のセキュリティ強化、ネットワーク輻輳の軽減、さらにはその過程での収入源の多様化を図る上で、事業者にとって非常に有利に働きます。成功するためには、エッジクラウド戦略と旧来のクラウド戦略とを整合させ、専門のクラウドプロバイダーと適切なパートナーシップを構築することが必要です。