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設置船の調達は世界的に見ても一番のリスク。プランBの策定も必要
――今後の入札におけるリスクシナリオについてはどうでしょうか。
内海 ラウンド1では別紙11にリスクに関する記載が集約されていました。EPC(設計・調達・建設)、OM(運用および保守点検)、ファイナンス、その他と4つの項目について記載するような要件になっていました。その中でそれぞれのリスクを特定、分析し、そのリスクに対する対応策や事業者の過去の成功事例を記載する様式となっていました。成功事例に関しては、リスクを緩和することに成功しているので、なかなか各事業者さんの記録には残っておらず、結構記載が難しい要件でした。
ラウンド2においては、各様式に記載がちりばめられて、リスクが様式ごとに書く方式になるため、事業者の方々は記載しやすいかと考えています。また独自のリスク設定、その対応策についても、基本的には事業者の皆さんの過去の知見に基づくものだと考えますので、ラウンド1と同様のことだと思います。このあたりに関してはラウンド1と同様なプロセスで、リスクマトリックスを作成したり、保険アドバイザーからレポートを取得したりするものだと考えています。
今後の国からのリスクシナリオの提示に関しては、やはりこのご時世であるコロナ対策であったり、洋上風力特有の話で行くと、SEP船調達に関するリスクシナリオの提示があるのではなないかと考えています。コロナ対策に関しては既に秋田県八峰の様式集に記載されている通りです。このあたりの対策に関しては、国・保健所の規定に沿いつつも、各社さん独自で規定されていることもあるでしょうから、そのあたりを勘案した対策を記載するのが良いのだと思っています。また船内でクラスターが発生した場合の、人員の補充、確保体制に関しては確実に記載した方がいい項目と考えます。この他、ベンダー企業がデフォルトした際の対応策も盛り込んでおくべきだと考えます。
太田 もし想定外の問題が発生した場合、どうすればいいのか。そのリスクシナリオ、プランBをつくることが重要です。特に設置船の調達は世界的に見ても一番のリスクとなっています。ヨーロッパの場合は比較的、他の選択肢も許容されますが、日本の場合は業者も限られています。そのため、ゼネコンがつくっている船がどんなスペックで、いつ空いているのか。そうした情報も把握していくことが欠かせません。
また、最近では地盤調査の不足により、くいが沈んでいく、あるいは船自体が事故を起こすといった事例が頻発しています。こうした事態に対応するためにも、事前の調査と事後の手当てについて検討しておくべきです。そのためには、先行事例を含め、海域の専門家やゼネコンなどのプロフェッショナルとチームをつくって対応することが重要になってきます。