EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYパルテノンは、EYにおけるブランドの一つであり、このブランドのもとで世界中の多くのEYメンバーファームが戦略コンサルティングサービスを提供しています。
2つの問い
⽇本においても独⽴系通信タワーの事例が出始めていますが、基地局はほとんど移動体通信事業者が保有しており、独⽴系通信タワー事業はまだ規模が⼩さいという現状です。
しかし、5Gカバレッジの拡⼤やARPU(Average Revenue Per User)の減少傾向などを踏まえ、投資効率を⾼め収益性向上につなげるため移動体通信事業者が通信タワーのアウトソーシングやシェアリングを検討することが進んでいくと想定されます。欧⽶の事例からも分かるように、通信タワーのインフラ資産部分を切り離し、独⽴系通信タワー事業者へのアウトソーシングやシェアリングを推進することで投資効率を改善し、既存サービスの強化や新サービスへの投資を拡⼤できることが分かっているからです。
移動体通信産業全体としてみてもメリットがあります。
垂直統合的なビジネスモデルから⽔平分業モデルへの移⾏により、通信業界産業⾃体の規模の拡⼤や新産業育成につながることが想定されます。消費者にとっても、移動帯通信事業者間でシェアリングが進むと全体としてのカバレッジが⾼まることが想定され、メリットがあります。また、シェアリングにより、全体需要に⾒合った数の通信タワー数にとどめることができ、環境⾯や視覚⾯でもメリットとなることが想定されます。
EYパルテノンができること
CEOやビジネスリーダーは、この変革の時代に、ステークホルダーにとっての価値を最大化するという任務を負っています。私たちは常識に疑問を投げかけ、収益性と長期的価値を向上させる戦略を構築し、実行します。
続きを読む欧州では無線インフラの独立系通信タワー事業者への外部委託が増える傾向にあります。世界的に見ても、この外部委託が主流となってきました。これは移動体通信事業者(MNO)、より広義の無線セクター、そして最終的に消費者に数多くのメリットをもたらしています。
欧州の独立系通信タワー事業者は2018年以来、市場シェアを17%から20%に伸ばしました。その過程で移動体通信事業者が保有する通信タワーを取得し、約150億ユーロの資本解放にも貢献しています。
本レポートは、European Wireless Infrastructure Association(EWIA)の加盟企業、アナリストのレポート、Towerxchangeのウェブサイト、EYパルテノンの分析(2022年2月)から得た情報を参考にまとめられたものです。本レポートで紹介した傾向は、今後も続くことが予想されます。それは、本レポートの発表時に見られた市場の動きからも明らかですが、今回のレポートの数字にその市場の動きは反映されていません。
本記事はEYパルテノンのOlivier WolfとUlrich Loewerが執筆しました。
EYパルテノンはEuropean Wireless Infrastructure Associationと共同で、欧州の移動体通信タワーセクターによる経済的貢献についての調査を実施しました。この調査では、独立系ホールセール無線インフラ事業者(独立系通信タワー事業者)が果たす重要な役割を掘り下げて調べました。これら事業者は今後も大きな役割を担い、長期間にわたりその時代のデジタル経済を支えることになるでしょう。本調査の目的は、投資を生み出し、通信インフラの有効な活用を促す上で独立系通信タワー事業者がもたらすことができるメリットと、2025年までにギガビット社会を実現するというEUのビジョンや、各国政府の目標(例えば、携帯電話のサービスエリアや5G導入などに関わる目標)の達成において、独立系通信タワー事業者が果たすことのできる役割についての理解を深めることです。