EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
本稿では、2023年第3四半期まで(1~9月)のSPACに関する取引に生じた変化を概括的にご紹介します。2023年第3四半期までのSPACによるIPOは、上半期同様、世界の各市場で大幅な減少となりました。世界のSPACによるIPO数は前年同期比60%減少の53社、調達額は前年同期比76%減少の37億米ドルと大幅に減少しました。地域別では、米国、アジア太平洋、欧州いずれもSPACによるIPO数、調達額は大幅に減少し、SPACの減少トレンドは世界的に生じています。
Sources: EY Global IPO Trends Q3 2023
2023年第3四半期まで(1~9月)の世界のSPACによるIPO数は、前年同期比60%減少の53社にとどまり、調達額においても、37億米ドル(76%減少)にとどまりました。
地域別では、米国が23社(71%減少)、29億米ドルの調達(78%減少)、アジア太平洋が27社(21%減少)、3億米ドルの調達(74%減少)、欧州にいたっては3社(83%減少)で、5億米ドルの調達(67%減少)にとどまり、SPACの減少トレンドは世界的に生じているといえます。
2023年第3四半期までにおけるDeSPACの買収金額上位5社は、以下の通りです。
Sources: EY Global IPO Trends Q3 2023
買収金額に関して、1位のBlack Spade Acquisition Co.は231億米ドル(2023年8月14日に買収完了)、2位のL Catterton Asia Acquisition Corp.は55億米ドル(2023年1月31日に買収合意)、3位のAlphaVest Acquisition Corp.は43億米ドル(2023年8月14日に買収合意)と多額ですが、これ以外の買収金額は14億米ドル以下にとどまっています。
市況は回復の兆しを見せているものの、当面の間はSPACによるIPOは低迷し、DeSPACやSPACの清算の方が目立つ状況が続くものと思われます。
2023年第3四半期までのSPACのIPOは静かな状況が続いており、調達額においては2016年以降最低レベルまで落ち込みました。2021年に急増したSPACのプロモーターの多くは、取引を完了するかあるいは清算するかの選択を迫られる中で、依然厳しい状況は続いており、SPACによるIPOは今後もしばらくは静かな状況が続くと見込まれます。
今後のSPACの広がりについては不透明であるものの、IPOの1つの手法としては認識された方法であり、SPACの動向については引き続き注視していく必要があると思われます。
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甲斐 佑典
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ここ1年で経済記事やニュースにおいてSPACという言葉をよく目にするようになりました。SPACとは、自身では事業を営まず、主に未公開企業や他社の事業を買収することを目的とした会社です。本稿では、日本企業の目線でSPACの留意点を説明します。(情報センサー2021年10月号 FAAS)
2023年第3四半期までの世界のSPACによるIPO数は前年同期比60%減少の53社、調達額は前年同期比76%減少の37億米ドルと大幅に減少しました。地域別では、米国、アジア太平洋、欧州いずれもSPACによるIPO数、調達額は大幅に減少し、SPACの減少トレンドは世界的に見られます。