EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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デジタルトランスフォーメーションは今後、問題の解決で非常に大きな役割を果たすと思われますが、医療従事者の意見は懐疑的です
医療機関は、デジタルトランスフォーメーションを進めることで、医療従事者の日常業務に支障をきたす障害を取り除くことができます。
「デジタル化は、バリューセンターではなく、コストセンターと位置づけられています」と話すのは、OpenEHRのCEO、Rachel Dunscombe氏です。同氏は、英国の国民保健サービス「National Health Service:NHS」などでデジタル臨床プログラム作りに幅広く取り組んできました。「医療従事者が今よりずっと仕事に幸せを感じる環境を維持しながら、生産性を高めることができる経営モデルとして、デジタル化の再構築が絶対に必要です」
EYのプロフェッショナルが行ったインタビュー調査のなかで、医療従事者は、音声入力ソフトウエアと、画像、スキャン、カルテをリモートで見られるツールをはじめ、これまでに導入された一部のデジタルツールには価値を認めると述べる一方で、1人の患者当たり複数回ログインする必要があるサイロ化したアプリとプラットフォームを嫌い、電子カルテ(EHR)から必要な情報を見つけやすくすることを望んでいます。医療従事者は慎重な姿勢を崩さず、チェックボックスのクリックで迷ってしまうEHRに疲れ果てていることもあり、医療提供モデルの変革でテクノロジーが果たす役割に対して医療機関幹部より懐疑的です。
一方、燃え尽き症候群で退職する医師を補充するための費用は、採用費、契約金、逸失売上や新人研修費を加味すると、医師1人当たり推計で50万米ドルから100万米ドルに上ることから、医療従事者を引き付け、維持するのに役立つデジタル戦略を追求しないことにより生じるコストは高くつきます。
Dunscombe氏は、医療従事者にテクノロジーを習熟させ、自分に合った体験を自由に創造できるようにする必要があると述べています。医療データが持つ力を引き出す上でのもう1つの課題として同氏が挙げたのは、「医療従事者に必要なデータ照会ツールの欠如」です。「私たちができる最も効果的な対応の1つは、医療従事者が患者全体を把握できるようにすることです」
EYのチームがインタビュー調査を行った医療従事者で、分析から導かれた患者についての知見にアクセスできると答えた人は1人もいません。データが膨大すぎて、必要な情報を見つけられないことがあると、いら立ちすら示していました。事実、世界銀行が先ごろまとめたレポートによると、一部の国では、医療データのうち健康の向上に利用されるデータは推計で全体の5%未満です2。