- 戦略的枠組み:説得力のある将来のビジョン、それを達成するための明確な戦略、そして変化に備えたビジネスケースを示す、しっかりとした枠組みが必要です。WPBは、厳密な設計方針があればそれを使い、選んだアプローチを将来のモデルの運用ルールに落とし込むことができます。世界各地で事業展開する企業の場合は、現地の規制や顧客の要求を満たすと同時に、海外のクライアントにシームレスなエクスペリエンスを提供できるよう特に配慮が必要です。
- エコシステムの互換性と柔軟性:WPBがパートナーネットワーク間のやり取りをどうするかを明確にすることが不可欠です。それには金融エコシステム内で選んだ役割を明確にし、継続的な変化に対応しフィンテックのイノベーションをオペレーティングモデルに統合できる、柔軟なテクノロジースタックを構築することが求められます。
- サービスアーキテクチャ:WPBがアドバイスの未来を提供するために必要なインフラの特定には、戦略およびテクノロジーに関するプランを利用できます。外部のパートナーの役割やケイパビリティをサービスアーキテクチャに組み込む必要があります。
- 規制の遵守: WPBは対象とするクライアントのエクスペリエンスに関する規制要件を特定し、実施の各段階で満たすべき事項を定義する必要があります。この点は、クライアントの移動が多い場合や、国境をまたいでのやり取りが多い場合は、特に難しいところです。
喫緊の課題2:望むモデルを実現するのに必要な投資をする
主に焦点となる分野はWPBのテクノロジーです。平均すると、それらの3分の2近くが今後3年間でデジタル投資を増やす予定です3。支出の大半は引き続きクライアントエクスペリエンスに関する構想が対象ですが、それ以外にプラットフォームの統合や商品の多様性拡大というニーズも挙げられています。
経験豊富な人材は、関係管理とテクノロジーイノベーションのどちらにも重要で、これも投資の重要分野です。アドバイスモデルの刷新やエクスペリエンスの段階的変化を実現しようとする業界にとって、優秀な人材は欠かせません。
また、新しいアドバイスのパラダイムに投資する際、WPBには実行面の大きな課題があります。複数の市場や規制・制度への対応が必要ということは、国際的に展開する企業にとっては、複雑さの中をかいくぐりながら複数の地域にまたがって実行することになるわけであり、特に困難が生じると言えます。
喫緊の課題3:テクノロジーと人材への投資に合わせて、適切な企業文化およびマインドセットも確立する
変化を成し遂げるには、適切なアドバイザートレーニングやビジネスユニットと開発者の緊密な連携、リーダーの明確なコミュニケーションが不可欠です。組織のアジリティとフレキシビリティの維持は特に重視すべき優先事項ですが、過小評価されがちです。
クライアントの期待の変化や新しい商品・サービス、デジタルテクノロジーの変化やサステナビリティ基準の策定に対応する場合に、フレキシビリティは欠かせません。効果的なコラボレーションやパートナーシップにも重要です。結局のところ、アドバイスの未来の提供は継続していくものであり、一度提供すればそれで終わるものではありません。
資産運用に関するアドバイスの進化に適応するか、それとも取り残されるか
WPBはクライアントや従業員を喜ばせ、全てのステークホルダーに価値をもたらすアドバイスの未来において、ビジョンの策定が求められます。また、充実していく業界エコシステムの中に、この新しいパラダイムをどう組み込むのかを決めなければなりません。
その上で、目標とするモデルを設計し、それを実現する投資とトランスフォーメーションのロードマップを描いていきます。主な課題として挙げられるのは、データ・信頼・価値・報酬の明確な関係性の構築、フレキシビリティとコラボレーションの必要性、国境や業界の枠を超えての業務遂行などです。
WPBの未来は、今までとは大きく異なるものとなるでしょう。必要な存在であり続けようとするのならば、今すぐに行動を起こし、激変するアドバイスモデルに向けて動き出さねばなりません。