EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
インドでは、政府の野⼼的な⽬標設定と⺠間セクターの積極的な⾏動を組み合わせることで、再⽣可能エネルギー産業の拡⼤が進んでいます。中国は太陽光発電⽤部品など、既に競争⼒のある製品の輸出増加を視野に⼊れつつ、⽀配的な地位を持つ国内市場での活動を強化しています。マレーシアやインドネシアといった他のアジア諸国・地域では、より規模の⼤きい国々との競争が激化しても、⾃国の太陽光発電市場が成⻑できる⽅法を模索しています。
このような競争は、技術の進歩の加速とコスト削減につながる可能性があります。これによりエネルギーの移⾏が促され、脱炭素化と地球の気温上昇の抑制に必要な投資に、拍⾞がかかるでしょう。
再⽣可能エネルギーへの投資を国内経済の回復を⽀える⼿段の1つと捉えている国々にとっても、国内のサプライチェーン強化に対するニーズの高まりが、雇⽤創出、幅広い産業の成⻑、国内総⽣産の増加、⼈々の⽣活の向上など、⾃国の利益にもつながる可能性があります7。
ただし、ネットゼロの⽬標達成を遅らせないためには、サプライチェーンの現地化、または国内サプライチェーンの強化を早急に⾏う必要があります。そのためには新たな体制と協⼒関係を形成しなければならないでしょう。しかし、これを短期間で実現するのは困難です。国際通貨基⾦の予想では経済成⻑は2023年に落ち込み、2024年はわずかな回復にとどまるとみられており、このような経済状況ではなおさら時間を要するでしょう8。
このように、成⻑が鈍化すると⾒込まれているにもかかわらず、各国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響から回復し、脱炭素化の⽬標をより一層引き上げる中、ここ数年、低炭素技術を巡る投資環境は進化し続けています。着実な2桁成⻑を⽪切りに、エネルギーの移⾏に関する投資額は、過去2年間で爆発的に増加しました。この分野への資本流⼊は継続しており、さらなる成⻑が⾒込まれています。北⽶では記録的な年となった2021年に引き続き、2022年も全投資家セグメントにわたり投資は堅調でしたが、投資総額は若⼲減少しました9。
このように、再⽣可能エネルギーの需要の急速な増加とネットゼロ実現に向けて機は熟しているように見えます。⽶国インフレ抑制法などの市場介⼊政策によって、エネルギーの移⾏は加速するのか、それとも遅れるのか――明らかになるのはこれからです。