EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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消費者主導の再生可能エネルギーへの移行をエネルギー事業者が導くには
「オムニシューマー」と呼ばれる新たな消費者の出現は、シームレスで洗練された顧客体験を提供することによって、エネルギー事業者が差別化を図るチャンスをもたらします。
最も興味深いと思われるのは、一部の国・地域ではエネルギー転換の進展に伴い、信頼感が低下するという関連性が回避されているとみられることです。例えば、フランスとオランダはエネルギー転換がかなり進んでいますが、これらの国々における消費者の態度は比較的楽観的です。フランスでは、市場制度、政府の介入、原子力発電が相まって予測可能で安定した市場構造の形成につながった結果、消費者は小売価格の変動や価格の急騰から保護されています。
オランダでは、地域社会が積極的に関与し、社会全体で幅広く協働が実施されており、これが消費者の信頼感を維持する秘訣となっているとみられます。例えば、 アムステルダム・スマートシティ ・プロジェクトでは、企業、政府、学術界、地域社会の組織が集結し、都市計画、eモビリティ、技術革新と併せてエネルギー効率を考えるための包括的なプログラムが策定されました。 この取り組みにより、人々の生活に実際に利益がもたらされています。これこそオランダの消費者が、将来安全で手頃な価格のエネルギーを容易に利用できることに信頼感を持っている理由と思われます。
スウェーデンは、消費者の信頼感の高さという点で際立っています。同国では新規エネルギープロジェクトの開発に地域社会が深く関与し、エネルギーコストの低減、雇用創出、地方自治体の税収増加など、より幅広い潜在的なメリットに焦点が当てられています。増加した税収は、新しい文化センターやスポーツ施設、地域のインフラの建設資金に充てられます。
これらの事例から学べることは何でしょうか。フランス、オランダ、スウェーデンでは、早い段階から消費者にエネルギー転換への取り組みを促し、支援を提供してきました。また地域社会と消費者にもたらされるエネルギー転換の価値が明確に提示されています。さらに重要な点として、政府と規制当局はエネルギーに関する顧客体験について、予測可能で安定した基盤を築いてきました。これは、信頼感が低い英国とは対照的です。英国では、消費者が小売価格の変動や大幅な価格上昇、エネルギー供給企業の失策による打撃の矢面に立たされています。
一方、米国では、エネルギー転換はまだ初期段階にあり、消費者の信頼感は比較的高くなっています。投資の拡大と政策の進展とともに、消費者の信頼感の維持に優先的に取り組む必要があります。さもなければクリーンエネルギー普及に向けた野心的な目標の達成が困難になる可能性があります。
消費者は依然としてクリーンエネルギーにコミットしている
エネルギーへの信頼感が揺らいでいるとしても、よりクリーンな未来の実現に向けて消費者の意欲は依然として高く、自らの役割を果たすことに力を注いでいることが明らかになりました。40%がエネルギー効率の高い家電製品、約半数がEVの購入を検討していますが、意向と行動の間にはギャップがあります。消費者はそのような変化を実行することが難しすぎる、または費用がかかりすぎる、あるいは単に分かりにくいと考えています。