EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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銀行業界向けEY Nexusは、世界をリードする銀行がデジタル経済で価値を提供する方法を見直し、構築し、より良い方法を導き出せるようにするための、先進技術を活用したアプローチです。
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4. 専用のセンター・オブ・エクセレンスまたはコントロールタワー・アプローチを確立する
金融機関はその規模を問わず、生成AIのセンター・オブ・エクセレンス(CoE)を設置することで、初期のユースケースの導入、知識とベストプラクティスの共有、スキル習得などのメリットを享受できます。一方、生成AIの能力が成熟するにつれ、人材やプロジェクトの調整からさらに進めて、「コントロールタワー・アプローチ」をとることで、ビジョンと戦略を策定し、組織全体の生成AIの導入状況を可視化し、ガバナンスモデルを強化することができます。
今、何から行動すべきか
AIの導入がかなり進んでいる大手銀行は、方向性やビジョンを示すだけでなく、生成AI導入の目標達成に向けた高レベルなロードマップを策定するコントロールタワー機能を設置すべきです。ロードマップには、バリューチェーンとビジネスモデルの見直し、テクノロジーアーキテクチャとデータセットの全面的な評価、イノベーション投資の評価が欠かせません。コントロールタワー機能は、生成AIの取り組みを主導するだけでなく、その実行および展開をサポートします。そのためには、適切な管理体制や管理指標を整備し、ビジネスの成果の推移を把握するとともにニーズの変化に応じて、取り組みを調整していくことが不可欠です。
一方、生成AI導入の初期段階にある中小銀行であれば、最初のステップとして、または知識を調整する拠点として、CoEを設置することで十分でしょう。また、CoEを設けることで組織の能力を段階的に向上させ、ベストプラクティスを広め、知識の共有を促し、初期のユースケースを推進できると考えられます。
今後の展望
銀行は、初期のユースケースとパートナーシップをモニタリングする中で、ユースケースを継続的に評価して、拡大させるか縮小させるかを判断し、どのパートナーシップを統合するかを評価すべきです。また、コントロールタワーがさまざまな事業分野とどのような関係を築き、ユースケース、予算、成果、ガバナンスの所有権をどのように分散するか、あるいは一元化するかも決める必要があります。