公認会計士 山岸 聡
報告
1. 四半期レビュー報告の記載事項
四半期レビュー報告書は、(1)四半期レビューの対象、(2)実施した四半期レビューの概要、(3)四半期財務諸表に対する結論の三つの区分に分けて記載しなければなりません。主な記載事項は次のとおりです。
(1)四半期レビューの対象
- 四半期レビューの対象となる四半期財務諸表の範囲
- 四半期財務諸表の作成責任は経営者にあること
- 監査人の責任は独立の立場から四半期財務諸表に対する結論を表明することにあること
(2)実施した四半期レビューの概要
- 一般に公正妥当と認められる四半期レビューの基準に準拠して四半期レビューを行ったこと
- 四半期レビューは、質問、分析的手続その他のレビュー手続きからなること
- 四半期レビューは、年度の財務諸表の監査に比べて限定的な手続きからなること
(3)四半期財務諸表に対する結論
- 経営者の作成した四半期財務諸表について、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況を適正に表示していないと信じさせる事項がすべての重要な点において認められなかったかどうか。
2. 四半期レビューの結論
四半期レビュー報告の結論は、【図表1】のとおり5種類です。
【図表1】
除外の程度 | 結論の種類 | 参考:監査意見の種類 | |
---|---|---|---|
- | 無限定の結論 | 無限定適正意見 | |
結論に関する除外 | 重要 | 限定付結論 | 限定付適正意見 |
非常に重要 | 否定的結論 | 不適正意見 | |
レビュー範囲の制約 | 重要 | 限定付結論 | 限定付適正意見 |
非常に重要 | 結論の不表明 | 意見不表明 |
四半期決算とレビューのスケジュール
1. 四半期決算のスケジュール
四半期決算のスケジュールは、会社の規模、事業の内容および連結子会社数等により大きく異なると考えられますが、【図表2】は一例(3月決算の会社)を示しています。
【図表2】
有価証券報告書および半期報告書の提出期限が決算日後90日であるのに対し、四半期報告書の提出は決算日後45日以内とされています。(株)東京証券取引所から公表されているデータによると、当初は約40日程度を要していたものが、次第に短縮される傾向にあります。しかし、四半期報告書では、会計基準等が明確化されたことにより厳密な処理が求められること、非財務情報の開示および財務諸表の注記事項が増えること、ならびに四半期レビューを受けた上での提出が求められていることから、一層の決算の早期化が必要となります。
2. 四半期レビューおよび監査のスケジュール
四半期レビュー制度の導入により、【図表3】のとおり、契約締結、計画策定および業務開始時期は、年度及び中間監査より早くなっています。
【図表3】
(年度及び中間監査)
(四半期レビュー導入後)
この記事に関連するテーマ別一覧
四半期
- 第1回:四半期報告制度の概要および四半期財務情報の概要 (2011.04.22)
- 第2回:四半期財務諸表の会計処理(1)(債権、有価証券、棚卸資産) (2011.04.22)
- 第3回:四半期財務諸表の会計処理(2)(原価計算、固定資産等) (2011.04.22)
- 第4回:四半期財務諸表の会計処理(3)(法人税等、税効果) (2011.04.22)
- 第5回:四半期連結財務諸表の会計処理および四半期財務諸表の表示 (2011.04.22)
- 第6回:四半期財務諸表の注記(1)(会計方針の変更等) (2011.04.22)
- 第7回:四半期財務諸表の注記(2)(継続企業の前提等)との関係 (2011.04.22)
- 第8回:非財務情報の概要 (2011.04.22)
- 第9回:四半期レビューの概要(1) (2011.04.22)
- 第10回:四半期レビューの概要(2) (2011.04.22)