エグゼクティブサマリー
インド財務大臣は2022年2月1日に、2022年度国家予算案(以下、「予算案」)を発表しました。予算案には、軽減税率制度を選択した新規設立企業の製造開始期限の延長やタックスホリデー優遇措置を申請したスタートアップ企業の法人設立期限の延長、長期キャピタル・ゲインに対するサーチャージの上限引き下げ、修正申告の提出期限の延長といった、好ましい提案が含まれています。
本アラートでは、予算案の主要な提案内容をまとめました。
詳細
法人税率
- インドの企業およびパートナーシップ(有限責任事業組合を含む)に対する法人税率(ミニマム代替税(MAT)の税率を含む)は、現行のままとすることが提案されています。
主な税制案
- 15%の軽減法人税率1を選択した新規設立の製造企業による製造または生産の開始期限を1年延長(すなわち、2023年3月31日までだった期限を2024年3月31日まで延長)することが提案されています。
- タックスホリデー優遇措置を申請したスタートアップ企業の法人設立の期限を1年延長(すなわち、2022年3月31日までだった期限を2023年3月31日まで延長)することが提案されています。
- 個人および特定の会社形態をとっていない事業体(AOP(Association of Persons)等)のすべてのキャピタルアセットについて、長期キャピタルゲインに対するサーチャージの上限を15%とすることが提案されています2。現行の税率は、段階方式になっており、最大37%となっています。
- 予算案は、以下の追加的な免税措置を提案しています。
- 国際金融サービスセンター(IFSC)ユニットと取引している非居住者を対象とするもの:
- IFSCに設立されたオフショア・バンキング・ユニットと締結したオフショア・デリバティブ商品または店頭取引デリバティブの譲渡益
- IFSCに設立されたユニットから受け取った、船舶のリースに係る使用料または金利収入(航空機リースに対する現行の免税に追加)
- IFSCに設立されたオフショア・バンキング・ユニットに保有している有価証券、金融商品またはファンドのポートフォリオから非居住者が得た利益(条件を満たしている場合)
- IFSCユニットを対象とするもの:
- IFSCに設立された特定のファンドへの株式発行における当該株式の時価を上回るプレミアム
- IFSCに設立されたユニットがリースした船舶の譲渡益
- 予算案は、インド企業が特定の外国企業から受け取った配当金収入に対する15%の軽減税率(サーチャージと特別目的税(Cess)が別途加算される)を撤廃する(つまり、かかる配当金収入に対して通常の税率で課税する)ことを提案しています。
- 予算案は、追加納付の支払いを条件として、課税年度の終了日から3年以内の納税者による修正申告を認めることを提案しています。追加納付は、該当する課税年度から2年以内の修正申告の場合は、申告された追加所得に対する未払税と利息の合計の25%、課税年度から2年以降3年以内の修正申告の場合は、かかる未払税と利息の合計の50%となります。しかし、修正の結果として税還付が生じる場合や税務当局による税務調査がすでに始まっている場合などの特定の状況では、かかる修正申告を行うことはできません。
- 予算案は、明確化のため、以下の改定を提案しています。
- 非課税所得の稼得に関連する経費は、たとえその非課税所得が課税年度中に稼得されたものでなくても、損金算入不可となる
- 所得税に課せられる健康・教育目的税は、2004~05課税年度から、事業経費として損金算入不可となる
- 企業再編について、予算案では、事業の承継人が事業再編の効力発生日から承認当局の最終オーダー発行日までの期間に係る修正申告を行うことを認めることを提案しています。
- 暗号通貨や非代替性トークンなどの仮想デジタル資産(VDA)の譲渡に対し、税率30%(適用されるサーチャージおよび特別目的税が別途加算される)で課税する新たな税制(2022年4月1日から適用)が提案されています。VDAに対する1%の源泉徴収税(2022年7月1日から適用)と贈与税規定も提案されています。
- 予算案は、インフラ投資信託(InvIT)、不動産投資信託(REIT)およびオルタナティブ投資ファンド(AIF)のユニットについて配当ストリッピング規定および賞与ストリッピング規定を導入し、賞与ストリッピング規定を他の有価証券(株式等)にも適用することを提案しています。
Japan tax alert 2022年2月16日号をダウンロード
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